裏MOD名盤102 入門用MOD JAZZ | 深夜超特急

深夜超特急

本日はご乗車ありがとうございます。

墓守の諸君、

 

復讐とアミュレットを求めて、

 

我またここに蘇り。

 

ーーーゲーム「Wizardry IV」より

 

 

ジャズで踊る。

 

ロンドン発祥のこの新しい風潮は、

 

後のアシッドジャズへと発展し、

 

米国ではジャズとヒップホップの、

 

融合を試みた、

 

ギャング・スターを皮切りに、

 

デ・ラ・ソウル、

 

ア・トライブ・コールド・クエスト等の、

 

ネイティブ・タンや、

 

ロック層まで巻き込んだ、

 

ビースティ・ボーイズが台頭。

 

そしてその決定打となったのが、

 

ハービー・ハンコックの、

 

「Cantaloupe Island」を元にした、

 

US3の「Contaloop」の大ヒット。

 

これを受け東芝EMIは、

 

サンプリングネタの宝庫である、

 

ブルーノートの膨大な作品群を、

 

定石通りの1500番台からではなく、

 

4000番台から、

 

堰(せき)を切ったように一挙CD化。

 

その水先案内人を担う、

 

2枚組コンピ盤のタイトル及び、

 

大トリを飾ったのが、

 

(後にシリーズ化)

 

今回の主役、

 

ハンク・モブレーの、

 

「No Room For Squares」(1963年)です。

 

 

Track listing

 

Side one

 

1. Three Way Split

 

2. Carolyn

 

3. Up A Step

 

Side two

 

1. No Room For Squares

 

2. Me 'N You

 

3. Old World, New Imports

 

Additional Musicians

 

リー・モーガン(トランペット)

 

ドナルド・バード(トランペット)

 

アンドリュー・ヒル(ピアノ)

 

ハービー・ハンコック(ピアノ)

 

ジョン・オー(ベース)

 

ブッチ・ウォーレン(ベース)

 

フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス)

 

 

これまでモブレーの4000番台といえば、

 

所謂3部作とされる、

 

「Soul Station」(4031)、

 

「Roll Call」(4058)、

 

「Work Out」(4080)や、

 

そのスピンオフで、

 

1985年までお蔵入りとなっていた、

 

「Another Work Out」(4431)、

 

ジャズ喫茶でパワープレイされた、

 

「Recado Bossa Nova」を擁する、

 

「Dippin’」(4209)がド定番でしたが、

 

前述のコンピ盤で本作もスタメン入り。

 

背番号は4149。

 

しかし制作当時、

 

モブレーは闘病の末、

 

1963年1月12日、

 

ドナルド・バードのリーダー作、

 

「A New Perspective」で、

 

サイドマンとして実戦復帰ばかり。

 

その余韻が冷めやらぬ間に、

 

ブルーノートでの1軍登録を目指すべく、

 

同年3月7日、

 

バードを女房役として迎え、

 

前述のセッションに参加していた、

 

新進気鋭の2人、

 

ハービー・ハンコックと、

 

ブッチ・ウォーレン

 

そして新たに、

 

マイルスのマラソンセッションの随伴者、

 

フィリー・ジョー・ジョーンズを加え、

 

ハードバップと新主流派、

 

という新旧入り混じる白熱の乱戦を展開。

 

その結果、

 

モブレーの作曲ながら、

 

全く性格が異なる2曲が爆誕。

 

まずはこれぞ新主流派といった、

 

「Up A Step」では、

 

モブレーの演奏が、

 

どこかジョン・コルトレーン風で、

 

テナーサックス界のミドル級王者、

 

という中庸な印象を払拭するかの様。

 

 

「Old World, New Imports」は、

 

旧態依然のファンキーなバップに、

 

モード派のハンコックのピアノが絡み、

 

曲名通りの展開。

 

 

この日のセッションで、

 

確かな手応えを感じたモブレーは、

 

同年10月2日、

 

フィリー以下、

 

メンバーを総入れ替え。

 

まずモブレーと同じく病み上がりで、

 

1軍復帰の機会を探っていた、

 

後輩のリー・モーガン

 

ブルーノートを契約したばかりの新人で、

 

アルフレッド・ライオン最後の推しメン、

 

アンドリュー・ヒル

 

人気絶頂のモンクのカルテットでは、

 

前述のブッチの前任者だった、

 

ジョン・オーを召喚し、

 

2回目のジャムセッション。

 

心配されたモーガンは、

 

同じく薬物問題から復帰作となった、

 

クラプトンのレインボーコンサートとは、

 

対照的で、

 

薬物乱用の根絶を挙げる、

 

労働厚生省や東京都福祉保健局から、

 

何らかの圧力がかかりそうなプレイ。

 

特に後の彼の大ヒット曲、

 

「The Sidewinder 」への前哨戦となった、

 

「Me 'N You」では、

 

打って走って送って大健闘。

 

(個人的には、

 

ソロを振られても知らぬ顔の半兵衛で、

 

黙々とリズムを刻むジョンが草)

 

 

ある女性に捧げたと思われる、

 

自作のバラード、

 

「Carolyn」では、

 

前曲とは異なり、

 

終始タメの効いた、

 

守りのプレイを披露。

 

 

モブレー作の表題曲、

 

「No Room For Squares」では、

 

終盤モブレーとモーガンが、

 

暴走族の如く吹かし合い。

 

それをさらにフィリーのドラムが扇動し、

 

曲名通り、

 

シャバ僧が介在する余地は、

 

とてもありません。

 

その狂宴は当然、

 

渋谷のレコード番長、

 

須永辰緒の耳にも届き、

 

彼が編纂したモブレーのベスト盤、

 

「Essential Blue」では、

 

特攻一番鬼として大抜擢。

 

 

一説によれば、

 

番長のレコードバッグは、

 

モブレーの所有率が高めだとか。

 

→TO BE CONTINUED 

 

◼️次回予告

 

ジャズ特集第2弾、

 

プレステッジ創立70周年特集です。

 

お楽しみに。

 

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