暦の上ではもうすでに秋の季節である。

  でも相変わらずのものすごい暑さと、蒸し暑さをいや増すためにやっているとしか思えないような、これまたものすごい豪雨の繰り返しが続いている。しかしここにきて数日の間晴れや曇りの日が繰り返されて、朝夕はあれっと思えるような涼しさの気配が感じられるようになってきた。

 今朝もエヴァとの散歩の道すがら数人の犬友さんとすれ違い、その方々から「やっと少し涼しくなってきたね。」と同じように声を掛けられたのである。暦の少し後を追いかけるように、秋の季節が僕とエヴァが歩く坂道をゆっくりとついて来ているように感じられたのでした。

 

 朝食が済み、いつものようにデッキの階段で僕とエヴァの「お外カフェ」をやりました。朝7時頃のこの場所にはまだ日が差すこともなく、それに今朝は少し涼しいのでコーヒーを飲みながら本を読むことにした。しばらく読み進めていて、僕の右腕に何か付いているのに気付いた。よく見るとチョウチョである。茶系の羽根の中央に白みのまん丸い円が描かれているチョウチョであった。

 追い払うこともないかと思いそのままにしていたが、ほんのページをめくるために腕を動かしても驚く様子もなくしっかり腕にしがみついていて飛び立とうとしない。よく見ると、吻を伸ばして僕の汗ばんだ腕をあちこちせわしく舐め回している。更によく観察を続けていたら、頻繁に場所を変えながら吻の先は上手に毛穴を攻撃していることが分かってきた。そうか、そこにはきっと塩分濃度の高い汗が残っているのだ!なんとなくこそばゆい思いがする。

 本のページに目を落としてしばらく読み進めた後、切れのいいところでまた腕に目をやったら、チョウチョは相変わらず夢中になって吻を動かし続けている。「コーヒーも飲み終わったし、部屋に戻るんだけど。」と思いながら腕にフッと息を吹きかけたら、チョウチョは驚いたように飛び立ち、手前の茂みの陰に飛び去って行った。