『Nのために』最終話 | 蒼い月と白い猫

蒼い月と白い猫

思うまま。気の向くままに。
映画やドラマ、好きな役者さんの事をつらつら書いてます。
窪田正孝くん絶賛応援中です。

2014/12/19 放送。


はぁーーー。終わってしまったぁぁぁ(´□`。)

ちょっとした放心状態が続いておりました。


事件の謎は、ほぼ予想通りでしたが

奈央子さんの「連れ出して欲しい」が

希美の事だったとはなぁ。


まぁ傍目からみたら、異常な愛情表現しかできない野口夫妻に

希美達が巻き込まれてしまった風にしか見えないんだけれども

目線を変えれば、この2人もちゃんと愛し合ってたんだよね。

奈央子を手放したくない野口と、野口を奪われたくない奈央子。

やもすれば共依存とも思えるほど強く求め合ってるのに

疑心がすべてを狂わせてしまった感じで。

希美は奪う気なんかサラサラないのにね^^;


西崎さんが罪をかぶる理由も予想通り。

「奈央子を人殺しにしたくない」は

成瀬くんの「杉下を犯罪者にしたくない」を思い出してグッときた。

自分が罪をかぶってでも愛する人を守りたい。

これもある意味、純愛だよなぁ。


もう1つの理由もビンゴ。

母親への償いのための10年間。

でも、見殺しにした事を償うためだけでなく

自分自身の再生のための償いでもあるんだよね。

予想できる範囲のもう少し奥まで理由があるのが素晴らしい。


でも安藤のチェーンロックに関しては

「えっ、それだけの理由で?」って思ってしまった^^;;

うーーーん。最後にちょっと株下げてきたな(笑)

相手の心を確かめるために

「相手を困らせる」って手段に出るのは、ちょっとなぁ。。。

まぁそれだけ嫉妬心に苛まれてしまってたって事なんだろうけど。


ここも、ほんの少しの心のすれ違いなんだよなぁ。

心の支えとして胸の奥にいたのは成瀬くんだったけど

あの時点での希美にとっての一番は安藤だったはず。

だから巻き込みたくなかっただけなのに。

これも「愛する人を守りたい」の一心だったのにね。

自ら闇に飛び込んでしまった安藤・・・ツライな。


そして事件の真相は、希美と西崎さんだけの秘密だったのね。

希美は西崎さんの気持ちを救うために協力したのか・・・。

ここにも情愛とは違う深い絆を感じたなぁ。

希美の「大切なN」は安藤であり、西崎さんでもあるんだね。


西崎さんの満足げな穏やかな笑顔にジワッときました。


で、成瀬くんは希美がやったと思ったまま、何も聞かず

その罪を引き受けて、黙って身を引いたって事なのかぁぁ。

希美は成瀬くんがそう思ってる事に気付いてたんだろうか?

いや、誰にも気付かれず、その人にも気付かれず罪を引き受ける。

それが究極の愛って言ってたかな。確か。


今度は俺の番だ・・・って覚悟を決めるところも

穏やかな表情でそれを受け入れるところも

胸がキューッと締め付けられる思いでした。

罪を共有することは、その相手との「別れ」を意味する。

秘密を隠し通すために、相手を守るために、関係を断つ。

その覚悟をしたからこそ、少し涙目だったんだよね。

なぜ人を思う気持ちが、こんなにもせつないんだろう。

西崎さんの「杉下を守ってやってくれ」は

そういう形での守り方ではなかったと思うんだけどなぁ・・・。


映像にはなっていなかったけど、希美もまた安藤を守るために

安藤との連絡を絶ちきってたんだね・・・。

パラパラめくられる写真の中に

玄関ドアを叩く安藤と、耳をふさぐ希美の姿が見えて

こちらもせつなかったです・・・(涙)。


いろんな愛の形の歪みで起こってしまった10年前の事件。

「あの場にいたすべての人間に大切なNがいた」のフレーズが

すべての真相が明かされた今、本当にジワジワくるー。


そこから繋がる現代描写が、これまた秀逸で。


前回の「ただ・・・一緒におらん?」の続きも、また泣けた。


けど、ちょーっとだけ違和感を覚える部分もあって。


希美は自分から、西崎さんに病気のことを聞いたのか切り出すけど

(前回それを聞かないのが良い!と思ってたけど聞いたんだね(笑))

