劇団ゴサンケ「正義のミカタ」正義の都合編/悪の理想編 | メイン・ストリートのならず者season2

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正義とは何か?悪とは何か?

昨日、正義の都合編と悪の理想編を続けて観てきた、劇団ゴサンケの「正義のミカタ」は、事前の触れ込みどおり、それら二つについて考えさせられる公演だった。



正義の理想編、悪の都合編共に、基本的なストーリーは同じ。

正義、悪のそれぞれにスポットを当てているところが違うのみ。

どちらかを観れば大体のあらすじはつかめるが、両方を観ればより理解が深まる。

正義は何のために戦うのか、悪は何のために存在するのか。

細部を突き詰めるためにも、じっくり考えるにも、両方を観ておいてよかったと思う。

正義というのは必ずしも正しいのではなく、悪(というより、世間一般で悪と認識されているもの)というのもその存在意義がある。

俺自身実際に戦うわけではないので、座学が優秀で、悪の組織に実際に立ち入ったリディア(渡辺みゆさん)の視点でみると、それらがより鮮明に伝わってくる。


ただ、正義と悪とは何たるかの答えがわかったのかと問われれば、答えはノーだ。

俺がわかったのは、次の二つのことだった。

一つは、世界を支配しようとする人のエゴが、何よりの悲劇や不幸を生むこと。

言うなれば、これが最大の「悪」なのかもしれない。

自身でそういったエゴを抑えなければならないし、抑えが効かなくなっている相手には、何としても食い止めなければならない。

冷静にみえるスティーブ(浜崎聡さん)やヴァンプ(門石藤矢さん)の狂気が、そんな思いを強調させてくれるように思えた。

もう一つは、俺自身はピーター(坂元恭平さん)やスワロウテイル(前田郁恵さん)のようでありたいということ。

仲間がさらわれたら、何としても助けなければならない。

相手がどんなに強かろうと、立ち向かわなければならない。

でも、結局は何のために戦っているのかはわからない。

熱い気持ちで奮い立たせられるのも、自分の行動に疑問を投げかけるのも、極めて人間らしい行動ではないだろうか。

気持ちのままに動いて失敗することもあるだろうし、戦いを挑んでも返り討ちに遭うこともあるだろう。

でも、それが正義の理想であり、実情であるように思う。




アンケートの項目にもあったことだし、坂元さんと前田さん以外にも、印象に残った役者を挙げておきたい。

ストーンローズ役のよしひろさん。

意外なことに、俺が役者としてのよしひろさんを観たのは、今回が初めて。

普段の彼女のイメージとは異なる、命令口調を駆使する教官だったが、そこは流石プロの役者といったところか。

ホットフィスト役の下浦貴士さん。

本番前に急遽メインキャストに抜擢されたとのことだが、責任感を強く持ち、ストイックに戦う姿は、彼のイメージそのものだった。

そしてもう一人、バッドヴォイス役の栗田ゆうきさん。

小悪魔的な雰囲気を漂わせる彼女からは、人はやっぱり一人では生きていけないんだ、ということを身をもって教えてもらったように思う。