パシャリ
「はい、こっち向いてー、そのままー」
パシャリ
眩しいフラッシュに照される彼。
それよりも眩しい彼に、釘付けになって、
僕の時間は止まってしまった。
[To be a slave to your eyes ] side T
花を持っての撮影で、僕は息を呑み込んでただ見つめることしかできなかった。
大人びた雰囲気を纏って撮影するセフナ。
あまりにもカッコよすぎて声が出なかった。
「タオ、タオ?」
クリスが話しかけてくるけど、今の僕にはセフナしか映らない。
じぃっと見てると、撮影中のセフナと目が逢っちゃって、条件反射で肩が跳ねる。
セフナはふっと目を細めて僕に視線を逢わせたまま撮影をする。
僕はその瞳に囚われてしまい、マネキン人形のようにその場に立ち尽くしてしまった。
僕を逃がさないその瞳に写るのは僕で。
それだけで僕の心を糸も簡単に奪ってしまう。
「おいっ!タオ!」
後ろからルぅちゃんに蹴られて、僕は我に還った。
「痛い!ルぅちゃんのバカっ!」
せっかくセフナが見てたのに!
「何度も呼んでるのに気づかないタオが悪い。仕事中なんだから後にしろ!」
うぅっ……。
そう言われたら、なにも言い返せない。
渋々ルぅちゃんに付いていって、次の撮影用の衣装に着替えた。
まだ、ドキドキと心臓はうるさいまま。
僕の心はセフナにしか反応しない。
