羊蹄山(蝦夷富士)

元は後方羊蹄山と書いてシリベシヤマと呼ばれていた

あの美しい山容を眺めながら

「で?どこが羊の蹄?」

「前方の羊蹄山はどれ?」

とアタマを傾けたり写真をひっくり返したりして

心当たりを得ようとするが実際見当もつかないだろう

それは全くのお門違いだからだ

今とは正確な地域は異なっているのかもしれないが

元は日本書紀に記述のある「後方羊蹄」の地名に由来している

田畑の畔によく見るギシギシのむかしの云い方が「シ(之)」というそうだが

そのギシギシの漢名(漢方薬名)を「羊蹄」と表すことから

「後方=シリベ」「羊蹄=シ」と宛てた

シリベシの地にある山ということから

「後方羊蹄山」と書いて「シリベシヤマ」と読んだ

(因みに現在シリベシは「後志」と表記される)

その後昭和の中ごろに地元の人たちからの要望があって

すでに云い慣らされていた訓読みの羊蹄山(ようていざん)へとすっきり名前を変えた



手前に少し低いが同じく美しい山容の「尻別岳」がある

アイヌの人たちは尻別岳を雄岳、後方羊蹄山を雌岳と対にして信仰していた

雌岳の方が高くて立派だな、ということに違和感をもった人は

武家社会の慣習がしみついた人だ

元来自然信仰の日本では命を生み出す女性の方が遥かに畏敬される

日本の神様の最高峰は天照大神

女性の神様だ

アイヌの人たちも同じような思考の民族だったのだろう



美笛峠を下り国道276号線を喜茂別へ進むと

正面に不意に羊蹄山が現れてハッとする

そしてその視界の左に尻別岳

富士山に代表される美しい三角形の火山を以前はコニーデ型と云ったが

日本にはこの種の火山が多いことから同じコニーデ型の火山を

「〇〇富士」と呼んで地元に親しまれてきた

この羊蹄山も「蝦夷富士」と呼ばれている

北海道にはその他にも利尻富士がある



東北の岩木山(津軽富士)

関東の榛名山(榛名富士)

山陰の大山(伯耆富士)

四国の飯野山(讃岐富士)

そして九州の開聞岳(薩摩富士)

日本各地でどれもみな素晴らしい郷土富士を実際に見てきたけれど

羊蹄山の美しさは群を抜いている、とボクは感じる



ニセコへ向かいながらどんどん近づく羊蹄山にますます心が躍る

この日は山に一片の雲もかからず感謝したくなるようなコンディション

北海道初日だったけどもうこれが見られれば今回の北海道ツーリングは

大成功だったなと感じる程だった

言葉にするととても陳腐なんだけど

何度も羊蹄山に向かって

「あーりーがーとーうー!」

と叫んだのだよ

この天邪鬼のひねくれ者がね

自分でもびっくりするくらいね



まぁいいさ



雪が積もった美幌峠を寒さと恐怖の中恐る恐る越え

弟子屈の神ドラッグ「ツルハ」で「桐灰カイロ マグマ」を買った

(この時期北海道といえどもコンビニにはカイロはないらしい)

ツルハ「神」ドラッグストアさまには棚2枚にかろうじてカイロが残る

しかも桐灰のマグマ

店内ですぐに高温注意のマグマを7枚貼った



因みに屈斜路湖川湯のこの日の9時の気温は5.3℃

風は北北西から4.9m(湖畔は倍くらいだったけどね)

