防災を学ぶ | ExcomAdvisorのブログ

ExcomAdvisorのブログ

本稿は私・平田幸治の個人の意見・見解等を綴ったものです。

 朝日新聞10月21日【社説】『災害と教育』を読んで考えたが、まず同社説から引用したい。

「・・この数年、河川の氾濫に限らず、地震や津波、火山の噴火、土砂崩れなど、日本列島のあちこちで自然災害が相次いでいる。
 
 日本は太平洋を取り囲む造山帯にある中緯度の島国だ。その成り立ちは、豊かな四季や変化に富む気象と景観、心身を癒す温泉などをもたらした。
 
 さまざまな自然災害は美しい国土の『裏の顔』でもある。自らの命や財産にかかわる以上、市民も行政任せではなく、事前にリスクを知り具体的な対策を考えておくことが重要だ。
 
 災害に強い市民を育てるために、郷土の特色と関連づけた実践的な防災教育を学校で強めることを提案したい」。

 この社説も原文にあたっていただきたいが、「災害弱者である子どもたちの命を守る」教育をどうするかを述べている。

 同日の毎日新聞は松田喬和・同特別顧問の【記者の目】『関東・東北豪雨の教訓』を掲載しているが少し引用したい。同じく松田特別顧問の原文をお読みいただきたい。

「・・『天災は忘れたころにやってくる』ではないが、人間一生のうち、水害にたびたび遭遇する人は多くないはずだ。それだけに、恐怖体験に加え、減災策、防災策も伝承しなくてはならない」と述べ、

「我々が昨年まとめた『被災地からおくるノウハウ集』でも、『トップがなすべきこと』の第1項は『避難勧告を躊躇してはならない』だった」と指摘している。

 松田特別顧問は、結びで「地球温暖化が進めば今世紀末には、洪水被害額は、20世紀の3倍以上に達するとの、環境省研究チームの報告書も出ている。地球の特性に適合したソフト、ハード面からの防災対策の確率が急がれる」。

 松田氏の視点の気候変動は、私がフォローしている米WHの政策リリースでも #climatechangeは極めて多いといえる。

さて、最後の引用は私の郷里と大学の先輩の作家・高嶋哲夫さんの防災サバイバル小説『富士山噴火』(集英社、2015年7月30日第1刷発行「エピローグ」p483)である。作中の総理(※これは安倍晋三総理ではありません。小説の中の総理です)演説を引用する。

「〈・・日本はユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートなど、多くのプレートのぶつかり合う上に位置しています。そのプレートは地球誕生のとき以来、ゆっくりと動き、ひずみをため続けているのです。またいつの日か、エネルギーの開放はあります。さらに我が国は環太平洋火山帯のうえにあり、阿蘇、普賢岳、浅間山をはじめ、百以上の活火山があり、その地下にはマグマは溜り続けています。いつの日か噴火は起こります〉

 総理はかすかに息を吐いた。そして、決意を込めた声で続ける。

〈だが、私たちもまた、日々進歩を続けています。被害を最小限に止める方法を模索し続けています。大切なことは多くの犠牲者を出した今回の日々を記憶し続け、私たちの子ども、孫、ひ孫、その先々の代まで継承していくことです。そして次の災害に備え、可能な限り犠牲者を少なくする努力をする。それこそ、この甚大なる災害で犠牲になった人たちに報いることです〉」

 最後に引用した高嶋哲夫さんの小説には大規模リスク管理ノベルのシリーズがあるが、恋愛小説もあるのであって、人間愛の物語でもある。

 今回のブログは私の所感を書かなかったがまさに『防災を学ぶ』姿勢をあらためて新たにした次第である。<了>


《追記》「防災」について一般の解説書を読んでも解りづらい面がある。私的にだが高嶋哲夫さんの一連の良質の災害危機管理ノベルズを読まれることをお勧めする。危機管理を通して人とひととの関わり合いの機微を知ることができます。