箱から出されて僕の掌に載せられたインコの赤ちゃんは、周りの騒々しさに驚いたのか、それとも外に出された寒さのせいからなのか、心細げな声でピーピーと鳴き続けた。小さな身体を益々縮こまらせて、隠れる場所もない僕の掌の隙間に身を隠そうとして体をぐいぐい押し付けてきた。
僕の手に直に、体の温もりと震えと心臓の規則正しい鼓動とが伝わってきた。体温は温かいというよりはむしろ熱い感じであった。 目は開いていたが、どうもまだよく視線が定まっていないようだ。
頭から頸、腹そして脚に至る身体の大部分は、つやつやした柔らかそうな皮膚に覆われているだけだった。手羽根と尾羽根の部分だけに(申し訳程度に)、淡い青色の羽根がその根元を皮膚に埋め込んだような感じで生えていた。身体の他の部分に比べて黄色みを帯びた嘴と両足は異様に大きく、全体としてアンバランスな感じで、その姿はお世辞にもかわいいとはいえないように思えた。
鳥というよりは、恐竜図鑑によく描かれている赤ちゃん恐竜にそっくりのように思えた。
そういえば最近の古生物学の研究によれば、鳥は絶滅を免れた恐竜の子孫ということらしいから、僕の掌で泣き叫んでいる生き物は鳥になりかかっている恐竜といってもいいのかもしれない。
しかし娘たちは僕がこんなふうな冷静な観察をしているとは思いもよらず、
「かわいい!!かわいいわね!?」
を連発し、僕たちに同意を求めてくるのであった。そして
「ねえ、ねえ。私にも触らせて。」
といって、まるでガラス細工のおもちゃを扱うように、おっかなびっくりしながらインコを自分たちの掌に受け取り、うっとりとした表情でこの小さな生命体を見入るのであった。