自販機にはすでにホットの設定が無いところが多く

持って行ったポットに熱いコーヒーを調達しながら走っていた

けれどさすがに「マグマ」

その後はポカポカとは云わないが寒さは感じることが無くなった



開陽台を出てすぐに一時的に雨に降られる

止む気配が無いのでカッパ装着

さすがにフリースインナーにマグマ7枚張り、ウルトラライトダウンベスト

ナイロンジャケットからのカッパ

これは暖かかった



野付半島の付け根から道道950号線へ入るころには

雨もすっかり上がって日も差していたが

風が強くまだ寒そうだったのでカッパのまま走った

野付半島は根室海峡から続く野付水道に頼りなく突き出した砂嘴で

厳密にいえば半島ではない

砂が堆積してできた洲が長く連なっている

ほぼ真っ平で砂嘴が狭い場所では視界の左右に海が見えるほど細い

この現実離れした景色こそここ野付半島の魅力だ

砂嘴の付け根から道道950号線が先端の野付灯台まで伸びる

その長さおよそ18km

右手の野付湾にはいくつも短い砂嘴が伸びて

時折大きなミズナラの林も見られる



しかしそのほとんどは海水によって浸食され立ち枯れ

荒涼とした風景を見せる

以前は枯れ朽ちたトドマツの根が水辺に散見されたようだが

道路から見る限りではそれらはもうほとんどが朽ち果て消えてしまっている




道は先端でどん詰まりなのでそのまま国道へ引き返す

根室水道の向こうには国後島の山並みがはっきり見える

その左手は知床半島

まだ雪をかぶる羅臼岳が良く見えた

オートバイを停めて草むらにカッパのまま座って眺めるが

ふと気づくと多くのシカがすぐそばで草を食んでいた

中に立派なツノを持つ雄もいる



シカの群れ、漁に使うカラフルな浮子、そして国後と知床

羊蹄山の景色に劣らぬ忘れられない情景だった



今回のツーリングを計画するとき

羊蹄山とニセコ連山を巡る道道66号線

そして巨大な砂嘴に伸びる道道950線がとにかく目的だった

この2箇所は西と東に直線距離で400km離れていて

いくら日程が5日あるとはいえかなり行程に制限が出てしまった

けれどどちらも天候には恵まれ(気温は内地で云えば冬並みだったが)

