読者の皆様こんにちは。
主役のカレーより、
脇の福神漬けにこだわる黒田アーサーです。
さて今回は邦人R&B特集第3弾、
ザ・ボルテージの唯一のアルバム、
「R&Bビッグ・ヒット」(1968年)を、
ご紹介致します。
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本作は表題通り、
当時最先端のR&Bを、
全編に渡ってカバーした本格志向。
といっても大半のGSが、
アニマルズや、
ゼムといった、
英国経由のカバーだったのに対し、
ボルテージはトランジットなしの直行便です。
しかしそこはGS、
キッチュなアイデンティティは健在で、
R&B特有の、
躍動感溢れる金管楽器は一切排除し、
代わって用いたのが、
ギターの柴田こうじがかき鳴らす、
ファズという名の暴力装置。
そこに二日酔いで聴くと胃もたれ起こしそうな、
コッテリした橘洋介のボーカルが絡み、
海外のガレージパンク愛好家からは、
「ダイナミック・モッド」と形容され、
高い評価を得ています。
その最たる例が、
オープニングを飾る、
ウィルソン・ピケットのカバー、
「In The Midnight Hour」と、
エディ・フロイドの「Knock On Wood」、
サム&デイヴの「Soul Man」、
「Hold On, I'm Coming」のダンスナンバー。
またファズに隠れがちな、
曽根譲二のオルガンも、
ピケットの「Funky Broadway」、
JBの「It's Man's Man's Man's World」で、
GSならではの、
チープなファンキーさを醸し出しています。
しかし何といっても本作の最大の聴きどころは、
橘のボーカルで、
オーティスの「The Dock Of The Bay」、
テンプテーションズの「My Girl」、
ボビー・ヘブの「Sunny」、
ピケットの名バラード、
「I'm Sorry About That」では、
公民館で民謡を唄う、
日本海の漁師といった趣きがあります。
彼等のラストシングルで、
CD化の際ボーナストラックとして収録された、
「汐鳴りの幻想」は、
その一つの到達点といえます。
→TO BE CONTINUED