☆多摩ニュータウン事業債務超過 | 間取り研究所

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◆多摩ニュータウン債務超過1229億円 都民の税金で穴埋め

東京都の多摩ニュータウン事業が、平成18年度末時点で1229億円の債務超過に陥っている。
都の事業は2011年度で清算されることになっているが、その時点で
879億円の債務超過が見積もられ、一般会計での穴埋めが必要になる。
同事業には134億円がすでに投入されており、都民負担は合わせて1000億円を超える公算となった。

都の包括外部監査では、多摩ニュータウン事業は2011年度までにすべての土地を処分すれば
516億円の売却益が見込めるが、借金の利息もかさむため
「自力で負債を完済することは不可能に近い状況で、都の財政負担は避けられない」と指摘。
最終的に都の一般会計から879億円を投入して穴埋めする必要があると試算している。

そのうえで、包括外部監査では、債務超過の要因を販売価格の下落と、
事業の遅れによる金利コスト増大と分析。

高度経済成長期だったとはいえ、事業が地価の大幅下落をまったく想定せずに始められ、
事業計画もきちんと文書化されず、責任の所在があいまいだった点を問題視している。


同事業は、2006年度に329億円の都債償還期限を迎えたが、造成地販売収入では返済しきれず、
穴埋めで一般会計から134億円が投入された過去がある。

多摩ニュータウンをめぐっては2001年、商業ビルの建設・賃貸を主な事業としていた
第三セクター「多摩ニュータウン開発センター」が、384億円の負債を抱えて経営破綻。
この際、都は85億円の債権を放棄している。(産経ニュース IZA)

◆多摩ニュータウン(Wikipedia)

開発主体は住宅・都市整備公団(現:UR都市再生機構)並びに東京都及び東京都住宅供給公社。
開発面積は約3,000ヘクタール、計画人口は342,200人で、東西14km・南北1~3kmに及ぶ
新住宅市街地開発事業及び土地区画整理事業。
1965年に都市計画決定し、翌年には事業計画の認可を受けて1971年3月26日、
多摩市諏訪地区・永山地区において第1次入居が開始された。

計画人口(新住宅市街地開発事業 282,000人、土地区画整理事業 60,200人、合計 342,200人)

UR都市再生機構(旧日本住宅公団)による開発は2005年ですべて終了し、
未開発用地244ヘクタールは売却して民間等による開発にゆだねられる事となった。

1990年前後に住宅公団(現UR都市再生機構)が分譲した「ベルコリーヌ南大沢」は42棟中20棟が
施工に問題ありとされ建替えが行われている。

◆「ベルコリーヌ南大沢」

多摩ニュータウン西部。南ヨーロッパ風のマンション群の間をトラックが駆け抜け、
クレーンが忙しく首を動かしている。マンションの新築現場のようだが、そうではない。
手抜き工事が明らかになり、解体して建て直し中の「過去最大の欠陥マンション群」だ。
ここには、2005年の姉歯耐震偽装事件発覚で安全性に注目が集まる以前から、
マンション崩壊に脅える住民がいた。

八王子市にある46棟のマンション群(計919戸)は現在の都市再生機構が1989~1993年に分譲。
しゃれたデザインが建築雑誌でも取り上げられ、応募倍率が80倍を超える人気の部屋もあった。
しかし、一部の住民は入居当時から漏水、コンクリートのひび割れなどに悩まされたという。

マンション群の中で最大規模の18棟(322戸)の団地。
1997年の大規模修繕の調査の際、ここでひび割れや漏水の実態が次々と判明した。
「補修しようとするたびに欠陥が見つかる」(管理組合担当者)状態だった。

大規模な補修が必要で、2000年に一部の住民が仮移転を余儀なくされた。
さらに他の棟や階でも欠陥が発見され、2年後には全戸移転が決まった。

当初は「1年ほどで戻れるつもりだった」(同)という。しかし、2003年に鉄筋の本数不足や、
鉄筋を切断していたという重大な欠陥が見つかった。管理組合は「生命が脅かされる」と、
都市再生機構に建て直しを要求。翌年、高層の2棟を除く中層16棟の建て直しが決まった。
高層棟については、現在もなお機構と協議が続いている。

最初の移転から6年以上経過した現在も、移転生活は続いている。
多くの住民は「早く戻りたい」と語るが、いつ終わるともしれない交渉や建設に疲れ果て、
3分の1の住民が「終(つい)のすみか」となるはずだったマンションを手放した。
建て直し中の中層棟に再入居できるのは2009年以後の見込み。

高層に関してはメドすら立っていない。

同じマンション群内の別の団地。各団地の棟によって欠陥への対応が分かれたため、
すでに建て直しが完了し、再入居した住民もいる。真新しい白い壁がまぶしい。
しかし夕刻になって点灯する部屋はまばらだ。

6階建ての最上階に住む会社経営の男性(70)と妻(68)は昨年末、仮移転生活を終え、
7年ぶりに「我が家」に戻った。

仮移転前は長女、長男と同居していたが、この間に子どもたちは独立。夫婦だけになった。
「家族での生活を、欠陥で奪われた」(妻)との思いが強い。

移転中も払い続けてきた住宅ローンは、まだ残っている。

「失われた時間、欠陥に耐えられずに去った住民を思うと、再入居を素直に喜べない」と夫婦。


◆UR都市再生機構が八王子市で分譲した欠陥マンション群「ベルコリーヌ南大沢」

建て直された“新居”に再入居した住民がいる一方、現在も建て直しを求め続ける住民がいる。
外壁はひび割れし、室内は雨漏り。柱は手で触れただけでコンクリートがはがれ落ちる。
ここの住民は、10年以上も不安な生活を余儀なくされている。

