本ブログでは、入院時に「いつ、何があっても、おかしくない。」と主治医の先生に言われ、生きることを半分諦めていた骨髄異形成症候群由来のFLT-3陽性の急性骨髄性白血病を骨髄バンクを通じた骨髄移植によって治療し、6年3か月を経た今も元気に生きているという個人的体験にもとづいて、地方自治体によるドナー助成制度を中心に、骨髄バンク制度について多くの記事を書いてきました(たとえば、骨髄バンクは、すべての自治体によるドナー助成制度の周知徹底を御願いします!!、骨髄バンクを通じての骨髄等ドナー助成制度のリンク集の補足版、骨髄バンクによる移植が十分に機能していないことを示すMBSのNEWS特集などを参照)。
その関係で、最近、国のレベルで骨髄バンクによる非血縁者間の移植を推進させる非常に重要な一連の動きがあり、移植を待っておられる多くの患者さんの方にとって朗報になると思いましたので、以下に掲げておきます。いずれも、下にリンクする、少し前の全国骨髄バンク推進連絡協議会ニュースの第374号に出ていたもので、これらの新しい国の政策がとられることにより、若年者を中心とするドナー登録者の増加と非血縁者間の造血幹細胞移植における移植件数増加に一定程度は寄与するものと確信します。
具体的に言うと、
1.厚生労働省が、来年度、地方自治体の実施するドナー助成制度の費用負担を国が半額補助する新規事業の概算要求(4,000万円)を行ったこと
2.厚生労働省が、欧米で一般的なスワブ法(自分で行う綿棒による口腔粘膜のぬぐい液採取)によるHLA型検査を経たドナー登録の骨髄バンクによる大規模な実証実験を行った上で、令和7年度以降のスワブ法による簡易な登録方法(そして、若年層のニーズが大きいオンラインによる登録)を導入する方針を示したこと
上記の点については、令和6年度厚生労働省予算概算要求の主要事項63頁にも書かれており、国が、厚生労働科学特別研究事業として行われた新型コロナパンデミック下の造血幹細胞移植ドネーションを推進するための研究で示された画期的な提言に基づいて、上記のような方法による非血縁者間の造血幹細胞移植の円滑な実施と拡大に向けて大きな一歩を踏み出したものとして、高く評価できます。
もっとも、これらの国の施策の導入によって、日本では中央値が130日弱と極めて長いコーディネート期間の短縮に結び付くかというと、他にも多くの問題があり、直ちには結び付かないと思われるので、これらの施策とともに、全国骨髄バンク推進連絡協議会が提案しているように、骨髄バンク、患者側主治医・移植機関、採取病院、造血幹細胞移植コーディネーターの間の連絡調整のオンライン化の早急な導入が強く望まれます(全国協議会ニュース 第348号 2021年8月1日参照。)
追記1-厚生労働省が今年になって補助のための概算要求をしたドナー助成制度や、ドナー休暇等によるドナーをサポートする仕組みが、実際にHLA型が適合してドナーとなる方にとって重要であることを示す記事として、24歳で経験した骨髄ドナー「やってもいいかな」の背中を押すには Withnews 2023/10/31があります。
追記2-現在、骨髄バンクに登録されている方の年齢が高齢化しており、近い将来に登録者の不足が深刻な問題となることから、特に若い方の登録を推進するためにSNSの活用など適切な方策をとることが強く求められています。そして、骨髄バンクも令和7年からの本格的導入に向けてスワブ法による簡易な登録方法の導入を検討していること(これらのことが骨髄バンクの令和5年度の事業計画で明示されていることにつき、日本骨髄バンク 令和5年度事業計画書2~3頁参照)を一般の方にもわかりやすく説明している最近の記事として、日本財団ジャーナルの以下の記事があり、大変参考になります。