良いも悪いも成功も失敗もないのだろうが

満足度はかなり高いものとなった



北海道に着いて、走り出してすぐに

ボクは北海道を走ることが特別だと強く感じた

けれどその理由を、特別だと感じる理由をうまく説明が出来ない

走り慣れた飛騨や信州とは明らかに違う風土がある事は間違いないが

やはりそれだけが理由ではないように思う

羊蹄山もニセコも

野付半島も

特別ではない

きっともっと単純なことなんじゃあないだろうか



と云うことでもう少しお付き合いいただきます、北海道
 



どんな走り方が好きなのか、と問われれば

ただただ黙々と距離を稼ぐような走り方だろうか

若いころから健診結果の数字が悪くて医者からあれはダメこれは控えて

と云われるうちにすっかり食べることに興味を失い

いまでは土地の名物もインスタの映え飯にもちっとも食指が動かない

美しい景色とかすごい景色とかの類いも

片っ端から名所を回るうちにすぐにトキメかなくなっていった



だからボクにとってツーリングは普段の散歩走りとあまり変わりがない

けれど散歩していてもとても楽しく満足できるので

本当は遠くまで行ったり泊りがけで走ったりしなくても

いいと云えばいい



なのに北海道を走ることは特別だと感じるのだ

それを説明しようと自分自身の頭の中を分析してみたけど

どうにも答えらしいものは見つからない

見つからないのに特別だという感覚は

いったい何に、はたまた何処に、起因しているのだろうか



ツーリングに出た時、必ず決めているのは

旨いものを喰う事でも道の駅に寄る事でもなく

または温泉につかったり城を巡ったりすることでもない

ただ1日1回はオートバイを降りてのんびりすることだ

単にそれだけ

場所は・・・どこでもいいだろう

時間もいつだっていい

ただ心に響いた時と場所で、ただただオートバイを停める

もちろん逆に名所だからとか観光スポットだからと云って

わざわざ避けたりすることもない

富士山の見られる海岸だって停めてぼんやりすることはある



この写真の場所は浦幌町の道道1038号線

後で地図で見たが「オタフンベ海岸」という浜らしい

オートバイを停めた場所の陸側には小高い丘があり

オタフンベチャシと呼ばれるアイヌの砦があったのだそうだ

鎌倉時代頃というから1000年位前だ

写真の背面側へ辿ると襟裳岬へつながる長い馬の背状の海岸線が遥か彼方へ伸びている

オタフンベとはアイヌの言葉で「砂ークジラ」の意

砂を集めて打ち上げられたクジラを模した故事による地名のようだ

敵を謀るために打ち上げられたクジラをまねて砂をかたどり、そこに兵を忍ばせた

食料不足の敵は打ち上げられたクジラと信じ武器も持たずに駆け付けたところを一網打尽にされた



見渡す限りの太平洋とそこから繰り返し止めどなく打ち寄せる波

浜には少し冷たい風

アイヌの男たちの壮絶な戦い

空はその日も青かったのかな、なんてふと考える



ここは国道273号線 糠平国道

糠平温泉の手前の旧国鉄士幌線音更第3橋梁跡の写真だ

鉄橋ではなく素材にコンクリートを用いたのは

砂利が現地調達できたことによる費用低減と

国立公園内の景観に調和するデザインをという意図がある

いちばん大きなアーチは32mもあり

全橋長は71mにも達する立派な橋だ

この橋梁の成功により日本各地でアーチ橋が作られるきっかけになったり

建設資料が詳細に残されていることなどから学術的な価値も非常に高いのだそうだ

竣工は1936年

この後行った「タウシュベツ川の橋梁跡」は1937年竣工

あちらは11連アーチの全長130メートルだ



それにしても近代国家の交通インフラに対する熱意は激アツだ

悲しいかな今ではクマとシカとキツネの住処に成り下がった

人の気配など微塵もない

ただ森を切り裂く国道を時折猛スピードでクルマが走り抜けるだけだ



この日は冷たい冷たい雨が降る最悪のコンディションだった

クマ出没注意の看板にビビりながらも

森と巨大なアーチ橋とシカの群れが不思議なコントラストだった

カッパを着こみヘルメットをかぶったまま

アーチ橋が見渡せる橋の上にしばらく佇んでいた

1987年に士幌線は全線が廃止

それからすでに37年がたつ

この先の幌加にも終点の十勝三股にもすでに町は無く

コンビニなど云うまでもないがあっても良さそうなガソリンスタンドもない

そしてクマやシカにまで普及すれば別だが

モバイルの電波もここにはない



ここは夕張

炭鉱の町だった

北九州と並んで日本の近代を支えた化石燃料「石炭」の産地

今ではもう国内の炭鉱は釧路に1か所だけだが

最盛期にはここだけで年間500万トンを採掘していた

その当時、夕張には16万人が暮らしていたのだ(現在の夕張市は8600人)

今は建物もほとんどなくなって

山の斜面や谷筋の平地がすべて草木に覆われてしまっているが

かつての賑わいがいかほどであったかは容易に想像が出来る

ここに健さんの映画「幸せの黄色いハンカチ」のロケ地が残っている

撮影当時からあった理容店が喫茶店になり管理棟として残る

相手をしてくれた施設の人が丁寧に当時の状況を教えてくれた

平らになっているところにはすべて住居があった

「みんな何処に行ってしまったんでしょうかね?」

とひとりごとのように呟いたボクのつまらない問いかけに

彼女は遠くを見たまま乾いた笑いを返してくれた



これがボクのツーリングのひとコマなのだ

けれどやはりここには北海道が特別だと感じるモノの姿はまだ見えていないような気がする

気持ち的な何かだとは思うけれど

ここはもう少し話を進めながら考えてみようと思う


 



