England's Newest Hitmakers.
米国デビュー作のタイトル通り、
前作で米国全土にその名を馳せた、
その勢いは止まらず、
ステージからスタジオに舞台を移し、
創作活動に専念したザ・ビートルズに対し、
ストーンズはライヴ活動を継続しつつ、
その合間にスタジオへ籠り、
ついに全曲オリジナルから成る初のアルバム、
「Aftermath」(1966年)を堂々完成。
今回は米国盤と比べ、
圧倒的に評価の高い、
英国盤をご紹介いたします。
Track listing
Side one
1. Mother's Little Helper
2. Stupid Girl
3. Lady Jane
4. Under My Thumb
5. 邪魔をするなよ
6. Goin' Home
Side two
1. Flight 505
2. High and Dry
3. Out of Time
4. It's Not Easy
5. I am Waiting
6. Take It or Leave It
7. Think
8. What to Do
Personnel
ミック・ジャガー(ボーカル、ハーモニカ)
キース・リチャーズ(ギター、ボーカル)
ブラインド・ジョーンズ(ギター、ハーモニカ、鍵盤)
ビル・ワイマン(ベース)
チャーリー・ワッツ(ドラムス)
Additional musicians
イアン・スチュワート(鍵盤)
ジャック・ニッチェ(鍵盤、パーカッション)
Production
アンドリュー・ルーグ・オールダム(プロデュース)
デイヴ・ハッセンジャー(エンジニア)
デビュー作を除き、
これまで彼等のアルバムは、
ロンドンのリージェント・サウンド、
シカゴのチェス、
ハリウッドのRCAで録音された楽曲を、
バランス良く編纂していました。
しかしビートルズの「Rubber Soul」を皮切り、
各バンドはアルバムに一貫性を持たせ、
ついにストーンズにまでその意識が萌芽。
よって本作の収録曲はRCA録音に統一し、
毎回恒例のカバー曲は取り上げず、
台頭しつつあったフォークロックへの接近、
さらに非ロックバンド的な楽器の使用。
おいおいちょっと待て。
それってラバー・ソウルと同じコンセプトじゃね?
仰る通りぐうの音も出ません。
しかしそこはストーンズ。
ラバー・ソウルの語源となった、
プラスチック・ソウル、
そう揶揄された張本人として、
また当時問題提訴されていた、
白人はブルースを歌えるのかの問に対し、
過渡期ながらも、
咀嚼反芻したブルース/R&Bをしかと体現。
例えば本作の米国盤には収録された、
「黒くぬれ!」のB面、
「Stupid Girl」。
モッズ関連では、
フォー・トップスの代表曲、
「It's The Same Old Song」からイントロを引用した、
「Under My Thumb」。
クリームやジミ・ヘンドリックス、
グレイトフル・デッドより一足早く、
10分超えの長尺ブルースの「Goin' Home」。
クリス・ファーロウへの提供曲で、
タランティーノ監督の第9作目、
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で使用された、
(サントラ盤には未収録)
「Out of Time」。
後にミック・テイラーを迎えた、
黄金期のストーンズを彷彿させる、
カントリーブルースの「High and Dry」等。
ミック・ジャガーとキース・リチャーズ、
所謂ジャガー/リチャーズによる曲作りの才が、
ここにきて一気に開花。
バンド創設者でありながら、
人間関係の軋轢により、
孤立していたブライアン・ジョーンズも、
ダルシマー、マリンバ、琴を駆使し、
マルチプレイヤーとして活路を見出すも、
残業ながら救済措置とはならず、
彼の薬物依存は深まる一方でした。
米国盤では未収録の「Mother's Little Helper」は、
B面に「Lady Jane」を携えシングルカットされ、
全米8位を記録。
B面も24位と大健闘。
特にこの曲は日本で人気が高く、
ザ・タイガースをはじめ、
その対抗馬のザ・テンプターズ、
実力派のザ・ジャガーズといったGS勢がカバー。
村上龍の「69」では、
ヒロインのあだ名として使用されます。
最後に英国盤のジャケットデザインは、
ザ・プリズナーズのEP、
「Electric Fit」(1984年)に引用され、
米国盤のジャケットデザインは、
ザ・ヘアのEP、
「POP Rubbish」(1994年)に引用されました。
→TO BE CONTINUED
◼️次回予告
引き続きストーンズ特集です。
お楽しみに。
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