第一章
アメリカとイスラエル
イスラエルのトランプ政権によるベネズエラ侵攻支持は、国際法の原則を無視した姿勢として強く批判される。
まず、イスラエルがトランプ大統領の「Operation Southern Spear」関連行動をいち早く支持したことは、他国の主権を侵害する行為を容認するものであり、国際社会から「主権侵害」や「違法なクーデター」との批判が上がっている中で、イスラエルがこれを支持するのは、ベネズエラの内政干渉を正当化するものに他ならない。
マドゥロ政権の打倒が「宿敵イランの影響力を南米から排除する機会」として捉えられている点は、イスラエルが自国の地政学的利益を優先し、他国の民主主義プロセスや国民の主権を犠牲にしている証拠であり、国際連合憲章が定める国家主権の尊重という基本原則に反しており、イスラエル自身が過去に他国からの干渉を非難してきた立場と矛盾する。
次に、ベネズエラとイランの関係を理由に支持を表明する点も問題で、イスラエルはマドゥロ政権を「イランやヘズボラとの協力関係」にあると指摘し、南米を「テロの軸」の延長線上にあると主張するが、これは一方的な敵対視に基づくプロパガンダに過ぎず、こうした主張は、米国の軍事介入を「反テロ作戦」として美化するための方便であり、実際にはベネズエラの資源や地政学的価値を狙った帝国主義的な行動を後押しするものである。
イスラエルがこれを「自国の安全保障上の利益」に結びつけるのは、グローバルなテロリズム対策の名の下に、他地域の安定を乱す行為を容認する短絡的な思考を示しており、結果として、中東の緊張を南米に輸出するような事態を招き、国際的な平和を損なう可能性が高い。
さらに、外交関係の修復を期待する姿勢は、露骨な利己主義を露呈し、2009年のチャベス政権による国交断絶以来、ベネズエラが反イスラエル姿勢を取ってきたことを理由に、新政権の樹立を望むのは理解できるが、これは「米国の息がかかった」傀儡政権を望むことに等しく、ベネズエラ国民の自主的な選択を無視したものである。イスラエルが過去15年以上の断絶を解消するために、他国の政権転覆を支持するのは、外交の原則である相互尊重ではなく、力による支配を優先する事になり、これにより、イスラエルは自らを「中東の民主主義の砦」と位置づけながら、他国では独裁的な介入を容認するダブルスタンダードをさらけ出している。
総じて、イスラエルのこの支持は、短期的な自国利益を追い求めるあまり、国際法の崩壊を助長するものといえ、真の安全保障は、他国の主権を尊重し、対話を通じて築くべきであり、こうした姿勢は長期的にイスラエル自身の孤立を招く恐れがあり、国際社会は、こうした自己中心的な行動を厳しく監視し、批判すべきなのだ。
第二章
イスラエルとイラン
イスラエルのイランに対する敵対政策は、79年のイラン・イスラム革命を起点とする長期的対立に基づいており、革命前は両国が良好な関係を維持していたが、革命後、イラン新体制はイスラエルを「イスラム教の聖地エルサレムを占領した敵」と位置づけ、国家存在を否定する姿勢を取るようになり、イスラエル側はイランの核開発疑惑(2002年発覚)を最大の脅威とみなしている。
イスラエルはイランの核開発を「存亡の危機」と見なし、ネタニヤフ首相は長年、核武装を阻止するための軍事行動を主張し、2025年6月の12日間戦争(イスラエルによる先制攻撃で開始、米国も核施設攻撃に参加)では、イスラエルがイランの核施設・弾道ミサイル施設を標的とし、両国で多数の死傷者を出した。
戦争は停戦で終了したが、イランの核能力は完全に破壊されたわけではなく、再構築の兆候が見られる。
イランはハマス、ヒズボラ、フーシ派などの反イスラエル勢力を支援し、イスラエルはこれを「テロの軸」と批判。
