聖域 北方謙三著 角川文庫 ★★★☆☆

ブラディ・ドールシリーズ第九弾

主人公は西尾正人。高校教師。
退学したラグビーの有望選手だった高岸を追ってN市を訪れた西尾。
高岸は川中を殺す鉄砲玉として暴力団に雇われていた。
教え子を救うため西尾は体を張っていく。

ハードボイルドとはほど遠いキャラクターが主人公という点で異色です。
痛めつけられておしっこちびっちゃう。
格闘してたまたま(?)勝ってしまうと、
「俺は、勝った。見てたか」とか「俺がやっつけた奴を見てみろ」
とか叫んじゃったり、
どう考えたって教え子のほうが強いのに
「今度、おまえの殴り合いの先生をしてやる」
とかいってみたり。

そんな人間を主人公にしているにもかかわらず、ハードボイルドとして出来上がっているところがすごい。

もちろん、背景にはN市の土地抗争が…。

あと一冊。
土地抗争に終止符はうたれるのか?
川中の運命は?

味わって読みたいと思います。
ポアロ登場 アガサ・クリスティー 著 小倉多加志 訳
ハヤカワ文庫 ★★★☆☆

ポアロもの短編集です。14編収録。

短編集なのでちょこちょこっと隙間の時間に読めるのがいいです。
友人のヘイスティングズが語り手となってポアロの活躍が描かれているのは、ホームズと同じ構成ですね。
この頃のイギリスミステリーのはやりでしょうか?

残念なのはこの本が翻訳ものだってところですね。
まず、名前が覚えにくいので、登場人物がたくさん出てくると誰が誰だかわからなくなってしまう。
年のせいか外人の名前がすっと入ってこないので人間関係がわからなくなってしまうのです。
それに古い作品なので価値がわからないのがちょっとね。(当時の経済的な価値を注釈としてつけておいて欲しかった)
例えば、「ダヴンハイム失踪事件」で事件解決できるかできないかポアロがジャップ警部と5ポンドの賭けをするんですが、5ポンドってどんなもんよ、と思ってしまうんです。

自信家のポアロにいつもやり込められているヘイスティングズの気持ち。
わかるなー。
鳥影 北方謙三著 角川文庫 ★★★★☆

ブラディ・ドールシリーズ第八弾

主人公は厚木でスーパーを経営する立野良明。

別れた妻・和子の借金を清算するためN市を訪れた立野。
元妻と中学生になった息子との再会。そして元妻の死。
やがて、立野はN市の土地抗争に巻き込まれていく。

息子が父親に心を開いていく展開がすばらしい。
しかし、最後には息子も死んでしまうのはなんともやりきれなかったです。
ここで、殺してしまう必然性はあるのか。殺してほしくはなかった。

シリーズの背景にある土地抗争の黒幕がはっきりしてきました。
あと2巻。どういう結末が待っているのだろうか?
今日は朝からふらりとブックオフへ。

とても懐かしい、そして僕にとってお気に入りの漫画を目にしたのでぜひ紹介させてください。

『ハーフな分だけ』 星里もちる 全2巻 小学館

クサイセリフアレルギーの売れない役者 御前岳くんと駆け出しの字幕訳者 由羽ちゃんのほのぼの恋物語です。

とにかく由羽ちゃんの表情が抜群にかわいいんですよ。

読むととても優しい気持ちになる作品です。
もう15・16年前になるかな?雑誌に連載されていたのは。
若かったな、あの頃は…。

もしこの本を見かけたら、ほんの少しでいいから手にとって見てください。
特に氷室冴子さんの『海がきこえる』を好きな人なんかには気に入ってもらえると思うんだけどな。
2巻だけだし、立ち読みもすぐですよ。
僕は買っちゃいましたけど、2冊で210円だし。

きみの夢は未来に向かって果てしない
水曜の朝 午前三時 蓮見圭一 著 新潮文庫 ★★★☆☆

翻訳家で詩人の直美が死の間際に娘に残した4本のテープ。
それを娘の幼なじみであり夫である「僕」が文字におこした。
そこには彼女の秘められた恋と人生が語られていた。

ラブストーリーと思って購入した本ですが、恋愛小説というよりは恋愛を題材にした人間の生き方についての小説、という捕らえ方を僕はしました。

母親としてよりは女性として同性の娘に宛てたメッセージ。
その中心が恋愛であっただけです。

特に盛り上がりも無く展開してゆき、娘に宛てられたメッセージであるにもかかわらず、当の娘の受け取り方がはっきり描かれていないのはちょっと不満が残ります。

いろいろと人生について考えさせられたのは確かです。
もしあの時、違う選択をしていたらどうなっただろう?自分の気持ちに正直であったか?と。
そしてまた、人生なんてゲームみたいなもんさ、GOOLまでいろんな障害楽しみながら進めばいいのだから。
なんて考えたりもします。

そんなことを今書きながら、直美のメッセージはGOOLまで進んでしまった人間のものだからこそ意味があるメッセージだったんだと思ったりもします。

時間をおいてもう一度読んでみようかな。