人間の記憶とはおよそいい加減なものだけれど

「快」の記憶より「不快」の記憶の方を優先的に、しかもしっかりと

アタマの何処かに仕舞い込んでいくような傾向があるように感じる

しかもその「不快」の記憶は

それを体験している時の印象とはガラッと変わってしまっていて

辛く苦痛を伴っていたはずの記憶なのに

逆になぜだか愛おしい瞬間だったかのようによみがえるのだ



5月の20日から一週間

北海道を走ってきた

十数年ぶりの北海道はやはり素晴らしく感動的で

苫小牧でフェリーを下り

支笏湖へ向かう樹海の中の国道を走り始めた瞬間に

普段とは違う自分になったように感じる程の高揚感に包まれた

青空に叫び

森の木々に叫び

すれ違うライダーたちに手を振った

こんなの自分じゃないな、と笑ってしまう自分が愛おしいほどなのだ



けれど5日間 1700kmを走った結果

もっとも印象に残っているのは

季節外れの寒気に包まれ一日中雨に降られた3日目なのだ

今まで信頼していた防水ブーツには1時間で裏切られ

新調したレイングローブは2時間持たなかった

気温は一桁、6℃とか7℃

北海道で最も高い三国峠(1132m)は霧

留辺蘂へ峠を下って行く時

指先はパンパンに腫れ上がって痺れ

身体の震えを呼ばないように何度も止まってはオートバイを下り

駐車場を歩き回って体温を上げた



もう何度もツーリングに出ているが

その中でも5本の指に入る辛さだった

雨には慣れているが浸水した手と足の指先が

10℃以下の気温で凍るような経験は初めてだった

「辛いなー」と呟きながら

こころのどこかでそれを楽しんでいた

ロングツーリングの醍醐味は

陳腐な言い回しかもしれないけど

過酷な状況に身を置くことなのだ



何とか凌いでその日は美幌にて投宿

そして4日目の朝

美幌峠は積雪

峠の入口の掲示板に「美幌峠 凍結 夏タイヤ通行不可」と出ていた

気温は10℃くらいだったが風が強い日だったので

陽があたれば行けるんじゃないの、と根拠もなく考えながら

ずるずると峠に近づく

路肩のフキの葉が風でめくれて白く見えているのかと思ったら

その白いものは葉に積もった雪だった

思う間もなく周囲の森の木々は綿帽子をかぶり

路肩にもうっすらと雪が残る

現地でもニュースになるほど珍しい積雪だったようだ




結果的には何事もなく通過できたが

やっぱりこういう経験は強く心に残っていく

人間の本質はマゾなのか

いや

こんな目に二度と会いたくないからしっかりと記憶して

次に備えるようとする防衛本能みたいなもんだろうか

でもそれが楽しみでもあるとするなら

やはりマゾヒスティックなのか



昨日自宅に戻ったばかりなので

北海道については次の機会にもう少し書きたいと思う



泥の塊になったSR400

朝から爽やかに晴れ上がったので

まずは水洗いしてやった

そのあと外せる部品を外したりして

中の中まで入り込んだ泥を落とす

夕方までやってたけどまだ2,3日かかりそうだ

それにしてもこんなに晴れると

オートバイに乗りたいなー、と考えるボクは

バカなのでしょうか?



毎週週末が近づくと

また誰かが死ぬのかなと漠然と思う

そして実際に週末のオートバイ事故のニュースを目にして

その度に暗澹たる気分になるのだ



自分では注意しても防ぎきれない事故はある

けれどカーブを曲がり切れずとか

自分で防げる事故もとても多い気がする

白バイ隊員が右直事故にあったニュースを見て

右直事故の難しさを痛感したが

右直事故(側道、駐車場からの進入を含む)こそ

ボクたちライダーが最も気を付けるべきもので

経験と意識と技術がとても大切になってくる

しかし、かく云う自分だって

今日右直事故にあわないという自信はない

自信はないがこれは防げる事故だと思っている



オートバイに乗り始めた頃

走るたびにドキリとしたりヒヤリとしたりしていた

けれどまずはこの体験がものを云う

急に横からクルマが出てきたことにドキッとするとは

全くそのクルマの存在がノーマークだったということだ

けれどその時、ドキッとしたクルマの存在に本当に気付けない状況だったのか

自問することが重要だ

警察のネズミ捕りにあって

「汚いやり方だ」と抗議したら

レーダーの見える場所まで連れていかれて

「隠してないでしょ」と云われた

警官が云うとおりレーダーは100m手前から確認できたし

それが小さな子供だったり進入しようとするクルマだったら

見逃しているということと一緒なのだとも云われて何も返せなかった

追尾してくる白バイだってそうだ

良く周囲を確認していれば白バイはミラーで確認できる

こういった体験からの気付きが「経験」になっていくのであって

最悪なのはシビアケースに会っているのにそれに気付いてもいないこと

ヒヤリとしてもそれから学ばないこと

それではいつになっても事故のリスクを減らしていけない



そして実際に交差点や路面に店が並ぶ幹線道路を走る時

ボクはいつも「右直右直」と声に出して意識するようにしている

そういう場所ではなるべく自分と他の交通との位置関係を変えずに

(身軽なことを逆手に取ったすり抜けや急な進路変更は最も危険だ)

