それからしばらくは未来学の類に関心が向いたが受験勉強はそれを修正した。
このデニス・ゲイバーの『未来を発明する』を引き出してきたのは、2016年2月2日毎日新聞・須田桃子記者『ゲノム編集、英、ヒト受精卵改変承認 子宮に戻さず』、同2月3日朝日新聞・竹石涼子記者『ヒト受精卵改変、英で研究認める 子宮に戻さない条件』等の記事を読み私自身の論考を本ブログシリーズに書きたいと考えたからでもある。
両紙の記事について、ツイ友の小林哲・朝日新聞DC特派員とTWのやりとりをしたが、小林特派員はかねて追跡取材の対象であり執筆構想があるようだった。プロフェッショナルのジャーナリストの眼が今そこに必要な時代だと思う。また、私のような普通の市民も「未来に目を向けて」いなければならないと考える。
私の高校時代に読書したことが今現実のものとなりつつあることは確かである。その意味では、ツイ友の信頼する科学ジャーナリストの元村有希子・毎日新聞編集委員の著作『気になる科学』(毎日新聞社、2012年)等の良書は中高生の必読書であっていいだろう。
書物との出会いも人との出会い同様に人生を彩るものとなる。先の論考を書こうと考えた時に、私は科学的アプローチの知見は少ないので、人間生活、家庭生活といった文明論的アプローチを考えたがそこまでの哲学が少しく不足している。
そこで、慶應義塾大学の1年次の故瀬下良夫教授の英語講読のアーノルド・J・トインビー*若泉敬、毎日新聞社外信部訳『未来を生きる―トインビーとの対話』(毎日新聞社、1971年)を取り出してきた。普通の市民として科学の急速な進展の中でどういう人間生活を描くかということが重要だと思う。
1年次の日吉キャンパスで瀬下教授は法学部日吉主任で、私は三田から日吉を視に来られた故石川忠雄・法学部長(後に慶應義塾長)の知遇を得た。トインビーのご縁だ。
ところで、ツイ友の元村有希子・毎日新聞編集委員に「ゲノム編集」の記事の論考が書けないとTWしたのだが、ある友人との対話で少しその方向性がみえた。というのは、日野原重明先生が子どもに教えられるときに必ずお話になるフレーズがあると言うのである。
大意の文責は私にある。日野原先生「君は学校で何の勉強が好きかな?」子ども「理科です」日野原先生「誰のために勉強するのかな?」子ども「自分のためです」日野原先生「頑張りなさい。大人になったら、世の中の人に役に立つようにしたらいい」。(注1)
どうもこのあたりに私の想定している論点もあるように思うのだが、‟まだ”還暦過ぎの私には日野原先生の哲学の境地にはほど遠い。<了>
《追記》
(注1)は、NHKETV 04/07 00:00 SWITCH インタビュー 達人達(たち)アンコール
「日野原重明×篠田桃紅」のOA画面で確認した。
※該放送を日野原先生が神に召されて後にウエッブでの動画から観たので先生の会話を
次に採録しておく。
日野原先生の天界でのご平安をお祈りいたします。
NHKニュース102歳の医師子どもたちへの「いのちの授業」(2013年)
日野原先生「昨日は2時間目は何の学科?」
子どもたち「理科!」
日野原先生「誰のために理科を習ったの?」
子どもたち「自分のため」
日野原先生「自分のため。皆さんの時間は全部自分のためでしょう。
それでいいんですよ。小さい時は。皆さんが大きくなって
大人になって、その時には自分の使える時間を、誰か困っている
人のために使うことを考える。そういうふうな時がくるんですよ」
筆者は、科学には人間の確かな哲学が伴うことが重要だと思料する。
(注2)参考:2016/05/05記
朝日新聞<アピタル:インタビュー・医療>
http://www.asahi.com/apital/channel/interview/
気になる科学 (調べて、悩んで、考える)/元村有希子

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