ゴミブログ season7 -2ページ目

ゴミブログ season7

日々の事を書く

仕事をクビになったかもしれない。明暗がわかれたのは、おれと小島さん残して、他の新人だけが新しい業務の説明を受けているときだった。その時点で、ほとんど確信していた。


だと言うのに、上司が我々のところになにか言いに来る気配がない。おれは小島さんにしきりに話しかけていた。「おれたち、どうなっちゃうんすかね?」「クビですかね?」「次の仕事、なんにします?」おれは気丈に振る舞おうとしていたが、実際には恐慌をきたしていた。おれはこの仕事が好きだったのだ。


殺すなら一思いに殺してくれ、そんな思いで説明会が終わるのを待っていた。で、終わったら終わったで、上司の人たちも帰り支度を始めるのだった。隣の席の佐藤さんに尻を引っ叩かれ、おれは上司に直談判しに行った。おれや小島さんはどうなるのですか?


「派遣元にきいてください」


おれ、光くん、佐藤さん、そしてもう一人(名前がわからない)で、駅まで帰ることになった。おれは諦めの境地にいた。酒を飲みながら、泣き言を繰り返していた。光くんや佐藤さんやもう一人はみんないい人だったので、おれの言葉に耳を傾けたり慰めたりしてくれた。持つべきものは友だ。彼らの介抱の甲斐あって、おれは少しだけ元気を取り戻しつつあった。


「佐藤さんのこと抱いていいすよ」


光くんが言うと、佐藤さんが光くんをなじった。その光景がなんとも微笑ましく、おれは悪気なく言ってしまった。


「(抱く)必要ないよ!」


必要ないのはおれだった。


翌日。おれは職場に顔を出しに行った。シフト上では今日も出勤になっていたのだ。


休憩室に入るにもオフィスに入るにもカードが要る。おれは首から下げていたカードを読み取り機にピッとやって休憩室に入り、パイプ椅子に腰掛けた。おれの前を通り過ぎるやつらの目を妙に冷たく感じる。


しばらくそうして待っていると、上司が来た。せっかく来てくれて悪いんだけど、上司は言った。やっぱり派遣からの連絡を待ってくれないか。昨日も今日も派遣からの連絡はない。今日は山の日だったのだ。


仕方がないので帰ろうとしたら、カードは返してくれ、と言われたので、そうした。おれはトボトボ歩きながらエレベーターに乗り、一階のロビーまで降りた。


その際、いつもなら首からかけているカードを外してポケットなんかに入れるんだけど、このときも同じことをやろうとしてしまった。おれは小波のように微笑み、そして、泣いた。だけど、池袋の街の喧騒は、少したりとも感傷に浸らせてくれないのだった。