福島原発で何が起こったか〜政府事故調技術解説〜 | 読書雑記

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福島原発で何が起こったか-政府事故調技術解説- (B&Tブックス)/日刊工業新聞社

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☆☆☆☆★

船橋洋一の『カウントダウン・メルトダウン』を読み始めたものの、原子炉の基本的な構造や福島第一原発の施設概要がわからずに苦労していたところ、並行して読んでいた立花隆の『読書脳 ぼくの深読み300冊の記録』に、福島原発事故を技術面から解説した入門書として本書が紹介されていたので、早速購入した。

『東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会』(政府事故調)のメンバーであった淵上正朗と畑村洋太郎に、原子力の専門家である笠原直人を加えた3氏による共著で、中間報告と最終報告を合わせると1,500頁にも及ぶという政府事故調の報告書を一般の読者でも読めるよう平易かつコンパクトにまとている(約200頁)。

本書は5章立てになっている。第5章は「事故をより深く理解するための基礎知識」として、笠原直人東大教授が執筆している。ウラン燃料を使ってどのように発電するのかというそもそものところから、圧力容器・格納容器・冷却設備のしくみ、どのような状態になると原子炉の事故というのかといったところまでの基礎知識について、わかりやすく説明されているので、5章から読んでみるのもいいと思う。

第1章から第3章までは、建設機械や産業用ロボットを専門とする淵上氏が執筆している。第1章では、福島第一原子力発電所の施設概要や、炉心損傷の状態を把握するための水位計・圧力計データの見方、事故の経緯の概略などが記述されている。

第2章では、さらに詳しく、1号機、2号機、3号機それぞれの事故の経緯や、1号機、3号機、4号機の水素爆発の状況などが解説されている。

第3章は、政府事故調の記述範囲を超えて、重大事故の原因や炉心損傷回避のシナリオについて、いくつかの分析や意見が述べられている。

第4章では、失敗学で有名な畑村氏が執筆を担当し、「失敗学からの考察」がなされている。私の場合、技術や事故についての基本的な知識を得ることを目的としていたので、3章と4章はザッと読むにとどめた。

その他、3月11日から17日までの、注水、原子炉水位、圧力容器圧力、格納容器圧力等の状況を図示した「各号機原子炉の時系列チャート」も付いていて、事故から一週間の経過が一目でわかるようになっているのも良い。