裏MOD名盤105 本牧ブルース | 深夜超特急

深夜超特急

本日はご乗車ありがとうございます。

暗い欲望から生まれた

 

隠れ家さえなかったところに

 

おんみは建てたのだ

 

彼等のための耳のなかの神殿を

 

ーーーリルケ

 

 

1966年、

 

フェンスの向こうが米国だった本牧は、

 

陸の孤島として、

 

市電以外、

 

有効な交通手段を持たないながらも、

 

強力な磁性を帯び、

 

中華街から流れてきた、

 

泥沼のベトナムからの帰休兵と、

 

洋パン(※1)のカップル、

 

自家用車が夢のまた夢であった時代、

 

自慢の外車で、

 

マリンタワーに集結し、

 

ザキ(伊勢佐木町)を駆け抜け、

 

時には葉山や秋谷まで遠征していた、

 

本牧ナポレオン党(※2)、

 

彼等の妹的存在で、

 

キャシー中島、

 

山口小夜子を中心とした、

 

クレオパトラ党、

 

最新モードに身を包んだ洋ハイ(※3)が、

 

毎夜ダンスと喧嘩に明け暮れ、

 

東京とは一線を画す、

 

コミュニティを形成していました。

 

そんな深夜族の夜想曲として、

 

米軍経由の最新R&Bを演奏していたのが、

 

レコード会社の意向で、

 

屋号をそのまま継承した、

 

横浜が世界に誇る箱バン、

 

ザ・ゴールデン・カップスです。

 

(結成当初はグループ・アンド・アイ)

 

今回は当時の熱気を記録したデビュー作、

 

「ザ・ゴールデン・カップス」(1968年)を、

 

ご紹介致します。

 

 

Track listing

 

Side one

 

1. いとしのジザベル

 

2. 青い影

 

3. Got My Mojo Working

 

4. Unchained Melody

 

5. 恋のあやつり人形

 

6. Hey Joe

 

Side two

 

1. 銀色のグラス

 

2. My Girl

 

3. I Feel Good

 

4. Searching For My Love

 

5. LSD Blues

 

6. Do You Know I Love You

 

7. 陽はまた昇る

 

Personnel

 

デイヴ平尾(ボーカル)

 

エディ藩(ギター、ボーカル)

 

ケネス伊東(ギター、ボーカル)

 

ルイズルイス加部(ベース)

 

マモル・マヌー(ドラムス、ボーカル)

 

Additional Musicians

 

日野皓正(トランペット)

 

鈴木邦彦(キーボード)

 

 

例によって忙しい人に、

 

本作の概要を簡単に述べますと、

 

彼等がステージ上で、

 

レパートリーにしていたカバー曲と、

 

英詞オリジナル曲。

 

そこにプロの作詞作曲家による、

 

シングルカットされた、

 

日本語オリジナル曲をフィーチャー。

 

MODな読者諸兄姉には、

 

R&B/ソウル界の元祖・アンバサダー、

 

桜井ユタカを唸らせた、

 

以下のカバー5曲がオススメ。

 

まずはジェイムス&ボビーのカバー、

 

「恋のあやつり人形」

 

 

サッカー選手ではない方の、

 

ボビー・ムーアのメガヒット、

 

「Searching For My Love」

 

 

レコード会社による選曲ながら、

 

見事に消化している、

 

テンプテーションズのカバー、

 

「My Girl」

 

 

未クレジットながら、

 

日野皓正がトランペットで参加した、

 

ジェームス・ブラウンのカバー、

 

「I Feel Good」

 

 

ガレージパンクファンの方には、

 

彼等のテーマ曲で、

 

ポール・バターフィールド版を踏襲し、

 

マディ・ウォーターズでお馴染みの、

 

「Got My Mojo Working」

 

 

シャドウズ・オブ・ナイト版を、

 

拡大解釈し本家越えとなった、

 

ディノ・ヴァレンテのカバー、

 

「Hey Joe」がオススメ。

 

 

和モノファンの方には、

 

ダイナマイツ同様、

 

ロックバンドとして、

 

精一杯の主張を通した、

 

デビューシングルの両面、

 

「いとしのジザベル」

 

「陽はまた昇る」や、

 

 

 

どうしてこうなった、

 

とタグ付けしたくなる、

 

マー坊(※4)の悪魔的ベースプレイが、

 

耳をつんざく、

 

「銀色のグラス」がオススメ。

 

 

この曲に限らず、

 

全体的にベースへ耳が傾きがちですが、

 

キレッキレのサイドギター、

 

そして作詞作曲と歌、

 

バンドの屋台骨を支えていた、

 

ブッチ(※5)の存在も軽視できません。

 

→TO BE CONTINUED 

 

◼️次回予告

 

今年没後50年を迎える、

 

ブライアン・ジョーンズ特集です。

 

◼️関連記事

 

第31回 ドカドカうるさいR&Bバンド

 

第82回 西のゴールデン・カップス

 

(※1)米軍専門の街娼

 

(※2)本牧を本拠地としていた暴走族

 

(※3)横浜インターナショナルスクール

 

(※4)ルイズルイス加部の愛称

 

(※5)ケネス伊東の愛称