紫勲
環境を変えたのがよかったか、ふっくらして少し調子づいてきた紫勲。実は紫勲のことで、ちょっと考えてみた。どういうことかというと、同系統のアルビニカは極めて強健でよく育つのに、どうして紫勲はそうでないのか、という点である。ご存じの方も多いとは思うがアルビニカは紫勲の白化品種であり、突然変異で色素が抜けた結果、黄色い肌になっている。ならば紫勲よりもアルビニカの方が強光線に弱いと考えるのが普通なのだろうが、実態はどうかというと逆なのだ。アルビニカは我が家の直射光栽培に適応してどんどん分頭しているというのに、それより長く育てているはずの紫勲は全然増えていない。何か心当たりがあるかと言われれば、強光線に弱いとされているのに直射光栽培をしてしまっていたから、としか言いようがないだろう。しかし、だとすれば紫勲よりも色素が少ないアルビニカの方が、より一層強光線に弱いはずなのだが…(惑)。そういえば実際問題、グレーと黄色とではどちらの方が反射率が高いのだろうか…。と思ってよくよく調べてみたら、こんなデータに出くわした。色毎の可視光線反射率をグラフにしたものである。
まず、これ↑がグレー。この場合は灰白色やダークグレーではない、いわゆる標準的グレー、つまり紫勲の体色のグレーと考えていいだろう。どの波長域も50%程度、つまり「中くらい」に反射している。
そしてこちら↑が黄色。波長域の半分以上、緑から赤にかけての広い範囲が100%近い反射率になっている。
ちなみにこちら↑は白。当然のことながら、全波長域をほぼ100%反射している。あっ、そうだ! 白い多肉は強光線に強い、と自分でもしつこく言っていたではないか!(←大馬鹿者) 色素が抜けているから不利、という大前提からして間違っていたのではないか(大汗)。
ついでに青や緑、赤についてもグラフを見てみた。
青↑や緑↑は山型のグラフでしかもピークが低く、100%には全然届かない。
赤↑は黄色に次ぐ高い反射率だが、100%近い反射率の範囲は黄色よりも狭くなる。
で、これを紫勲系のリトープスの体色に当てはめると、次のようになるだろう。同じグレーでもディンテランタスのように白っぽいグレーならば反射率が高いだろうが、紫勲のグレーは反射率が中くらいのレベルのグレーだ。そうなると、光を弾く能力は黄色いアルビニカより劣る、という結論になるのではないか。それが強光線に対する耐性、ひいては強健さの違いにつながっているのではないか。
以上はあくまでも素人である私が弾き出した推論なので本当のところは分からないが、色の性質自体についていえば興味深い事実が分かった。すなわち、これを乱暴に多肉の耐光性に当てはめてみると「白>灰白色>黄色>赤>茶色?>グレー>緑」の順で強光線に弱くなっていくのではないか、という推測が成り立つのだ。そういえば、体色を青や黒の方向へと進化させた多肉はほぼ見当たらない(黒っぽいのはいるけど)。強光線下では不利になる場合が多いのだから、当然と言えば当然のことかもしれない。