満足した愚者より不満足なソクラテスの方がよい
 

ーーーJ・S・ミル

 

 

60年代の英国のバンドの米国盤というと、

 

まずはヒットシングルを軸に据え、

 

収録曲を14曲から12曲に削減し、

 

ジャケットデザインも変更するという、

 

独自の慣例があります。

 

よってザ・ビートルズに倣い、

 

英国盤を世界標準と考えたいのですが、

 

今回ご紹介するザ・ローリング・ストーンズの出世作、

 

「Out Of Our Heads」(1965年)は、

 

英国盤ではなく、

 

ロンドンの通好みのR&Bバンドから、

 

世界最強のロックバンドへの転機となった、

 

最重要シングルを含んだ米国盤を、

 

ここで取り上げたいと思います。

 

 

Track listing

 

Side one

 

1. Mercy, Mercy

 

2. Hitch Hike

 

3. The Last Time

 

4. That’s How Strong My Love Is

 

5. Good Times

 

6. I’m All Right

 

Side two

 

1. (I Can’t Get No) Satisfaction

 

2. Cry To Me

 

3. ウエスト・コーストの宣伝屋

 

4. Play With Fire

 

5. クモとハエ

 

6. One More Try

 

Personnel

 

ミック・ジャガー(ボーカル、ハーモニカ)

 

キース・リチャーズ(ギター、ボーカル)

 

ブラインド・ジョーンズ(ギター、ハーモニカ、鍵盤)

 

ビル・ワイマン(ベース)

 

チャーリー・ワッツ(ドラムス)

 

Additional musicians

 

イアン・スチュワート(ピアノ、マリンバ)

 

フィル・スペクター(ベース)

 

ジャック・ニッチェ(ギター、ハープシコード)

 

Production

 

アンドリュー・ルーグ・オールダム(プロデュース)

 

デイヴ・ハッセンジャー(エンジニア)

 

グリン・ジョンズ(エンジニア)

 

 

その最重要シングルとなったのは、

 

ストーンズの初代マネージャー、

 

アンドリュー・ルーグ・オールダムの助言により、

 

曲を自作するようになった、

 

ミック・ジャガーキース・リチャーズにとって、

 

初めての自信作となった、

 

「The Last Time」

 

 

そしてストーンズにとって代表曲でもあり、

 

ロック史においてもアンセム級の神曲、

 

「(I Can’t Get No) Satisfaction」の2曲。

 

 

前者は英国と米国共に6枚目のシングルで、

 

オリジナル曲では初の全英1位、

 

米国では9位と初のベストテン入り。

 

オリジナルといっても、

 

ステイプル・シンガーズがカバーした、

 

ゴスペルのトラディショナル、

 

「This May Be the Last Time」を発展昇華。

 

基本的なトラックは、

 

ロンドンのキングスウェイスタジオにて録音され、

 

シンガポール公演後に米国へ渡り、

 

ハリウッドのRCAスタジオにてボーカルを再録。

 

このシングルのB面で本作にも収録された、

 

「Play With Fire」も同スタジオにて収録。

 

 

レコーディングに参加したのは、

 

ミックとキース、

 

そしてフィル・スペクターと、

 

ジャック・ニッチェの4人のみ。

 

B面ながら全米96位を記録。

 

以降同スタジオは、

 

バンドのヒット生産工場の役割を担う、

 

重要拠点の一つとなりました。

 

後者のシングルは、

 

オリジナルで初の全米1位を獲得し、

 

ゴールドディスクを認定。

 

B面は本作にも収録され、

 

最後のチェス録音となった、

 

バスター・ブラウンの「Fannie Mae」の改作、

 

「ウエスト・コーストの宣伝屋」

 

 

ちなみに同スタジオで収録された曲は、

 

本作の冒頭を飾るドン・コヴェイのカバー、

 

「Mercy, Mercy」と、

 

 

初出のO.V.ライトより

 

オーティス・レディングのカバーでお馴染みの、

 

「That’s How Strong My Love Is」の2曲。

 

 

英国盤のB面となったのは、

 

ジミー・リード調のオリジナル曲、

 

「クモとハエ」

 

 

こうしたヒットシングルを擁しながらも、

 

グリン・ジョンズがエンジニアを務めた、

 

ライヴ音源の「I’m All Right」を収録したり、

 

 

アルバムとしては一貫性に欠けるため、

 

ロック史及び、

 

ローリング・ストーンやNME、

 

Qといった音学誌からも重要視されませんが、

 

日本が世界に誇るモッズバンド、

 

ザ・ヘアに与えた影響は大きく、

 

彼等デビューアルバムのタイトルは、

 

本作のタイトルをもじった、

 

「Out Of Our Hair」

 

さらにストーンズと同じく、

 

サム・クックの「Good Times」をカバー。

 

 

それにしてもデヴィッド・ベイリーが撮った、

 

米国盤のジャケットでは、

 

ブライアン・ジョーンズの立ち位置が、

 

彼の未来を暗示しているようで悲しい。

 

→TO BE CONTINUED

 

◼️次回予告

 

引き続きストーンズ特集です。

 

お楽しみに。

 

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