赤ちゃん小鳥を掌に載せてしばらく遊んだので、娘たちは満足したようであった。このかわいい生き物が自分たちのものになったことに得心がいって、安心したのであろう。

 すぐにセキセイ・インコの赤ちゃんは用意されていた別の小箱の中に移された。箱の底には新聞紙を細かく引き裂いた紙片が沢山敷き詰めてあり、とても温かそうであった。

 早速箱の中で前もって練習していた手順に従って、最初の食餌が行われた。よほどお腹が空いていたのであろう、赤ちゃんはすぐエサにかぶりついてきた。

 「ピピー、ングング。ピピー、ングング。」

赤ちゃんはこんな風に鳴き、かつ食べた。甘ったるい声、子供々々した動作である。我々も見ていて胸の内が甘酸っぱい気持ちでいっぱいになり、

 「よち、よち、はいはい。」

などと赤ちゃん言葉を発して、ついつい優しく面倒を見てしまうことになるのだ。我々四人全員がこの子の親代わりになった気分であった。特に娘たち二人は競い合うようにして小鳥の世話をするのであった。

 更にもう一杯のスプーンのスープのお代わりをして満足したのか、赤ちゃんはもうエサに口を近づけようとせず、また箱の隅にうずくまって、体を震わせながらひたすら小さく丸まって眼を閉じた。

 我々はそのようなインコの赤ちゃんの様子を、それぞれの思いを込めた眼差しで見つめていた。

 「お休み、インコの赤ちゃん。今日は色々怖い思いをしたんだろうね。でもこれからはここで安心してゆっくりできるよ。」

これは僕。

 「こんな小っちゃい内からお母さんと離れ離れになって、かわいそうだわ。でも、明日からはわたしがちゃんと面倒見てあげるね。」

 「早く大きくなってね。そしたら一緒にうんと遊んであげる。」

と娘たち。そしてワイフは

 「さてさて、これからは皆にしっかり世話をして貰わないとね。」

 しばらくして我々は笑顔で互いを見つめ合い、そして寒くないようにと小箱をタオルで覆って、灯りを消してそっと部屋を離れていった。