成瀬くんはあえて、その話を広げようとしないんだよね。

病状がどうなのかも聞かない。

その感じがすっごく成瀬くんっぽいなぁと思ってたんだけど

その後がちょーっとだけ「んん??」って思っちゃって(;´▽`A``


やっぱり「成瀬くんの野望」のくだりを、どうしても入れたかったのかなぁ。

「もし一緒になっとったら私が成瀬くんの野望を叶えられとったね」とか

「わからんよ。そのうち画期的な治療法が発見されて・・・」とか

あの辺りのガンガン病気の核心に迫ってく感じの会話は

それまでの2人の言動にあんまり合ってない気がしちゃった。

相手のツライ部分を察して、思いやるけれども

踏み込んでいかないのが2人の関係だったような気がするから。

けど、やっぱり「成瀬くんの野望」のくだりを入れるには

そういう会話にせざるを得なかったのかな。

ま。ちょっと細かすぎるツッコミか(笑)


でもその後の「杉下の思う通りにしたらええよ」って

希美の気持ちを尊重しながらの「でも・・・待っとるよ」にウルッときた。


押しつけない。でも見放さない。


「甘えられん」


「待っとる」

で、じんわり泣けた。


窪田くんのこらえたような、慈しむような潤んだ瞳にやられるの

何回目だろう・°・(ノД`)・°・


高野夫妻の描写も泣けたなぁ。

黙ってたなっちゃんのこと、責めたりしないし

その罪を一緒に背負っていく覚悟もしてるよね。高野さんは。

ただただ長年、誰にも言えない気持ちを抱え続けてた

なっちゃんの苦しみを思いやり、慰めてくれる優しさ。

「安心しい。離れんよ。」には本当に泣けた。

なっちゃんの声が出るようになったところも。

オリジナルキャラとは思えないぐらいの血の通いっぷり。

脇キャラまで、ちゃんと丁寧に人生が描かれてる。


またこの事を経験した高野さんが安藤に

「誰かを守るために無心に嘘をつく人間もおるんですね」って

言うところも痺れました。

そっか。それがこっちの話にも繋がるのかって。

安藤にその意味が伝わったかどうかは分からないけど。


成瀬と安藤の対面シーンも短いながらも良いシーンで。

自分では確かめる事ができなかった希美の想い。

「希美にとっての自分」が相手の口から語られる。

1人の女性を愛した2人の男性が

相手の存在を認め合う清々しさ。

何だかちょっとジーンときてしまいました。


「杉下の傍にあなたがいてくれて良かった」


安藤は自分の手で幸せにしたいと思う人。

成瀬くんは相手の幸せを一番に願う人。

真逆だけど、2人とも希美を光の方へ

導いてくれる存在だったんだよね。


ぬくもりを与えてくれる冬の太陽のような優しさで

包み込んでくれる成瀬くんに成長したけれど

やっぱり属性としては月なんだろうなぁ。

月は光を放たない昼間も、ずっと空にいる。

陽が沈んだあと、その日の終わりに輝く「最後の光」は月。

希美の心に最後まで光を照らしてくれる存在になるんだろうな。


そして希美と母親の再会も泣けた。(泣いてばっかり(笑))

希美が母親にずっと連絡を取って来なかったのは

あのトラウマを思い出したくないってだけじゃなくて

母親を捨てるように出てきた後ろめたさもあったのね。

困った時だけ頼ることはできないって思いもあってのこと。


でも、やっぱり親は親なんだなぁ。

どんなに会わない時間が長くても、昔のように接してくれる。

子供達の事が心配だし、昔の自分がおかしかった事も分かってた。

希美が「悲しませるかもしれんけど・・・」って話はじめるところから

もうダメだったんだけど、そのことをしっかり受け止めて

抱きしめてくれるお母さんの姿に号泣してしまいました。

母親と和解したことで、心を委ねて甘えられたことで

希美の心を覆っていた頑なな想いも溶けたんだろうな。

愛する人たちを悲しませないことよりも、自分のために生きよう。

愛する人たちの傍で、残りの時間を過ごそうって思えたんだろな。


でもその「愛する人たち」に安藤は入っていない。

安藤は希美の希望だから。彼は自分の夢だから。

希美は希美のやり方で、安藤を守っていくんだと思う。

元気で輝いてた自分の記憶だけを彼の中に残して。


その安藤との電話のシーンも、すごく泣けた。

っていうか、ずっと泣きっぱなしだったんだけどさ(笑)


