洋楽歌詞シリーズ第11回は前回がウェールズの伝説的スタジオ、ロックフィールドのドキュメンタリーについてだったのでそこでレコーディングされたOasis「(What's The Story) Morning Glory?」から僕にとってはこのアルバム最高の名曲「Champagne Supernova」。

 

 

 

 

日本盤掲載の児島由紀子さんの対訳を参考にさせていただきつつ訳してみたが、その前に1人で作詞作曲したノエル・ギャラガーがアルバムがリリースされた1995年にNMEで行なった全曲解説インタビューから参考になる部分をいくつか引用。

「歌詞の一部は俺が孤独を感じていた時に書いた」

「気分によって歌詞の意味は変わる。落ち込んでいる時には『地すべりの下に埋もれている』というのは窒息させられてるみたいな感じを意味するね」

「若い時にグループを見て奴らが自分に何をしてくれたか考えてみたら何もしてくれてなかった、ということについての曲だ。ガキの頃Sex Pistolsは世界を征服し皆殺しにすると信じていた(中略)パンク・ロックは革命になるはずだったが何かしたか?ダメになっただろ。マンチェスターは世界最大のムーヴメントになるはずがダメになった。バンドを始めた時俺たちは誰かのためにやるわけじゃない、数々の名曲を書くだけだって決めたのさ。」

「だけど歌詞の一部はなんの意味もない。」

「『俺たちがハイになっていた間お前はどこにいた?』は俺たちがいつもお互いに言ってることさ。」 

 

https://archive.is/20120713122631/http://oasisinterviews.blogspot.de/1995/09/noel-gallagher-nme-30th-september-1995.html

 

(1番)

How many special people change?
How many lives are livin' strange?
Where were you while we were getting high?
Slowly walkin' down the hall
Faster than a cannonball
Where were you while we were getting high?

 

どれだけ多くの特別な人々が変わってしまったのか?

どれだけ多くの人たちが奇妙な生活を送っているのか?

俺たちがハイになっていた間お前はどこにいた?

ゆっくりと広間を歩いていく

砲丸よりも速く

俺たちがハイになっていた間お前はどこにいた?

 

(1番サビ)

Someday you will find me
Caught beneath the landslide
In a champagne supernova in the sky
Someday you will find me
Caught beneath the landslide
In a champagne supernova
A champagne supernova in the sky

 

いつか俺も地すべりの下に埋もれているのを見つかるのだろう

空に浮かぶシャンペンの超新星の輝きの中

いつか俺も地すべりの下に埋もれているのを見つかるのだろう

シャンペンの超新星の輝きの中

空に浮かぶシャンペンの超新星

 

(2番)

Wake up the dawn and ask her why
A dreamer dreams she never dies
Wipe that tear away now from your eye
Slowly walkin' down the hall
Faster than a cannonball
Where were you while we were getting high?

 

明け方に目覚め彼女に質問する

夢見る人は彼女は不死だと夢見る

君の瞳からそんな涙はふいてくれ

ゆっくりと広間を歩いていく

砲丸よりも速く

俺たちがハイになっていた間お前はどこにいた?

 

(2番サビ)

Someday you will find me
Caught beneath the landslide
In a champagne supernova in the sky
Someday you will find me
Caught beneath the landslide
In a champagne supernova
A champagne supernova

 

いつか俺も地すべりの下に埋もれているのを見つかるのだろう

空に浮かぶシャンペンの超新星の輝きの中

いつか俺も地すべりの下に埋もれているのを見つかるのだろう

シャンペンの超新星の輝きの中

シャンペンの超新星

 

(*)

'Cause people believe
That they're gonna get away for the summer
But you and I, we live and die
The world's still spinnin' 'round, we don't know why
Why, why, why, why

 

連中は信じている

夏休みになれば逃げおおせると

けれどお前も俺も、俺たちは生きそして死ぬのさ

それでも地球は回っている、理由など俺たちにはわかりゃしない

理由なんて、理由なんて、理由なんて、理由なんて

 

(1番繰り返し)

How many special people change?
How many lives are livin' strange?
Where were you while we were getting high?
Slowly walkin' down the hall
Faster than a cannonball
Where were you while we were getting high?

