32 真理の嘘を確信するー『良心の危機』を読む③ | エホバの証人(JW)について考えるブログ

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弁護士。元JW2世。1980年代後半13歳バプテスマ・90年代前半高校生で正規開拓者,18歳奉仕の僕・その後外国語会衆・一時的べテル奉仕・2000年代前半大学進学・自然消滅・JWと決別、その後弁護士という人生です。過去の経験を書き綴り皆さんとJWについて考えていきたいです。

【良心の危機への雑感】

 

それでもなんとか『良心の危機』を読むに至ったわけですが、

まず最初に、この本を読んだ時の軽い感想・雑感について書き、

その後、この本が自分の心に決定的に与えてくれた影響について書きたいと思います。

 

1.エホバの証人関係者にとっての読みやすさ

 

まず最初に感じたのは、この本の書き出し部分にレイモンド・フランズのエホバの証人としての経験、プエルトリコでの宣教者や支部監督としての経験、ギレアデに行った経験などが書かれていて、まるで「ものみの塔」や「年鑑」にある経験談を読んでいるようで、とても読みやすい、入りやすいということでした。

 

読み進めるにつれて、さすがは「ものみの塔」の記事そのものを書いていた人の文章だな、と感じることがとても多かったっですし、

この点が、「悪霊なみに恐れていたレイモンド・フランズ」への印象を根本的に変えてくれました。

 

2.洞察の本の著者

 

それよりなにより、私が非常に衝撃的ともいえる感銘を受けたのは、レイモンド・フランズが『洞察の本』の内容のほとんどを書き上げた人その人である、という事実でした。

 

私は現役時代、エホバの証人組織の様々な本に精通するように努め、「王国宣教」に書かれる「質問箱」から、年鑑・ものみの塔・目ざめよ等に出てくる経験も含めて、いろんなエホバの証人の提供する情報を取り入れて頭に入れるようにしていました。

当時の私は、(まちがった教えだったとしても)エホバの組織が教える教えをとても愛していました。

 

そして、そのような中でも、「霊感の本」のように聖書そのものについて教える書物が最も好きでしたし、その中での最たるものが『洞察の本』でした。ここまで徹底的に聖書のそのものを解説する本はほかにはないと思いましたし、これこそが「エホバの証人の固い霊的食物」の中でも最も優れたものだと、日々感動しながら何度も通読していました。

 

そして『良心の危機』を読んだときに、

・レイモンド・フランズが『洞察の本』の前身となる『聖書理解の助け』を作るためにブルックリンべテルに呼ばれたこと、

・その本が完成してすぐにレイモンド・フランズが統治体に任命されたことを知りました。

・また、なぜ『聖書理解の助け』が日本語で発行されず、その後、よく似た内容の『洞察の本』が出たのか、なぜ『聖書理解の助け』は日本語訳されないのか不思議に思っていましたが、レイモンド・フランズが排斥されたのちに、エホバの証人組織にとって都合の悪い中立的な真実が書かれている部分が削除されたうえで、改めて『洞察の本』が発行されたことを知るようになりました。

 

私は、私が本当に愛していた真理の中核となる本を作ったのがこの人であること、そしてその自分が愛した「真理」について、今やその人が「本当の真実」をこの『良心の危機』という本の中で書いているのだ、ということを知りました。

 

何万人という人の人生を狂わせ、いまやそのほとんどが破棄されている奇妙な予言についての教えは狂信的なフレデリック・フランズが作り上げ、誰もそれに逆らえず、或いは、逆らおうともせずに垂れ流され、そして今や忘れ去られている一方で、

 

今読んでも感銘を受ける「聖書そのもの」についての深い解説は、レイモンド・フランズ(そして彼と一緒に排斥されたエドワード・ダンラップ)が調査して書き上げたものであると知り、さらに今や、まさにその人が、その後に渾身の思いを込めて全世界のエホバの証人関係者に向けた『良心の危機』の本を自分が読んでいるのかと思うと、

何とも形容しがたい、しかし、本当に重く深い思いが自分の中を巡ったことをよく覚えています。