DOLLHOUSE Ⅱ | EXO's World 。… .:*:・'°☆

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カメ更新ですが気長によろしくお願いします



全員が飛ばされて来たのは、住宅街から少し離れた丘の上にある紅葉に囲まれた白い一軒家の前


中からは女の子たちの楽しそう声がして焼きたてのクッキーの甘い香りが漂う


「楽しげな一家じゃないか」

「女の子たちは友だちかな」


安堵の声で呟く長身の青年に、外にある数台の可愛らしい自転車を指差して女顔の青年が答える


「ルハンはよく見てるな」

「クリスがよく見てないだけだと思う」


笑顔で即答する女顔のルハンにたじたじな長身のクリス


「!隠れろ」


猫目の青年が言うと同時に家の扉が開き、楽しげな多くの声が大きくなる


「楽しかった!」

「また明日学校で会いましょ!」

「うん!」

「明日もクッキー焼いておいてあげるわ」

「「やったぁ!!♡♡」」  

「それじゃまた明日」


可愛い服を着飾った3人の女の子は自転車に跨り丘を降りていく


彼女たちが全員背中を向けるとすぐに母親は家の中へと引っ込んみ、女の子は友だちの姿が見えなくなるまで見送ると、先程とは表情が打って変わり静かに家に戻る


「あの女、子ども相手に猫かぶってんのか」


汚いものでも見るかのような目で家を見つめる栗毛の青年


「ベク。無理しなくてもいいんだよ」


長身の青年が優しく声をかけるがベッキョンはツンとそっぽを向く


「まったく、素直じゃないんだから。まぁそこがいいんだけどね」

「うっさい!バカチャニョル」

「おーい、イチャつくのは帰ってからにしてくれ〜」


仕事中だぞ〜と仲裁にはいるコンピュータを弄っていた青年


「カイが僕たちをここに連れてきたってことはここの住人が対象なのかな」

「この仕事って対象者がだれなのか曖昧なのが厄介だよなぁ〜。あの婆さんシスターは話が長いくせに肝心なこと話さねぇよな」

「ルハン、言い過ぎだって」


猫目の青年がルハンにやれやれとした表情でこれ以上失礼なことを言わないよう止める


「シウちゃんもそう思うでしょ?」

「確かに対象者を教えてほしいとはよく思うけど、最善な選択は教えてくれるし」


しっかりと猫目をルハンに向けて真面目に答えるシウミン


「スホヒョン、少しここから離れてもいい?ジョンインが目を覚まさないんだ」


黒い青年の言葉にみんなが振り向く


黒い青年の膝の上で眠る白い青年


ふたりは現れた場所から動いていなかった


「ジョンインがこの状態なので、ヒョンたちが隠れても僕らはここから動けませんでした。けれど・・・」

「!姿を、見られていない」


黒い青年の言葉の続きを察したスホが口にすると、青年は頷き、皆騒然とする


「どうゆうことだ?!」

「俺たちは"普通の人"とかわらないのに」

「ふたりだって"今"は"ヒト"だ。俺たちと変わらない」

「なのに、どうして・・・」


目を覚まさない白い青年の頬を撫でる黒い青年はわからないと首を横に振る


「とりあえず一旦この家から離れよう」

「チャニョル、ジョンインをお願い」

「オッケーギョンス!俺に任せろ!」


スホの号令の後、ギョンスがチャニョルに頼むと笑顔を向けて黒い髪を撫でる








青年たちは近くの古い教会へ避難した


ギョンスは変わらず眠り続けるジョンインの傍に寄り添う


それを後ろの座席から様子を見守るチャニョルとベッキョン


その4人の様子を教壇に座り林檎を噛じりながら見守るルハンと、教壇に寄り掛かりながら考え込むシウミン


スホとクリスはここ周辺の情報収集に出かけている


「ここに来てから2時間経つのにジョンイナはまだ目覚まさないんじゃ、あのラインは心配するわな」

「・・・・・それにしてはギョンスは落ち着いてるよな」


後ろで心配するふたりに比べ、焦ることもなく優しくジョンインを撫でるギョンスは寧ろ落ち着いている


「・・・確かに。なんでだ?」

「・・・ギョンス。ジョンインは前にもこういうことがあったのか?」

「はい・・・・僕がジョンイナと出会った時がそうでした。その話をしたらジョンインも同じ状態になったそうで。どうやら僕らは近づきすぎると"あちら"に引込まれるようです」

「"引き込まれる"?」


その言葉が引っかかりシウミンが眉を寄せる


「詳しくは僕らにもわからなくて、うまく言えないんです」


そうギョンスは首を横に振る


「けど、」と続く言葉にその場にいる皆が息を呑んだ


「僕らは自分と同類に近づくとその相手を"視ることができる"んです。だから、きっとジョンインは今僕らの"対象"を"視ている"んだと思います」


すると教会の扉が開き、スホとクリスが帰ってきた


「おかえり。どうだった?」

「駄目だ。この街の人たちには俺たちの姿が見えていない」

「どういう事だよ」

「僕らの声は届かず、触れることすらできないんだ」


スホのその言葉に青年たちは頭を抱える


「え〜っと、それって俺たち"幽霊"なの?」

「ああ、いい例えだなチャニョル」

「感心してる場合じゃないでしょ!クリスヒョン!これじゃ何にもわからないじゃないですか!」


うがああ!っと騒ぐチャニョルに爽やかに笑うクリス


「チャニョルの言うとおりだな。このままじゃどうすればいいのかわからない」

「ギョンスの言ったことが今ジョンインに起きてるのだとしたら、ジョンインに賭けるしかないな」


シウミン続きルハンがジョンインを見る


「えぇ、、そう、ですね」

「お、おい。ギョンス、どうしたんだよ?」

「いや、、なんだか、、急に眠くなっ、、て・・・」


ジョンインに引込まれるかのようにギョンスも目を瞑り、ふたりは寄り添うかのように眠ってしまった








ヒトは思いをモノに残す


その思いが強いほど


そのモノには命が宿る


"僕ら"はそれに引き込まれてしまう





僕らを呼ぶのは


きっと"あの家"だ








……To be continued