 

どれだけ多くの特別な人々が変わってしまったのか?

どれだけ多くの人たちが奇妙な生活を送っているのか?

俺たちがハイになっていた間お前はどこにいた?

ゆっくりと広間を歩いていく

砲丸よりも速く

俺たちがハイになっていた間お前はどこにいた?

 

(2番サビ繰り返し)

Someday you will find me
Caught beneath the landslide
In a champagne supernova in the sky
Someday you will find me
Caught beneath the landslide
In a champagne supernova
A champagne supernova

 

いつか俺も地すべりの下に埋もれているのを見つかるのだろう

空に浮かぶシャンペンの超新星の輝きの中

いつか俺も地すべりの下に埋もれているのを見つかるのだろう

シャンペンの超新星の輝きの中

シャンペンの超新星

 

(*繰り返し)

'Cause people believe
That they're gonna get away for the summer
But you and I, we live and die
The world's still spinnin' 'round, we don't know why
Why, why, why, why

 

連中は信じている

夏休みになれば逃げおおせると

けれどお前も俺も、俺たちは生きそして死ぬのさ

それでも地球は回っている、理由など俺たちにはわかりゃしない

理由なんて、理由なんて、理由なんて、理由なんて

 

Na, na, na

Na, na Na, na 

Na, na, na 

Na, na 

Na, na Na, na 

Na, na Na, na, na 

 

How many special people change? 

How many lives are livin' strange?

Where were you while we were getting high? 

We were getting high

We were getting high

We were getting high

We were getting high

We were getting high

We were getting high

We were getting high

We were getting high

We were getting high

 

どれだけ多くの特別な人々が変わってしまったのか?

どれだけ多くの人たちが奇妙な生活を送っているのか?

俺たちがハイになっていた間お前はどこにいた?

俺たちはハイになっていた(以下繰り返し)

 

書いた本人が「歌詞の一部はなんの意味もない。」と言ってくれているので意味がよくわからない箇所はお言葉に甘えてすっ飛ばすとあとはこれまた本人が言う通り、若い頃の音楽への純朴な信頼が裏切られたことを1番で歌っている。

しかしながらサビでは自分もまたそういった連中と同様にシャンペンに溺れて堕落していくことを予感している。

言うまでもなく「(What's The Story) Morning Glory?」はまだ2枚目のアルバムにして彼らのキャリアの絶頂だがその中にあって書かれたこの歌詞からは「誰も信じない、自分だけを信じる」というパンク・ロックすら突き抜けて「誰もどころか自分自身すら信じない」という突き放したニヒリズムを感じる。

ブリットポップといえば享楽的なラッド・カルチャーというイメージがどうしてもある。しかしその真っ只中にあってわざわざアルバムの最後にこの曲を持ってきたのはもちろんゆったりとした壮大な曲調が締めくくりにふさわしいということもあったのだろうが、今だから言えることだがあまりにも予言めいている。そして上記の全曲解説のうち「Hello」の部分で「俺は音楽と同じぐらい歌詞にも時間をかける」とノエル・ギャラガーが言っていることを考えると単なる思いつきでこの歌詞が書かれたとは思えない。「Cast No Shadows」の箇所では「本当に意味のある歌詞を書けるようになりたいんだけれどいつもドラッグかセックスについて書いちまうんだ」とも言っているが、確かにこの曲もドラッグについて言及しているがそこが本質ではないし「できてるじゃん」とタイムマシンがあって会えたら言ってみたくなる。

その真っ最中には無我夢中で何が起こっているのかわからなかったという趣旨のことをブームを経験したミュージシャンはよく言うが、ノエル・ギャラガーが奇妙に醒めた部分のあった数少ない例外だったことを示しているが故にこのアルバムの数々のアンセムの中でも特別な存在にこの曲はなっているのだ。