出来れば回避できる場所を常に意識する

F1パイロットの中嶋悟がレース中は常に自分の位置を

上空から俯瞰するように捉えていると云っていたが

まさにそれが理想だ



その上で急制動の技術を上げておく

リアの意識的なロックや

ABS搭載車なら確実にABSを効かせられるレバー入力



経験と意識と技術



それに比べて単独の自爆事故は原因がはっきりしている

脇見か技術不足だ

運転中に前方を注視するのは大原則だ

周囲の状況を(俯瞰する如く)確認しながら

前方に常に意識を向けていれば事故はかなり防げる

とにかく自分が事故の第一当事者になってはいけない



そして自爆事故

もちろんコーナリング中が多い

路外に逸脱するだけでなく

反対車線の交通を巻き込んだりもする最悪の事故だ

そこで問いたい

「あなたはオートバイをどうやって曲げていますか?」

どんな方法でもいい

自分なりのコーナリングメソッドははっきりさせておくべきだ

カーブが苦手なんて臆面もなく云ってるやつはどうかしてる

曲がり方が曖昧なのによくも公道で走ってるな

スピードのコントロールもコーナリングの内だ

リアブレーキ使えてますか

ブラインドの先に自転車いたらどうしますか

濡れたマンホールがライン上にあったらどう回避しますか

こんなことも出来ずに今まで公道をおしゃべりしながら走ってたなら

それはただただ運が良かっただけだ

そしてその運はいつ不運に変わるのかもわからない



もちろん最初にも云ったが

事故は防げないケースも多い

だからどんなに経験しても意識しても

どんな技術を身に付けても

事故にあう可能性はゼロにはならないだろう

ボクだってこんなに偉そうに事故を語っていても

今日オートバイで事故にあうかもしれないのだ

けれど防げる事故も必ずあると信じる

毎週毎週オートバイの事故のニュースなんて見たくないのだ



ロングツーリングに出掛ける前日だけでなく

明日オートバイに乗ろうかなというと

なぜだか漠然とした不安感が少し心の隅にあるのをボクは感じる

心配性だなんて恥ずかしいなと思ったこともあるけど

これが事故に対する不安からのものならば

この感じはとても大切なことだと今は思っている

オートバイに乗ることはとても楽しい

リスクを上回る楽しさが確実にある

けれどキミを心配してくれている人のことを絶対に忘れるな

キミはたとえ事故で死んでも後悔すらできないけど

キミの死が残された者のその後の人生をも左右することもあるのだから



さて

いよいよ来週は久しぶりの長旅に出ます

事故に気を付けていってきまーす



一日の寒暖差が大きいのが厄介でもあるが

よく晴れた日の昼間はとても爽やかで

本当に気持ちが良い季節

落葉樹たちの芽吹きも盛んで

山は一気に生気を取り戻した



タイヤの状態が悪くて交換を迷っていたSR

やはり北海道へ行く前にタイヤ交換しておくことにした

いつものテックモーターサイクルへ相談に行くと

いろいろ提案されたが

結局ブリジストンのアコレードに決めた



ブリジストンのHPを見ると

クラシックなパターンもさることながら

グリップ性能にも特化させているようで

この手のタイヤに見られがちな

「ウェットグリップ性能を向上させ」という文言ではなく

ストレートに「高いグリップ性能」と謳っていて好感が持てる

フロントタイヤが純正指定と同じサイズの設定が無く

一回り小さい90/90-18サイズをチョイス

スペック表によれば

純正指定タイヤ ブリジストン バトラックス BT-45(90/100-18)と

このアコレード AC-01とでは

外径で-14mm、トレッド幅で-4mmの差がある

アコレードの方がほんのわずかに小さい

この差は数字だけ見ていると無視できそうだけど

実際のタイヤを見ると明らかに「ひと回り」は小さく感じる

