わたしは自由です。


だから道に迷ったのです。

 

ーーーカフカ

 

 

ブリティッシュ・インヴェイジョン特集第4弾、

 

今回はザ・ローリング・ストーンズの名盤、

 

「Aftermath」と、

 

カルト的な人気を誇る迷盤、

 

「Their Satanic Majesties Request」に挟まれ、

 

皮肉にも名が体を表した、

 

「Between The Buttons」(1966年)をご紹介します。

 

 

Track listing

 

Side one

 

1. 夜をぶっとばせ

 

2. Yesterday's Papers

 

3. Ruby Tuesday

 

4. Connection

 

5. 甘いほほえみ

 

6. Cool, Calm and Collected

 

Side two

 

1. All Sold Out

 

2. My Obsession

 

3. 眠りの少女

 

4. Complicated

 

5. Miss Amanda Jones

 

6. 昨日の出来事

 

Personnel

 

ミック・ジャガー(ボーカル、ハープ)

 

キース・リチャーズ(ギター、ベース、コーラス)

 

ブライアン・ジョーンズ(ギター、鍵盤、ハープ)

 

ビル・ワイマン(ベース)

 

チャーリー・ワッツ(ドラムス)

 

Additional musicians

 

イアン・スチュアート(鍵盤)

 

ニッキー・ホプキンス(鍵盤)

 

ジャック・ニッチェ(鍵盤)

 

Production 

 

アンドリュー・ルーグ・オールダム(プロデュース)

 

デイヴ・ハッセンジャー(エンジニア)

 

グリン・ジョンズ(エンジニア)

 

 

前作同様に日本では圧倒的な人気を誇る、

 

英国盤を推そうかと思いましたが、

 

(アマゾンのレビューも英国盤一色)

 

ほぼ同時期で似た性質を持つ、

 

ザ・ビートルズの「Revolver」と比べると、

 

その力の差は歴然。

 

それもそのはず、

 

「Revolver」には、

 

アルバムと同時発売された両A面シングル、

 

「Yellow Submarine」と、

 

「Eleanor Rigby」が収録。

 

一方のストーンズは、

 

シングル曲はアルバムに収録しない、

 

という英国盤特有の慣例を堅守し、

 

アルバムと同時発売だった両A面シングル、

 

「夜をぶっとばせ」と、

 

 

「Ruby Tuesday」が未収録で、

 

 

実質的にリード曲不在の飛車角落ち。

 

日本盤も英国盤に準じており、

 

近年では再評価著しいものの、

 

当時のファンからは微妙な反応。

 

よって今回はビートルズと拮抗すべく、

 

前述のシングルを含んだ、

 

米国盤の方を推します。

 

アルバムの世界観が損なわれるのでは、

 

と不安視されそうですが、

 

これまでの米国盤同様、

 

聴き手のツボを押さた選曲で、

 

思わずそう来たか!と膝を連打。

 

例えば冒頭の「夜をぶっとばせ」で、

 

今夜一緒に俺と寝ようゼ!

 

と自分から誘っておきながら、

 

次の「Yesterday's Papers」では、

 

誰が昨日の女を欲しがるかとバッサリ。

 

 

しかしその昨日の女が忘れられず、

 

思慕の念を抱く。

 

その女性の名はズバリ、

 

「Ruby Tuesday」

 

これで終わりかと思いきや、

 

米国盤では昨日の新聞に差し替えられた、

 

英国盤A面2曲目の「My Obsession」が、

 

B面2曲目へとコンバートされ、

 

英国盤に慣れ親しんだ方には、

 

虚を衝かれる展開。

 

 

この展開はバンドを取り巻く環境も然り。

 

まず当時売れっ子のピアニストだった、

 

ニッキー・ホプキンスが初参加し、

 

「Cool, Calm and Collected」では、

 

軽快なラグタイム調のピアノを披露。

 

 

出会いあれば別れあり、

 

バンドの国民啓蒙・宣伝大臣を担っていた、

 

アンドリュー・ルーグ・オールダムは、

 

本作を最後にバンドと袂を分かち、

 

文字通り卒業アルバムとなりました。

 

(但し、編集盤は除く)

 

逆にジャック・ニッチェとの縁は、

 

バンドの音楽的拠点が、

 

ハリウッドからロンドンに移転しても続き、

 

鍵盤奏者として彼等を好サポート。

 

準メンバーのイアン・スチュアートも健在で、

 

「Miss Amanda Jones」では、

 

彼の十八番のブギウギピアノが堪能出来ます。

 

 

こうした曲ごとにミュージシャンを使い分け、

 

様々なグルーヴを試す手法は、

 

ブライアン・ジョーンズや、

 

ミック・テイラー脱退後に行われる、

 

慣例行事となり、

 

チャーリー・ワッツ亡き後の最新作、

 

「Hackney Diamonds」では、

 

それが顕著となっています。

 

→TO BE CONTINUED

 

◼️次回予告

 

ついにあの大魔王が降臨。

 

お楽しみに。

 

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