6階建ての中層2棟と14階建ての高層棟に57世帯が暮らす団地。
欠陥があるとして都市再生機構に建て直しを要求しているが、
都市再生機構は「ただちに避難するほどの危険はない」との立場を崩さない。
他の団地では、機構が無償で仮移転を認めるケースもあるが、
ここではマンションにとどまらざるを得ない状況だ。

分譲当時(1990年前後)、5000万~7000万円で売り出された物件に夢を託した住民の中には、
「公団(現・UR都市再生機構)が建てたマンションなら大丈夫」と判断して購入を決めた人も多い。
しかし今、住民には都市再生機構への不信感だけが残っている。

管理組合が実施した調査では、漏水経験のある住居が6割を超え、
内部にある鉄筋の露出部分が約100か所あることが判明した。

施工上の問題だけではない。手抜き工事を巡る協議の中で、構造計算書の提出を再三求めた
管理組合に対し、都市再生機構は「紛失した」と回答した。
2003年、都市再生機構は、現存する構造図から作成した再計算書を提示したが、
住民からデータの問題点を指摘され、再び計算書を作り直す失態を演じている。

2006年5月、管理組合が自主的に構造図の分析を依頼した社団法人・日本建築構造技術者協会の
検証の結果、中層棟の耐震強度が最弱部分で基準の58%しかないことが発覚。
設計上の不備も明らかになった。

その間に、高層棟12階の外壁タイルやコンクリート片が落下する事態も発生した。

「心労からノイローゼになった」
「地震があったら自分のことだけを考えて避難しようと家族内で話している」
長期化する事態に、住民の苦悩は尽きない。

一方、機構は2006年10月、ようやく設計上の不備、再計算書の誤りを認めて謝罪した。
しかし、「建築基準法の基準はぎりぎり満たしている」とし、建て直しには応じていない。

「基準をぎりぎり満たすような計算法を意図的に用いたのでは」との住民側の疑念は晴れず、
双方の溝は依然埋まらない。両者の協議は計61回も行われた。
しかし2004年春以後、直接の話し合いは途絶えたままだ。

住民側は、問題解決のための調査などに4000万円近くを負担し、5年以上かけ、
欠陥の証明と機構の責任を追及してきた。


◆東京都とUR都市再生機構(旧日本住宅公団)が中心となって開発した多摩ニュータウン。


両者が投下した金額は計1兆5000億円に上る。
“満州国建設以来”などとも言われた、未曽有の人工都市建設だった。

官が進めた宅地開発のからくりとは……。

強制収用を含んだ「新住宅市街地開発法」に基づき、借金で元手を調達。
その金で土地買収や造成を進め、宅地販売収入などを借金返還に回す。
土地は値上がりを続け、開発はとめどなく続いた。

だが、地価が異常に高騰したバブル期にも借り入れと土地買収は続けられた。
バブル崩壊による地価の急落。買収価格ではとても販売できない状況が訪れた。

仮に都が用地すべてを売り払っても825億円の赤字が残る。
1000億円近い税金投入の可能性も指摘されている。都は昨年度から、
都民税などを主とする一般財源も債務返済に充て始めた。

都の今年度の税収は過去最高の5兆3000億円を見込み、
「負の遺産」の元凶となったバブル期をも上回る。
昨年度は328億円、今年度も178億円の税金が借金返済や利払いに回されている。
「歳入が好調な今のうちに返してしまいたい」。巨額の借財を背負う都のの本音だ。

もう一方の当事者のUR都市再生機構は、1兆500億円を多摩ニュータウンにつぎ込んだ。
国の税金も110億円が費やされた上、1960億円の借金を残して開発を終えた。
売れ残った土地のセールスぶりは都と同じ。
「現在はマンション需要が強い。はやく処分したい」。
担当者はそう語るが、14兆円以上の債務を抱えるUR都市再生機構全体の処理策は決まっていない。

国内最大のニュータウンの収支決算の評価は割れる。
UR関係者は「住宅難解消に貢献したのは事実。公費を使って基盤整備を行った公共事業の一環」
との見方が根強い。

一方、ノンフィクション作家の山岡淳一郎さん
「『住宅建設イコール公共の利益』という図式を作り出し、ムダな開発を次々仕掛けた。
公団は建設官僚の天下り先確保の権益に過ぎなかった」
と断罪する。

東京都とUR都市再生機構は、すでに多摩ニュータウンの開発から手を引いている。

(読売新聞 連載企画 40歳のニュータウン 終了から再生へ)

☆ひどい、ひどすぎる! 国民の血税で土地を買いあさり乱開発。
移住者無視のコストカットで丸投げ欠陥住宅の大放出。
貧弱な都市計画で大赤字になると第三セクターになすりつけて撤退。
第三セクター経営破綻でさらに血税投入。
天下り官僚、癒着業者、族議員とその一家だけが大儲けして高笑い。

多摩ニュータウンは民間の力だけで再生へ向けて動き出したようです。
民間譲渡がもっと早ければ違う未来が開けていたことでしょう。

今だに新たな「ニュータウン」を開発しているUR都市再生機構。高笑いは続きます。