裏MOD名盤72 野外フェス用ジャズ | 深夜超特急

深夜超特急

本日はご乗車ありがとうございます。

哲学の知識を持つと称する者に言ってくれ。

君は一つ覚えたが、

多くのことを忘れたと。

ーーーアブー・ヌワース


さて暦の上ではすっかり秋ですが、

まだまだ夏真っ盛り。

今回はジャズはジャズでも、

夏フェスで最も聴きたいジャズ、

サブー・マルティネスのリーダー作、

「Palo Congo」(1957年)をご紹介します。

パロ・コンゴ/サブー

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1. El Cumbanchero

2. Billumba-Palo Congo

3. Choferito-Plena

4. Asabache

5. Simba

6. 素晴らしき幻想(南京豆売り)

7. エレグアに捧ぐ

8. 歌うあばずれ女


◼︎参加ミュージシャン

アルセニオ・ロドリゲス(ボーカル、トレス、コンガ)

エヴァリスト・バロ(ベース)

ラウル・トラヴィエソ(コンガ、ボーカル)

イスラエル・モイセス・トラヴィエソ(コンガ)

レイ・ロメオ(コンガ)

ウィリー・カポ(ボーカル)

サラ・バロ(ボーカル)


元々NYの路地裏で空き缶を叩いていた、

サブーことルイ・マルティネスは、

伝説コンガ超人チャノ・ポソ亡き後の、

ディジー・ガレスピー楽団に見出され、

才能を開花。

ブルーノートでは、

ホレス・シルヴァーの初リーダー作、

「Horace Silver Trio」(BLP 1520)を皮切りに、

J.J.ジョンソンの赤盤・緑盤、

(通称・赤きつねと緑のたぬき)

「The Eminent Vol.1,Vol.2」

(BLP 1505、1506)に参加。

その後ドラッグ問題で一時廃業するも、

アート・ブレイキー主催の、

打楽器天下一武道会、

「Orgy In Rhythm Vol.1,Vol.2」

(BLP 1554、1555)で復活。

そして間髪入れずに、

キューバ音楽の指定暴力団、

アルセニオ・ロドリゲス一家を従え、

満を持してデビュー(BLP 1561)。

結果的にハードバップの名作がズラリと居並ぶ、

ブルーノート1500番台の中で、

異色中の異色の、

アフロ・キューバン・ジャズの傑作が誕生。

仮面ライダーで例えるとアマゾン。

というよりブルーノートの創始者、

アルフレッド・ライオンのガンダムハンマー。

つまりガンダムだけど、

所詮はロボットアニメですよ、

というトミノ的なアレに近く、

今やクラシックやオペラと並び、

宮廷音楽といった感のあるジャズを、

汗と埃にまみれたストリートの、

ダンスミュージックへと、

再び引きずり下ろす力があります。

中でも4曲目の「Asabache」は、

演奏者全員が躁状態に陥る人力トランス。



そして何と言っても、

松田優作の映画における佐藤蛾次郎の如く、

主役を完全に食ってしまった感のある、

アルセニオ親分。

冒頭の2曲「El Cumbanchero」と、

「Billumba-Palo Congo」では、

大地を揺るがす、

地鳴りの様な歌声を披露し、





6曲目の「素晴らしき幻想」では、

キューバの3コース複弦ギター、

トレスを迫撃砲の如くバリバリ弾き倒します。



ところで肝心の本主役、

サブーはどうしたかというと、

蛇に睨まれた蛙、

サニー・ボーイ・ウィリアムソン二世に睨まれた、

ヤードバーズとはならず、

自由奔放にコンガをフルコンボ。

最後にストーンズの「悪魔を憐れむ歌」

同時期のスペンサー・デイヴィス・グループを、

プロデュースしたジミー・ミラー

ブライアン・ジョーンズの「Jajouka」

ダイナマイツの「真夏の夜の動物園」が好きな、

アフロ(?)系MODの方は、

聴いて損はしないと思います。

→TO BE CONTINUED

◼︎次回予告

ヤードバーズ来日記念として、

初のブルース特集。

お楽しみに。