- ローカル・マニフェストによる地方のガバナンス改革―自治体が変わる、地域も変わる/UFJ総合研究所国土地域政策部
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ローカル・マニフェストについて、概要、論点、動向がわかりやすく整理されている。
ローカル・マニフェスト導入の意義や課題を知ると、それがいかに地方行政のあり方全般に関わる問題であるかということがよくわかる。本書の第3章から第5章までの章立ても、第3章「ローカル・マニフェストと計画行政」、第4章「ローカル・マニフェストと市民協働」、第5章「ローカル・マニフェストと地方議会」となっていることからわかるように、ローカル・マニフェストが地方自治に携わる全ての主体の問題として解説されており、ローカル・マニフェストの理解を通して、行政(執行部)、市民、議会が地方自治においてどのような役割を果たすべきか、また今後どのように変わっていかなければならないかが見えてくる。さらに、ローカル・マニフェストの基本的な要素(「目標値」、「期限」、「財源」、「工程」が挙げられている)の一つとして、「財源」を示す意味は、まさに昨今の厳しい地方財政の問題でもあるし、また、ローカル・マニフェストとして首長が政策を示していくことは国の関与を排除して地方の独自色を出していくことであり、地方分権の問題でもある。
マニフェストはもともとイギリスが発祥であることを考えると、どうしても小選挙区制、2大政党制との関わりが気になってくる。小選挙区制、2大政党制というとどうしても少数派の意見や利益を軽視してしまいがちなイメージを受ける。本書にも「イギリスでは、当選者は、マニフェストを盾にして、マニフェストで明示された政策以外の住民の様々な要求を拒絶することができるといわれている。」という記述があるが、マニフェストは決して絶対的なものではなく、行政執行部での施策化の段階で十分に検討が加えられ、随時住民の意見に耳を傾けつつ、「多元的な住民の利益を政策に反映させる」役割を持った議会との議論を通じて、マニフェストを実現していくことが重要だと思われる。
2003年が「マニフェスト元年」と言われ、2003年4月の統一地方選挙がわが国で最初のマニフェスト選挙であった。その時、マニフェストを掲げ当選した首長たちは4年目の任期を迎えている。ローカル・マニフェストが導入されてからマニフェストサイクルが初めて一周することになるが、マニフェストがどのように評価され、次の選挙にどう影響するのか大変興味深いところである。