セキセイ・インコの赤ちゃんは、今度もやはり「ピーちゃん」と名付けられた。ピーピー鳴くからピーちゃんで、小鳥の名前としては多分日本で一番多い、ありきたりの名前かもしれない。

 ところで「今度も」ということについては少し訳があって、実は我が家でインコを買うのは今回で四度目になる。どうして何度もインコを飼うことになったのか。ことの発端は以下のようなことから始まった。

 最寄りの地下鉄の駅の近くのスーパーに小鳥屋さんがあり、買い物に行くと娘たちと一緒に小鳥さんたちを一通り眺めて帰るのが常であった。

その小鳥屋さんが店じまいすることになり、売れ残っていた小鳥や金魚を安売りに出したのだ(なぜか小鳥屋さんでは必ずと言って良いほど金魚も売っている。市民が飼える小動物の標準的な組み合わせということか?)。

 たまたまスーパーにお使いに行っていた娘たちがこれを見て、自分たちの小遣いで一羽買ってきてしまった。もう少し後で飼うことを考えていた僕にとっては予定外の出来事だったが、得意満面・喜色満面の二人の顔を見ると

 「返しておいで。」

とは言えず、飼うことになった。

この小鳥さんはもうかなり大きく育っていたが、どうも来た時からお腹の調子が悪く病気がちであった。色々手を尽くしたが甲斐なく、一か月足らずで亡くなってしまった。僕の掌の上で息を引き取った。

 娘たちにとっては生き物の死という、初めて経験する出来事であった。娘たちは声を出して泣き、僕も柄にもなく涙を流してしまった。可哀そうな小鳥の遺骸は、直ぐ近くの公園の林の大きな木の根元に埋められた。

 ワイフはなかなか泣き止もうとしない娘たちに困り果て、

 「もう、動物を飼うのは止めようね。」

と諭すように言った。

 「もう」と言ったのは、実は動物を飼ったのはこれが初めてではなかったからである。