その道 | ゴミブログ season7

ゴミブログ season7

日々の事を書く

文章を書いてるのに絵も描いてSNSに投稿しているようなやつはどっちつかずの半端者だが、今日はおれも仕事で絵を描く機会があった。給料が出るなら話は別だ。


年寄りというのはみんな絵が上手い。たぶん、いろんな景色を見ているからだろう。現場のリーダーが機転を効かせて、職場で使うカレンダーの絵を利用者に描いてもらうことになった。認知症予防としては、とにかく頭を休ませないこと。常になにかしらの作業を与えておくことが重要だ。絵を描かせるとか、食器を洗わせるとか、他の利用者と戦わせるとか。


なりゆきでおれも絵を描くことになった。利用者に癇癪持ちの婆さんがいて、真っ白な画用紙を渡しても「なに描けばいいのかわかんない!」と怒ってしまうのだ。そこで、おれが下書きをしてその人に色を塗ってもらうことになった。


が、こんなブログをやっていることからわかるように、おれに絵心などない。もしおれに絵心があったら、こんなブログは全削除して、なんでもないような出来事を何日にも分けて連載するような漫画家と呼ぶのも烏滸がましいカスイラストレーターになり、肩でXの風を切っているだろう。


おれはカスイラストレーターじゃないから、既にある絵をインターネットで検索し、それをトレスすることにした。ひょっとしたらおれはカスイラストレーターかもしれない。逆立ちしたって描けそうにない花の絵を、おれは集中力を凝らして模写した。


その絵を見て、婆さんの癇癪が炸裂した。「どうしろって言うのよ、これで!」手取り14万円とか、そんな悲惨な状況で挙げるような叫びだった。トレスはトレスで技量のいる技術だったのだ。


模写がだめならと、おれは想像を膨らませた。どんなに絵が下手でも、小学生や中学生のときは美術の時間で必ず描かされたものだ。そのときの気持ちになって、おれはクレヨンを紙面の上に走らせた。


が、その間も隣から野次が飛んでくる。「それ、絵なの?」「子供みたい!」「なんでお尻描いてるのよ」「ひどい!」とにかく婆さんはおれの絵を貶した。それでもおれは挫けなかった。なぜならおれは、文章を書きながら絵も描いてるような半端者ではないからである。


かと言って、文章にも誇りはない。文章に誇りのあるやつはゴミブログなんか書かずにそれで飯を食っている。文章にも絵にもなんにもないおれは、半端者ですらないのだ。