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新型コロナウイルスは人類にどんな影響を及ぼすのか。政治体制、AI、人生100年時代、認知科学、GAFA、経済対策をキーワードに世界を代表する知識人6人から世界や日本の行く末を問う。本書は、コロナ以前の2019年11月から12月にかけて行われたインタビューをもとにまとめられていたが、年が明けで猛威を振るい始めたコロナの影響を無視することができないため、2020年5月から6月にかけての追加取材を経て完成したものである。
したがって、コロナの影響に関する記述の量も人によって異なるが、識者が展望する、AIの活用、人生100年時代の働き方、GAFAのパワー、世界経済のリスクなどの未来は、コロナによっても方向性は変わらず、より強化・加速されることがうかがえる。
個人的には、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者であるスコット・ギャロウェイの章が一番面白かった。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、GAFAをはじめとするビッグテック企業がますますパワフルになっており、Apple、Facebook、Amazonはいずれも株価の過去最高値を更新しているらしい。
政府をも動かす資金力を持つGAFAは我々の生活を豊かにしてくれるが、彼らの目的は詰まるところ金儲けなので、生活の多くをGAFAに頼ることには慎重にならなければならないと警鐘を鳴らしている。
また、5月25日に起きた白人警官による黒人男性の暴行殺害事件を受け、2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンが本書に「追記」を寄せ、「やればできるはずの国がパンデミックに対処できない国になり、自由世界のリーダーが国際機関の破壊者となり、近代デモクラシー生誕の地が独裁主義を志向する者に支配されて」いると自国アメリカの先行きを相当の危機感をもって憂いていたのも印象的だった。
6人の他の著作との重複感もあるかも知れないが、新書一冊で今後の世界の見方の参考となる知見を得られて大変ありがたい。