「ある、タクシー運転手さんが教えてくれたことby 中山マコト」 | 「地球探検隊」中村隊長の公式ブログ【ビタミンT】

「ある、タクシー運転手さんが教えてくれたことby 中山マコト」

オレが大好きな友人、中山マコトさん
グッとくるマコトさんが体験した物語を
彼のウラマガから抜粋して、いくつか紹介したい。

中山マコトさんのウラマガ(1)より

★そのタクシー運転手は、なぜメーターを倒さないのか?

2012年1月31日
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★すべての人が、観光大使!

ある日、下田駅に降り立ちました。

伊豆半島の最南端。

東京から向かうには正直、遠いです。
その日の宿泊予定は”黒船ホテル”。
最大にして最高のホテルです。

なぜ黒船ホテルと言う名称か?と言うと、
下田港の海側からこの建物を見ると、ペリーが乗ってきた、
”黒船”のカタチに似せてあるからです。

海側から見ると、すごい迫力です。
でね、黒船ホテルは下田駅からタクシーでもほんのわずか?
4~5分で着くような位置にあるんです。

で、僕はタクシーに乗り込み、「黒船!」と告げました。
「かしこまりました!」
と気持ち良く応じ、クルマは滑らかに走り出しました。

少し走ったあたりで運転手さんがこう言うんです。
「お客さん。とても急いでいますか?」
「い~え!」と僕。

すると運転手さんがこう言うんです。
「もし、ものすご~く急いでいらっしゃらないようでしたら、私に5分だけ時間を下さい。
素晴らしい場所にご案内しますよ!」

僕は、なんだか分からないまま、でも運転手さんの誠実そうな語り方に賭け、
「お願いします!」と言いました。

運転手さんは、「ではメーターは倒しませんから・・・」と言い、
料金を無効にしました。

程なく海の近くまで来ました。

運転手さんはおもむろにクルマを停め、僕を車外に誘いました。
「ここが地元の人しか知らない、最高の夕日スポットです。
この場所から見る、沈む夕日は最高です!」

そしてしばらく歩いて、ある”なまこ壁”の家の前まで来ました。
「夕日を浴びたこの壁は、最高にキレイです。写真に撮ると最高!
この場所からの夕日も、陽を浴びた壁も、絵はがきには一切載っていません!」
そう続けます。

しばらくして、クルマに戻った僕に、彼は続けます。
「もし良かったら、次回おみえになった時でもよいので、
ここの夕日を見てやっていただけないですか?
本当に素晴らしいですから・・・」

クルマはホテルに向かいました。
精算の際、運転手さんはさりげなくタクシーカードを僕に手渡しました。
僕はホテルに入り、荷物を置き、お茶を飲み・・・
心から、あの場所に行きたいと思いました。


でも正確な場所が分からない。
そこで思い出しました。タクシーカードを貰っていたことを。
そこでタクシーカードに書かれている番号に電話をしました。

そして、
「ぜひ夕日を見たいので、迎えに来て下さい。あの場所に連れて行って下さい!」
と伝えました。
タクシーがやってきました。

僕は秘密のスポットまで運んでもらいました。
僕が写真を撮っている間、運転手さんはずっと付き合ってくれました。
この日はコンパクトデジカメしか持っていなかったんですが、
でも素晴らしい写真が撮れました。

満足した僕はクルマに戻り、○○町まで・・・と
夕飯を予定している店のある場所を伝えました。

そして降りる際、支払いをしようとすると、メーターが倒れていないんです。
「おいくらですか?」
そう尋ねる僕に、その運転手さんはおもむろに言いました。

「私の方からお誘いしたのに、料金なんていただけないですよ!
それよりこの街でお金を使ってやって下さい。
いい店、沢山ありますから・・・」

そう言って彼は去って行きました。

爽やかな一陣の風が、僕の頬を撫でました。
なぜ、そこまでするのか?

運転手さんの真意は分からないままです。
でも、先日書いた、”お寿司屋さん”のエピソードにもある通り、

”真に地元を思う気持ち”

が彼にこうした行動をさせたのだと思います。


街の人、誰でもが観光大使。
そんなつもりでいるのだと思うんですよ。

お客さんの奪い合い!
観光客からは搾り取れ!
そんな風潮も無いとは言えない中、なかなか出来る事ではありません。

わざわざホテルまで時間を使って迎えに行き、時間を費やし、結果、お金を取らない。
これって深い深い愛情が無ければ、”地元愛”が無ければ、出来る事では無いんです。

たった一人のタクシー運転手さんから僕達が学ぶことはとても多いと思います。

中山マコト