【課題】イライラしている人
【本文枚数】四枚
【人物】 小野瀬凛(16)高校一年生
白石香(16)高校一年生
辻紀子(16)高校一年生

〈無礼者〉

○大泉高校・食堂
満員の食堂内。昼食の載ったトレーを手に席へ向かう小野瀬凛(16)と白石香(16)。椅子には、辻紀子(16)と女子生徒の姿。立ち止まり、視線を合わす凛と香。
香「辻さん。その席、取ってたんだけど」
紀子「知ってる。ちょっと座ってるだけ。半分空けるから、遠慮せずに座りなよ」
紀子に制服の裾を引かれ、顔を眇めながら、所謂“半ケツ”状態で席に着く香。凛もぎこちなく女子生徒が半分空けた席に腰を下ろす。
憮然としながらも、カツカレーに手を伸ばす凛。
紀子「カツカレーなんか食べたら、うちの部活じゃ練習中に吐いちゃうよ。バスケ部は楽でいいねー(含み笑い)」
凛「(押さえた声で)何食べようと勝手でしょ。それより、辻さんも何か買いに行けば?」
これ見よがしに溜息を吐き、一拍おいて、カツカレーを食べ始める凛。
紀子「香の肉うどん、美味しそう。ちょっとおつゆ飲ませてよ」
香「え……。別に、いいけど……」
紀子、香の手から引ったくるように鉢を奪う。
凛、一瞬天井を睨んだ後、座り直すふりをして、同じ席に座る女子生徒を尻で強く押す。よろける女子生徒。
香「きゃー! 辻さん、止めてよー!」
紀子、うどん鉢にコーヒー牛乳を注ぎ、にやにや笑っている。
唖然とした表情の凛の顔が、みるみる真っ赤に染まっていく。凛の震える手からスプーンがトレーに落ちる。
凛「こんのー! 無礼者!」
凛、鉢を奪い、紀子に中身をぶっかける。香の手を引き、頭を振り乱し、いきり立って食堂を後にする凛。
タイトルのとおり、オルフェーヴルの凱旋門賞での鞍上が決まりました。
記事を見たとき、思わず「嘘やろ!」と叫んでしまいました。
私は、オルフェーヴル(内国産馬)が池添騎手(日本のジョッキー)を背に勝つところが見たかった。
一頭と一人が一心同体となって、凱旋門賞のゴールを“一番”で突き抜けるシーンを、この半年間、何度も夢に思い描いてきました。
昨年、スミヨン騎手で負けて、今年は池添騎手が舞台となるフランスに遠征までしてアピールし、おそらく決まるだろうと思っていただけに、かなりショックです。
スミヨン騎手は、確かに世界のトップジョッキーの1人ですが、競馬もスポーツという側面を持っている以上、国際的な大舞台では、日本騎手とのコンビで挑んでほしいです。
特に、今年の凱旋門賞は、狙って勝ちに行く大勝負です。
日本競馬史上、最大の悲願が賭かってます。
だから、ここはオルフェーヴル&池添騎手で……と望んでいるファンはたくさんいるはずです。

去年、スミヨン騎手がオルフェーヴルを把握しきれておらず、それが僅かな騎乗ミスに繋がって負けたことは、もう仕方ないと思っています。
けれど、今年また負けたら、私は一生、スミヨン騎手を指名した社台を恨んでしまう。
社台グループの、常に世界へ向けられた視野とビジョンは認めますし、それがあっての日本近代競馬だと分かっています。
だけど、凱旋門賞は、サッカーでいうWカップ、野球でいうWBCです。
もはや、国の戦いだと思います。
そんな舞台に、鞍上に外国人騎手を乗せてオルフェーヴルを送り出すのは、私は納得できません。
社台さん、勝ち急いではいませんか?
鞍上が外国人騎手であろうと、とにかく勝つことに意義があると?
外国人騎手の方が巧いから、これは当たり前の判断なのでしょうか?
それとも、これは社台にとっても苦渋の決断なのですか?
この先、日本競馬がヨーロッパを中心とした世界の舞台へ、さらに進出を果たすためですか?
オルフェーヴルの鞍上をヨーロッパ人にして、ご機嫌伺いしなければならないほど、日本はよそ者で、生産者も調教師も馬も騎手もナメられてるから仕方ないのですか?
競馬は勝負の世界で、勝つことに意義がある、それは否定しません。
池添騎手がオルフェーヴルの主戦ジョッキーとして、完璧とは程遠いのも分かっています。
けれども、頭ではない感覚的なところで、オルフェーヴルには池添騎手だと感じます。

