
新規導入した朱唇玉
性懲りもなくまたしても、たまたま立ち寄った近所のホームセンターからリトープスを救出してきた。例によって品種名など書かれてはいなかったが、島田先生の本では「朱唇玉」と呼ばれている、花紋玉の変種の一つだろうと思われる。くだらない話だが、時々このような配色の饅頭(上が赤茶色で側面がグレーのやつ)を見かけることがあるので、個人的には「美味しそうな」感じのリトープスである(笑)。ちなみにこの朱唇玉の他に「トップレッド」と呼ばれている似通った品種があるのだが、この二つの関係についてはまさにカオス状態と言っていい。同じものだと言っている人もいれば、いや違う、赤みが濃いのがトップレッドだ、とかなんとか、人によって見解がバラバラだ。第一、ネット検索してみても、それぞれに模様や色の幅があったりする。そもそも花紋玉自体、実生した際の模様のばらつきが非常に多い種類なのだそうで、この朱唇玉も結局のところ花紋玉の顔違いの一つ、といった程度のものではないかと思う。島田先生の本でも特別な学名が与えられていなかったことから考えても、「モノとしては花紋玉、マニア的に言うと朱唇玉」といった感じでいいのではないだろうか。ちなみに、我が家では他にデフォルト(?)の花紋玉がいるので、区別のため今後こちらは朱唇玉と呼ぶことにする。
さて、実はここで一つ、問題がある。というのは、うちではどうも花紋玉系の栽培成績がはかばかしくないのだ。デフォルト花紋玉は一時期3頭まで増えたのだが、そのうち一つは細根を枯らしてしまい、再発根にも失敗してダメにしてしまった。残る二つのうちの一つも猛暑による日焼け(?)のダメージを受けていて、この先どうなるか分からない。花紋玉系では他に白薫玉もあるが、こちらも一度細根を枯らしてしまい、再発根には成功したものの花を見ずに冬を迎えてしまった。なので、我が家的にはどうも花紋玉系は細根が枯れやすい傾向があるように思っているのだが、どうしたものかと先人たちのホームページを見てみると、以上の事実とは真逆のことが書いてあったりする。すなわち、「花紋玉系は山頂性(丘陵性や平地性よりも降水量が少ない地域)のリトープスだから、水やりは辛めに」云々というのである。でも、うちは灌水を辛めにしてはいなかった。いやむしろ、他の種類と同じように普通に灌水してきた。そして、改めて考えてみると、花紋玉系以外でこれまでに細根が枯れたリトープスはなかったはず…。それでも細根が枯れたのだから、本格的に辛めにしていたらもっと早く危機的状況になっていたに違いない。ちなみに水やりに関しては、リトープスの自生地の降水量の少なさに対する誤解を指摘している先人がおられた。なんでも、計算上は(日本の)普通の雨に週に1回1時間雨ざらしになることで、山頂性リトープスの自生地の降水量と釣り合うくらいなのだという。そして、我々はリトープスに水をやらなさすぎているのではないか、とも。冬季降雨地帯産の問題は別として、リトープスの積極灌水については今一度考え直す必要があるかもしれない。脱線したので話を戻す。他のリトープスでは細根が枯れないくらいに灌水量は十分だったということであれば、何か別の原因を考えなければなるまい。それで思い当たることといったら、当然、岩石鉢であることだ。山地性ならむしろ、かつてのガチガチの岩石鉢とは相性がよさそうなものだが、何かマズい要素が含まれていたのではないか。そして、この春から切り替えた新型岩石鉢ではどうなのか。いずれにせよ、山頂性リトープスの性質については、もう少し勉強し直してみる必要がありそうだ。
で、それはそれとして、今回の朱唇玉はちょっとした実験となる。というのは、前述の花紋玉も白薫玉も、いずれもガチガチの岩石鉢の頃に調子を崩して細根が枯れているのに対し、朱唇玉は「最初から新型岩石鉢に植えられた花紋玉系」となるからだ。この朱唇玉の経過も見ながら新型岩石鉢の効果を検証していきたいと思う。