「安藤は広い世界、見られた?今、思った通りに生きてる?」


「生きてる。完璧じゃないけど悪くない。杉下は?」


「私も・・・これからかな」


希美が「これから」を夢見られる様になったこと。

ちゃんと前を向けるようになったこと。

もーーー涙が止まらなかった。


榮倉ちゃんの瞳にみるみるうちに涙がたまっていって

ポロッとこぼれるところ、すんごく胸に響きました。


そして美しいラストシーン。

ビーチサンダル。成瀬くんの髪型。

希美のメイク。話し声。フェリーの切符。

「これから仕入に行くけど、乗る?」のしぐさ。

またもや1話の「乗れば?」がフラッシュバック。(汎用性、高いな(笑))

どれもこれも、あの頃のままの2人の空気感。


闇の中で手探りするような状態で

誰にも知られず、そっと手を繋ぎ合っていた2人。

罪の共有を約束するように

別れを告げるようにしか繋げなかった手。

ようやく、お互いの気持ちを確かめあうように

一緒に生きていくために繋がれる。

「手を繋ぐ」という描写に、これほど持ってかれる事も

そうそうないと思います(笑)


目の前に広がる水平線は、希美の心象風景かな。

水面にキラキラ輝く太陽。無限に広がる青い空。

高いところに行かなくても、すぐ近くにあった美しい風景。


ヒロインの死にオチというバッドエンドにはならず

残り少ないかもしれないけど、まだ残された時間がある。

その時間を輝かしいものに・・・という希望の持てるラスト。


フワッとした優しい抱擁で終わるのもすごく良かった。

安易にキスシーンとかだと、ちょっと嘘くさくなっちゃうから(笑)

あれぐらいの距離感の方がリアルです。

プラトニックで良いと思う(笑)


最後の最後にタイトルバックという流れにも痺れました。


10月17日の放送から3ヶ月間。本当に楽しませて頂きました。

思い出したら、涙と溜息ばっかり出てしまいます(笑)


さざなみ放火事件もスカイローズガーデン事件も

4話ぐらいでしてた予想が、ほぼアタリだったんですが

そのあともよくミスリードに釣られて、二転三転しましたわ^^;

後半まで展開が見えない作り方、本当にアッパレでした。


原作というフィルターを通さず台本のみで受けた感動や衝撃を

窪田くん自身の演技で、そのままの形で受け取れたのも

すっごく幸せなことでした。


第1話のクオリティが高すぎて、最後まで持つのか・・・という

不安もありましたが、ホントに最後の最後まで

そのクオリティが落ちる事はありませんでした。

以前のシーンを思い出させる演出やら伏線。回収。

ミスリード。対比。印象深く残るアイテム。

いろんな手法にやられっぱなしでした。


10年前の事件の時についてたTVの映像が

希美と弟が島で父親に進路相談行った時に

ついてたTVの映像と同じとか

ラストシーンの2人の立ち位置や構図が

1話のバルコニーのシーンと酷似してたりとか。

よく見ないと気付かないこだわりネタ?

まだまだあるんじゃないかと思ってしまいます( ̄ー ̄)


無駄なシーンは1つもなくて

キャストも誰1人欠けちゃいけないぐらいのハマりっぷり。

○○が○○役だったら・・・みたいな想像もつかない。

もうその役は、その人たちにしか出来ないと思わされました。

映像や色彩の美しさ、音楽も効果的で

どっぷりその世界に浸れました。


最高のキャスト、最高のスタッフで作られた最高の作品でした。

素晴らしいドラマをありがとうございました。


しばらくNロスに浸りたいと思います。。。