ディープインパクトが、凱旋門賞直前に現地で嵌められたことは、よく覚えてます。
日本の陣営に一番の落ち度があったのは間違いないですが、フランスから悪意に満ちた罠を仕掛けられたのも確かです。
負けただけでなく、帰国後、禁止薬物検出による失格のレッテルを貼られた事実を、競馬ファンはみんな覚えている。決して忘れません。
だけど、オルフェーヴルは違う。
歯車が噛み合えば、限界を超えた強さを発揮できるポテンシャルを血に秘めています。
苦難や悪意、負の要素の全部を押し退けて、勝利をもぎ取ってこれる馬です。
逆境でこそ真価を発揮した、祖父サンデーサイレンス、父ステイゴールド、そしてオルフェーヴル自身の勝負根性を思い出してください。
気性難で困った馬ですが、正念場では全部受け止めて、キメてきてくれます。
鞍上が、苦楽を共にし、御しきれずともオルフェーヴルを理解した池添騎手で、彼がオルフェーヴルを信じ抜いてさえくれれば、どんな目にあっても必ず勝ってくれます。
逆にいうと、そういう見えない力こそが、あの馬の勝負の最後の瞬間を決定付けます。
紙一重で発揮される爆発力は、そういった危うい不確かなものが後押ししてると、断言できます。

社台創設者、故・吉田善哉総帥が、サンデーサイレンスを笑われながらアメリカから連れ帰り、信じ抜いた結果、現在の日本競馬が築かれたように、競馬は理論とか確率とかを飛び越えた“何か”が大仕事をもたらすことがあります。
オルフェーヴルが全てのジレンマを断ち切って、凱旋門賞を勝つには、そういう“何か”が不可欠に思えてなりません。
スミヨン騎手には、それをよくよく自覚して頂きたいです。
オルフェーヴルを一瞬たりとも過信したり、逆にナメたりしないで頂きたい。
日本競馬史の大きな1ページとなるはずのこの挑戦が、無残に歴史に埋もれないことを願うばかりです。

“鞍上・スミヨン騎手”、この悔しさを、日本のジョッキーはバネにして、日本の騎手も世界に通じるキャリアを今以上に積んでいってほしいです。
決してこのまま終わらせないでほしい。
この現実から何か掴んで、少しでも日本競馬が前進することを願って。
大好きすぎて、ただ彼に会うためだけに、毎年大枚をはたいて北海道旅行を敢行しています。
その彼の名は、ステイゴールド。

この記事↓

http://s.ameblo.jp/everythingpose/entry-10281359193.html

を書いた頃は、まさかこの後、大物息子たちが生まれ、日本競馬界を席巻するとは夢にも思っていませんでした。
何せ、ステイゴールドは地味な種牡馬でしたから……。
父を優に超えまくる息子たちの登場に喜びつつも、正直なところ余りの勢いに、ちょっと唖然としています。
ステイゴールドはやっぱり凄い。
ファンの想像を遥かに超えたことをやってのけます。

現役のステイゴールド産駒の中でも、以下の三頭は彼の後継種牡馬になる存在です。
世界の頂点へ王手をかける五冠馬オルフェーヴル。



メジロ牧場が培ったスタミナの凄みを今に伝えるゴールドシップ。



そして、この度、天皇賞・春を獲ったフェノーメノ。顔と首とタテガミがステイゴールドに激似。デカイけど。



父が現役時に何度も挑戦して、何度も惜しいところまで来て、ついに最後まで獲れなかった重い重い春の盾。
昨年は、押しも押されぬ大本命で挑んだオルフェーヴルが、謎の不調でまさかの11着大敗。
ステイゴールドの血と天皇賞・春の悪い因縁を感じ、もう一生ステイゴールドに春の盾は巡って来ないかと本気で落胆しました。
そんな天皇賞・春を、ステイゴールドの息子の中でも、生き写しかというほど一番彼に似たフェノーメノが獲ってくれました。
いずれG1を獲る器だとは思っていましたが、父に似ている分、苦労するかもしれないと思っていただけに、こんなに早くG1を勝つとは……。
しかも、悲願の天皇賞・春。
こんな喜びがあっていいのでしょうか。
競馬の神様に、心から“ありがとうございます!” と言いたいです。

