side B
廊下を突き進むと、人通りの少ない場所に連れてかれて、夜景が見渡せるベランダに出て建物の中から死角になるところで止まる。
俺の腕を掴んだままゆっくり振り替えるチャニョルの瞳は熱く揺れていて、ドキンと胸が高鳴る。
見るなよ。
そんな顔で見るな。
どうすればいいのかわからなくなる。
「ベク、」
ビクッ
呼ばれただけなのに、条件反射で肩が上がってしまった。
「あ……、 」
チャニョルに見られてることがなんだか恥ずかしくて、顔をあげられない。
グイッ
「?!」
突然腕を引っ張られてチャニョルの腕のなかに引き寄せられた。
俺の背中と腰にチャニョルの手が添えられて抱き締められる。
ドキン!
ダメだ……。
ドキン!
チャニョルに聞こえちゃう。
ドキン!
「聞こえる?俺の心臓の音。」
え?
「ベクと初めて会ったときから、ずっとこんななんだ。」
チャニョル………?
「ベクを見るといつもドキドキして、今こうして抱き締めてるだけでも心臓が飛び出ちゃうんじゃないかってくらい羽上がっちゃうんだ。」
ドクン、ドクン、ドクン!
わ。
ほんとだ。
耳元でチャニョルの鼓動が早鐘を打つのが聞こえる。
それに吊られるように、俺の心臓も速くなる。
チャニョルは体を少し離すと、真剣な眼差しで俺と顔をあわせた。
ブラックホールのようにその黒い瞳に吸い込まれていく。
「ベクが好きだ。」
普段の駄犬のチャニョルとは全然違う。
お前は一体だれ?ってくらいカッコいいチャニョル。
頭のなかは真っ白で、小さな脳ミソがチャニョルの言葉をリピートしてだんだん言われたことを認識する。
「ッ!//////////」
今まで言いたかったのに言えなかった一言。それを俺の目を見て言ってくれる。
顔にだけでなく、身体全体に熱がまわって熱くなる。
「俺とつき合ってほしい。」
ゆっくりとチャニョルの両腕が俺の腰に降りてきて、更にチャニョルに引き寄せられて俺の逃げ道を塞がれてしまう。
も、ダメ。
心臓もたない!
えいっ!
「!」
ぎゅうっとチャニョルの腰にしがみついた。
「俺も。チャニョルがすき!」
カアッーーーーーーーーーーッ!
恥ずかしくて
恥ずかしくて
上から見たら耳まで真っ赤だろうな。
「ん、もう!可愛い!!」
「わっ?!」
チャニョルに抱き上げられて、身体が宙に浮く。
よくそんな細い腕で俺を持ち上げられるな。
……………………じゃなくて!
「おい!バカ!離せ!////////////」
「ベクってば可愛すぎるよ!好き!すき!大好き!」
幸せいっぱいの笑顔が俺を見上げて、お腹も疼き始める。
俺の膝を抱き締めて、俺のお腹に顔を埋めて甘える、俺のチャニョル。
「ベク!」
「ん!」
不意にふわりと唇を重ねられる。
「大好き!」
「ん!/////」
やわらかなチャニョルの唇を、自分の唇がぜんぶ感じてしまう。
「ほんとに、ベクだけ!」
「んぁッ、!////////」
長いキスに息が続かなくて口を開くと
「愛してるよ。」
「ッ!!!/////////////」
思いも寄らない愛をその低い声で囁かれて、俺はノックアウト。
「幸せ!」
チュッ
リップ音を立てて再び重なるキスは深くて、頭の芯まで蕩けさせるキスだった。
「ん、、俺も、ンン、」
チャニョルの小さな頭を抑えて俺からも唇を重ねる。
"すき"
言葉では伝えられないくらい。
お前が傍に居るのが当たり前過ぎて
ほんとの気持ちに気づかなかった。
だけど、今はもう違う。
これからはお前からもらった以上に俺の愛を感じさせてあげる。
すきだよ。
これからも俺の傍に居ろよ。
俺はお前のなんだから
お前は俺のだ。