「ルハニヒョン、口開きっぱなしですよ。」
隣で見ていたセフンが俺の顎に手をのせてわざわざ閉じてくれた。
「見とれちゃいました?」
人の悪い笑顔を向けて面白そうに言われて顔をしかめて見せるけど、内心はバレてることにドキッとした。
こんなこと、こいつにも他のやつにも知られたくない。だって、変じゃないか。憧れというわけでもないのに、見とれるなんて。
「男に見とれるか、ばか。」
「そうですか?僕はたった一人の人には見とれますけど。」
「お前、ゲイか?」
「さぁ?それを言うならずっとミンソギヒョンを見てたルハニヒョンがでしょ。」
「なんでだよ。」
「まぁ、いいですけどね。あ、次は僕たちの番みたいですよ。」
セフナは天然なわけじゃないと思うが、こういうことをさらっと言えちゃうところがなんとも凄いよな。
………あれ?他にも似たような奴が知り合いにいたな。………誰だっけ?
「ヒョン!はやく!」
大きな鏡の前でスタンバイしてるセフナに呼ばれ、考えるのを止めて、セフナの隣に立つ。
[ Say Yes !] side L
踊ってる間もチラチラと鏡越しにミンソクから目が離せなかった。
人の和のなかに交じってじぃっと見つめるミンソクに俺の心臓は反応する。
今日はなんだかずっとミンソクのことばかり。
俺ってばほんとに、変な奴。
躍り終わると練習室に響くほどの拍手を受けて、セフナと顔を見合わせて笑った。
先生にも誉められて自信をつける。
ミンソクを見ると笑顔で誰よりも拍手してくれていた。
「ミーちゃんとも一緒に踊れたらな。」
ふと思ったことを呟いてみる。
だって、あんなに上手い人と踊ってみたいって誰でも思うだろう。
「ふむ。次のダンステストでは3人組で審査するから、そのときにお前たちふたりとミンソクとのを見てみたいな。まぁ、だれと組むのかは今回は自由だけどな。」
「え、マジで?」
「よかったですね、ルハニヒョン。また誘える機会が増えましたね。」
セフンにからかわれても今の俺にはミンソクしか眼中になく、ミンソクに直行した。
「あ、ルハンお疲れ。凄いカッコよかった!」
俺にタオルを渡しながら笑顔で迎えてくれる彼に顔を緩ませながら、彼の肩に手を置いて真っ直ぐ見つめる。
「ねぇ、ミーちゃん。次のダンステスト、俺たちと踊らない?」
欲しい言葉はYes の一言。
お願い、Say Yes !