森進一といえば、演歌歌手として認識している方が多いかと思うが、本人は演歌にとらわれない幅広い音楽性の持ち主であり、様々なジャンルのアーティストとの交流を深め、提供を受けた曲をリリースしている。
「襟裳岬」(吉田拓郎)「紐育物語」(細野晴臣)「待たせたね」(松山千春)「夜の無言」(シャ乱Q)などは、その一例である。
今回取り上げるのは、それらの曲の中でも僕が一番好きな、1982年リリースの彼の56枚目のシングル「冬のリヴィエラ」。
松本隆作詞、大瀧詠一作曲による、ポップス風のナンバーで、今のところ森進一のシングルでオリコンチャートトップ10にランクインした最後の曲でもある。
僕がこの曲を最初に耳にしたのは、サントリー・ウィンターギフトのCM。
ヴォーカルの声で森進一の歌だとわかったが、曲調は今までの彼の曲にはない、斬新なものだった。
これは、大瀧詠一のアルバム『A LONG VACATION』に入っていてもおかしくない曲だなと。
後で知ったことだが、この曲は森のレコード会社が「森進一に演歌とは全く違うロンバケの世界観を歌わせたい」という狙いで、松本隆と大瀧詠一のコンビに曲の提供を依頼してできた曲らしい。
松本は、アルバム『A LONG VACATION』収録の「カナリア諸島にて」を意識し、舞台を当時は未踏の地だったカナリア諸島から、実際に訪れたことのあるイタリアの地中海沿岸に移し、大人の恋の終わりの物語を綴った。
特に彼が拘ったのは、2番の歌詞の次のフレーズである。
彼女(あいつ)は俺には過ぎた女さ
別れの気配をちゃんと読んでて
上手にかくした旅行鞄に
外した指輪と酒の小瓶さ
「もう完全に世界ができちゃってました」
自分で作詞を手掛ける時には先に曲を書くという大瀧は、松本の書いた歌詞のイメージに合うように曲を付けた。
かくして、この名曲「冬のリヴィエラ」は生まれ、松本はこの曲の歌詞で、初めて日本作詩大賞を受賞した。
松本が拘ったのは前述の歌詞のフレーズだが、僕のこの曲の特に好きなところは、大瀧詠一ならではのきらびやかな美しいメロディーと、松本が書いた、次のフレーズである。
冬のリヴィエラ 男って奴は
港を出てゆく船のようだね
哀しければ哀しいほど
黙りこむもんだね
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