イスラエルはシリアやレバノンでのイラン関連施設を繰り返し攻撃している。
イラン側はイスラエルを「帝国主義の代理」と非難し、イスラエル破壊を呼びかける声明を繰り返し、イスラエル側はこれを「ジェノサイド的脅威」と位置づけている。
2025年の戦争後、イランは弾道ミサイル再構築を進め、国内では経済悪化による大規模抗議デモが発生しており、イスラエルはこれを機会と捉え、ネタニヤフ首相がトランプ米大統領と会談し、2026年の追加攻撃可能性を議論。
イスラエル軍はイランとの「サプライズ戦争」準備を加速させている。
イランは報復を警告し、緊張は再燃の兆しを見せている。
イスラエルの政策は「Begin Doctrine」(他国に核武装を許さない原則)を基盤とし、外交より軍事力優先の姿勢が目立ち、戦争の長期化や地域不安定化のリスクを伴っており、両国の根本的対立は解消されていない。
第三章
イランとベネズエラ
イランとベネズエラの関係は、1950年代に遡る外交関係から始まるが、密接な同盟は2000年代初頭に本格化、特に、ウゴ・チャベス大統領(1999-2013年在任)とマフムード・アフマディネジャード大統領(2005-2013年在任)の時代に、反米・反帝国主義を共通のイデオロギーとして「兄弟国」と位置づけられ、チャベスはイランの核開発を支持し、イランはベネズエラの社会主義革命を称賛する関係を築いた。
ニコラス・マドゥロ大統領(2013年以降)のもとでもこの同盟は継続し、2022年には石油、防衛、産業を含む20年協力協定が締結され、両国は米国制裁下で共通の苦境にあり、相互支援を強化。
イランはベネズエラの石油精製所修復やガソリン供給を支援し、ベネズエラはイランの石油輸出や資金洗浄を助けた。
両国はOPEC創設メンバーとして協力。米国制裁回避のため、イランはベネズエラにガソリンや精製技術を提供(2020年頃のタンカー輸送)。
逆にベネズエラの原油をイランが受け入れ、交換取引を行った。
建設、農業、自動車工場などの産業プロジェクト。金や違法取引を通じた資金洗浄も指摘されている。
イランはMohajerシリーズ(Mohajer-2、Mohajer-6など)のドローンをベネズエラに供給・技術移転。
ベネズエラ国内でANSUシリーズとして組み立て・生産(El Libertador空軍基地)。
Mohajer-6は偵察・攻撃能力を持ち、2025年末までに運用開始が確認されこれに対し、米国は2025年12月にベネズエラ企業(EANSA)とイラン関連实体を制裁。
高速攻撃艇、対艦ミサイル、爆発物などの供給。ベネズエラはイラン製兵器をカリブ海地域で展開可能。
米国・イスラエル側主張では、ベネズエラがヘズボラ(イラン支援のレバノン武装組織)の資金洗浄・パスポート提供・拠点として機能。
マルガリータ島などがネットワーク拠点と指摘され、麻薬取引やテロ資金調達に関与の疑い。
2026年1月3日、トランプ米大統領主導の軍事作戦(Operation Southern Spear関連)でマドゥロ大統領が拘束・国外移送され、ベネズエラ政権が崩壊し、イラン-ベネズエラ同盟は大打撃を受けている。
イラン側最高指導者ハメネイ師は「敵に屈しない」と抵抗を呼びかけ、外務省は米国を「主権侵害」と批判。
ヘズボラも連帯表明。
イランの損失は西半球での拠点喪失、投資回収の不確実性、軍事ネットワークの弱体化。
イランはベネズエラを「抵抗の軸」の一員と位置づけていたため、地政学的影響大。
米国支援の新政権が樹立されれば、イランとの協力は断絶。
ヘズボラネットワークの解体も予想されます。
この関係は、制裁回避と反米同盟として機能してきたが、マドゥロ政権崩壊により、イランのラテンアメリカ影響力は大幅に縮小し、米国側はこれを「イラン脅威の排除」と位置づけている