今年の天皇賞・春は、実はもう一頭の大物息子ゴールドシップが世間的には大本命でした。
実績からいえば当然の前評だったと思います。
どっちが勝っても嬉しいですが、やっぱり一番贔屓のフェノーメノが勝って、なお嬉しかった。
ゴールドシップもフェノーメノも、ステイゴールド産駒らしく丈夫ですが、これからも元気で、互いにライバルとして活躍し、たくさんの名勝負を観せてほしいです。
そして、できればオルフェーヴルと凱旋門賞へ挑み、誰かが勝って、日本に最高の凱歌を轟かせてほしい。
いや……やっぱり現時点の力では、世界の頂点はオルフェーヴルにしか狙えないかな。
あとは、ディープインパクトの娘、ジェンティルドンナがもしかしたらというレベル。
凱旋門賞は、距離適性はもとより、スピード、持久力、重く絡む洋芝をこなすだけのパワー、展開によっては瞬発力、そして何より、強豪を押し退け、当たり負けしない強い勝負根性が不可欠です。
謂わば、サラブレッドとして完璧ともいえる心技体が揃わなければ勝てない、まぐれなどあり得ない舞台です。
世界の壁は本当に厚い。
最近だけでも、(マイラーですが)フランケルやシーザスターズといった、隙がなく、圧倒的に強い馬が世界にはいました。
数年前、あのディープインパクトですら跳ね返された凱旋門賞。
私は、あの衝撃をいまだに忘れられません。
そのくらい、ディープが負けたことはショックでした。絶対に勝つと思ってました。
そして、ショックと同時に、世界競馬の難しさと厳しさを、実感をもって初めて知りました。
それでもまた、世界一を狙える馬が、なんとステイゴールドの血を受け継いで生まれてきてくれました。
すでに一度、凱旋門賞に挑み、オルフェーヴルが勝ち負けのレベルに十分いると分かっていながら、いまだに信じがたく、それだけになお嬉しさを感じるのです。

父ステイゴールド×母の父メジロマックイーン。
このニックスにより、オルフェーヴルやゴールドシップが生まれました。
この配合は、ステイゴールドの父であるサンデーサイレンスと、社台でサンデーサイレンスと盟友であったメジロマックイーンとの、世代を隔てた血の融合でもあります。
そして、国内最高のブリーダーである社台グループ(色々訳ありだったサンデーサイレンスをアメリカから輸入し種牡馬として大成功させた)と、世界に通用する重厚な血を今も根底で支えるメジロ牧場(メジロアサマ・メジロムサシ・メジロマックイーンの親子三代で天皇賞制覇。日本のステイヤー血脈の老舗)の一つの集大成でもあるのです。
また、現役時のメジロマックイーンとステイゴールドを親子二代の手で育て上げ、今はオルフェーヴルを鍛えている池江調教師親子(親父さんは一昨年引退)。
オルフェーヴルの母や兄の鞍上も務め、なるべくして彼の唯一無二の主戦ジョッキーとなった池添騎手。
偶々にしてはできすぎた、そんな人と馬の生き様をも背負って、メジロ牧場の廃業と入れ替わるように競馬界に現れたのがオルフェーヴルでした。
だから、オルフェーヴルは、このまま負けっぱなしでは終われません。
どう考えても、使命を持って生まれてきた馬ですし、それに見合うだけの大器を備えた馬ですから。
もし、オルフェーヴルでまた負けたら、もう仕方ないです。
それは、まだ日本競馬が世界のトップレベルにないという証にほかならないからです。
それでも、これまでの色んな日本競馬の道程の上に、オルフェーヴルが大勝をもたらしてくれると、競馬ファンはどこかで信じているはずです。
エルコンドルパサーやナカヤマフェスタ(この
牡馬もステイゴールドの息子)、そしてオルフェーヴル自身が2着まで来て、果たしきれずにいる夢を、今秋、今度こそオルフェーヴルが叶えてくれると私も思っています。
オルフェーヴルこそが、日本競馬の新時代を切り開くサラブレッドだと信じています。
本番が楽しみでありながら、同時にめちゃくちゃ恐いですが、ステイゴールドの血が、日本競馬史上、最大のミラクルを起こすことを願って。
これ、まじで勝ったらたぶん号泣するな。
去年、凱旋門賞でなぜか最後の最後でオルフェーヴルがワケわからん負けを喫したときも、めちゃめちゃ泣いたけども(笑)


おまけ

ぶちかましている図
爺になっても元気なステイゴールド。
盛り上がってるステイに対し、ハイハイ……みたいな無表情の厩務員さんがイイ。
ステイにはいつまでも元気でいてほしい。
お願いします。