影響を受けたゲイムービーを挙げるとしたら、「トーチソング・トリロジー」や「マイ・プライベート・アイダホ」なんかが真っ先に思いつくのだけれど、自分のオリジンは別にあるのだ。
アカデミー賞も受賞し、苛烈なベトナム戦争を描いた「ディア・ハンター」なのだけれど、じゃあどんなゲイのキャラクターが描かれるのかというと、表面上は一人も出ていないのである。
では何故これが個人的にゲイムービーにカテゴライズされているのかというと、親友以上愛情未満の男性同士の関係を見事に描いており、精神的な繋がりに於いてはゲイ以上に見えるのだ。
ストーリーは男性2名と女性1名の3人を軸にしているのであるが、今となっては3人ともハリウッドのレジェンドであるR・デ・ニーロ、C・ウォーケン、M・ストリープなのである。
デ・ニーロ演じるマイケルとウォーケン演じるニックは親友で、ストリープ演じるリンダはニックと婚約しており、マイケルとニックはベトナムに行く前に互いに助け合う事を誓うのだ。
しかし戦場は過酷で二人とも捕虜にされ、ベトナム人は賭けの為にロシアンルーレットの駒として捕虜を利用しており、マイケルは脱出する為に敢えてニックとロシアンルーレットに挑むのだ。
嫌がるニックを奮い立たせマイケルはリボルバーに3発も弾を込め、交互に自分の頭に向けて引き金を引くのだが、お互い一発目を外して生き残った後、兵に向けて銃を放って脱出に成功する。
しかし脱出中にニックとマイケルは逸れてしまい、マイケルは単身アメリカに戻った後、ニックを失ったリンダを慰める内にお互いがそこにいないニックを介して求めあう事に気付いてしまう。
ニックがまだベトナムで生存している事を知ったマイケルは、彼を取り戻す為に単身ベトナムに向かうのだが、そこで再会したのは薬漬けでロシアンルーレットに熱中するニックの姿だった。
マイケルはなんとかニックに正気に戻って貰う為、敢えて彼のロシアンルーレットの挑戦者になり、彼の目前で頭に向けて引き金を引く前「愛しているよ( I love you)」と言い気持ちを伝えた。
なんとか空撃ちで難を逃れれニックの番になったが、マイケルとの雑談で昔の記憶を取り戻しつつあったその瞬間、ニックは引き金を引き自分の頭に弾丸をぶち込む事になってしまうのだ。
その場に倒れ込むニックを抱き抱え、こめかみから溢れる血を止める為に手でふさぎ、なんとか助けようとしながらも絶望で咆哮するマイケルは、恋人を失ってしまったかのように見えるのだ。
依存すらも通り越した精神的な繋がりは、時に性愛を凌駕した関係性を創り出し、親友という括りだけでは説明が出来ないほどの硬い絆を創り出す事を映し出した映画なのである。
ちなみにこの映画に興味を持ってくれた方は、上映時間3時間半あり軽いモチベーションで見始めると後悔する事間違い無いので、気合があるときにだけお勧めの一本です。
という訳で今回の個人的イケメンは、ディア・ハンターの監督のマイケル・チミノのデビュー作で、クリント・イーストウッドと共に主役を貼ったジェフ・ブリッジズになります。
