33年前(1987年)の本日4月25日、シンガーソングライターのKANが、シングル「テレビの中に」及び同タイトルのアルバムで、レコード・デビューを飾った。
もっとも、この曲とアルバムはヒットせず、実は俺も耳にしたことがない。
彼の名が知られることになったのは、4年後の1991年にリリースされた、8枚目のシングル「愛は勝つ」の大ヒットによる。
リリースされてから30年近く経った今も、多くの人の耳に馴染み、歌い継がれているこの曲は、J-POPのスタンダード・ナンバーと言ってよいだろう。
しかし、元々この曲は、前年(1990年)にリリースされたアルバム「野球選手が夢だった。」の収録曲の一曲に過ぎなかった。
大阪のFM局のFM802が、この曲をヘビーローテーションに選び、番組を問わず流しまくったことをきっかけに話題を呼び、シングル・カットが決まった。
後にフジテレビ系の「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」の挿入歌に使用されたことで、大きな反響を呼び、大ヒットに繋がったのである。
「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」のプロデューサーの小畑芳和氏によれば、これからはピアノを弾く男が流行ると思っていたことと、「必ず最後に愛は勝つ」というストレートな歌詞が吉田拓郎に通じるものがあると感じたことから、この曲を番組に使うことに決めたのだとか。
心配ないからね 君の勇気が
誰かにとどく 明日はきっとある
どんなに困難で くじけそうでも
信じることさ 必ず最後に愛は勝つ
そう、このストレートなメッセージが貫かれた歌詞が、この曲の最大の成功の要因であり、魅力なのだと思う。
男性の友人からの恋愛相談を受ける気になれず、半ば投げやりに「大丈夫、愛は勝つよ」と発言したことから、この歌詞が生まれたのだという。
ストレートな歌詞でありながら、抽象的な表現が多いのは、そのためなのかもしれない。
一方、決まったリズムパターンや、(イントロを除けば)終始入り続けるコーラスなど、楽曲作成に当たっては、彼が敬愛するビリー・ジョエルの「アップタウン・ガール」をモチーフにしている。
曲だけでなく、うまくいく恋愛の結末なんかから想像するに、歌詞も「アップタウン・ガール」の影響を受けているのかも?
俺も「アップタウン・ガール」は好きな曲の一つで、以前この曲紹介でも取り上げているぐらいだから、俺がこの曲を気に入っているのも、そこに起因しているのかもしれないな。