ゴミブログ season8

ゴミブログ season8

日々の事を書く

ルンペンがおれのバイト先が入ってるビルの室外機と壁の間にゴミを捨てまくってると通報があったので、なんの落ち度もないおれが回収することになった。ボーナスをくれとは言わないが、店長はおれに焼肉くらい奢るべきだと思う。


この辺はビルが密集してて、ちょっとした隠れ家のような感じになっている。ビルに囲繞された駐輪場や空き地から見る空は猫の額ほどしかない。こんなことでもないとろくに来る場所でもないから、おれはちょっとワクワクしていた。なにより大手を振ってサボれる。


ゴミは室外機の裏どころか、そこら中に落ちていた。いちばん多いのは飲用水のペットボトルで、次いで薬のシート。なんぞやと思って拾い上げてみると、デパスのシートだった。デパスというのはたしか脳みそを落ち着けるための、ADHDのための薬だったような気がする。封筒おとしたに勧められたことがある。


デパスのシートはそこら中に落ちていた。意外にも酒の缶はぜんぜんない。水のペットボトルの他には紅茶のペットボトルもあった。オーバードーズで亡くなった女子高生のブログを読んだことがあり、なにより自分で試したこともあるけど、ODするには紅茶がいいらしい。ひょっとしたら、と思った。


この隠れ家を囲むビルのうちの一つに、早稲田アカデミーという塾が入っている。精神を病んだおれの兄貴も通っていた塾だ。おれの兄貴が両親を憎むきっかけにもなったという早稲アカ。まさか考えすぎだと思うが、ルンペンにデパスを大量に仕入れられるほどの富があるとは思えない。いまはともかく、おれの兄ちゃんが両親を憎む前は、裕福な家庭だったのだ。


まあ、いずれにしてもどうでもいいことだ。おれはダイソーに行き、バーベキュー用のトングを買いに行った。わざわざ腰を曲げてゴミを拾うこともない。それにしても、バーベキューのために生まれたトングをこのように使うのは、なにか冒涜的な感じがする。おれの兄ちゃんは、なんのために生まれたんだろう。おれはなんのために。