フェンダーとの隙間が「スッカスカ」だと感じるレベル

正直あまりカッコよくはない

でもタイヤはやっぱり性能の方が大事

一皮むいた後、空気圧を指定値に合わせてワインディングへ繰り出す

もちろんそもそもがSRなので

真の意味(限界性能とか)でのタイや性能はあまり問題ではなく

いかにSRが持つ「気持ち良さ」をしっかりと支えてくれるか

この性能がいちばん大切で気になるところ

要するにSRを構成する「部品」であって欲しいのだ

指定空気圧に合わせたアコレードは

舵角の付き方がとてもナチュラルだ

それは「とても」一つではなく

「とても、とても、とても」くらいナチュラル

旋回初期に良く曲がる今時のオートバイを経験すると

倒し込んだだけ曲がらないと逆に違和感を感じるものらしい

だから「フォークオイルが」 とか

「フロントのバネが」 からの

「フォーク突き出し量が」 までいく

でも、そこを求めるならそもそも乗ってる車種を変えろ

と云いたい

最近はやりのモトブログ見てると(ステアリング越しの走行動画ね)

オートバイが傾いてから少しも旋回してないのをよく見る

気持ちはレーサーらしく

倒し込みは「クイック」が命らしい

後姿の映像なんかだと

クイックに倒し込んだ後上半身が付いていけずに反り返っているのさえ見かける

残念ながらリーンからのフロント追従は持って生まれた性格に等しいので

フォークを付きだしたくらいでは多分変わらないし

変わったとしてもバランスが崩れているだけでちっとも良くはないだろう

そもそもスポークホイールだよ

それにあのスイングアーム

どこに標準が合わせてあるか推して知るべし だよね

それでもそれを面白くさせてあるところがヤマハのすごいところ

そしてSRに惹かれるところだ

そんなSRに惹かれたはずなのに

ワインディングでクイックダンスしたいならお門違いだ

SRにはSRのコーナリングがある

勘違いしてはいけないのは

それは決して「つまらないモノではない」という事だ

大切だからもう一回云っちゃうかな

「SRのコーナリングは決してツマラないモノではない」!

むしろ気持ち良い

アコレードはその面白さを全く邪魔せず

しっかりと構成パーツとして仕事をしてくれた

良いタイヤだった



とは云えオートバイのモディファイは楽しみ方としてもちろん「あり」だ

そこに求めるモノがあるなら試すしかない

そういう考え方には賛同する



タイヤ交換作業の合間代車貸してくれた

こないだまでウチの子だったカブ

今ではテックモーターサイクルの小僧におさまった

大将の足として、代車として活躍しているらしく

ODOメーターの数字が信じられないくらい伸びていた

SRが来て置き場が手狭になったことや

SRが下駄代わりにもなるので売却したのだ

久しぶりの里帰りにクロ介との会話が弾んだとか弾まなかったとか



それはさておき

このところウキウキしながら北海道行きの準備に明け暮れる日々だ

北海道も順調に春を迎えているようだが

アメダスで現地の気温を日々チェックしては一喜一憂している

気温に相当ばらつきがあってウェアの選択が難しいのだ

とりあえず夏も冬もある程度想定が必要かなと考えている

もちろんまだひと月先なので出発の頃にはもう少し安定していると思う

気候と云えばたまたま北海道放送のこんなサイトを見つけた

HBC情報カメラ・いまの狩勝峠(リンクあり)

この中に「各峠カメラ」という情報カメラがあった

北海道の主要な峠のリアルタイムの映像が見られる

なかなか見かけない峠の気温と路面温度の情報まである

これを見る限り国道の峠は全く問題なさそうだ

それにしてもつくづく良い世界になったと思う

いや単純にね

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