音の響きを動く「オイリュトミー芸術」を仕事にするようになって25年以上が経ちます。

(オイリュトミーとは、約100年前に、教育思想家のルドルフ・シュタイナーによって生まれた新しい運動芸術です。)

 

●三つの「音」

 

音には三つあります。

言葉の音・・・例えば、母音、子音など。

音楽の音・・・要素としてはメロディ、ハーモニー、リズムなど。

  その中間に

 

歌の音があります。

  ・・歌には、母音の要素が実は欠かせません。

 

母音は息を発声に変え、歌うことは、呼吸することでもあります。

肉体的な呼吸もさることながら、そこには心が外に向かったり、内に向かったり、

「魂の呼吸」も含まれます。

 

言葉と音楽というジャンルに分ける前に「歌」があったというのは、注目すべきことです。

 

●響きの中の魔法の力は内側から人を変える

 

この「音の響き」には魔法のような不思議な力があります。

それをオイリュトミーを通してうまく生かして練習すると、大人も、子どもも、ハンディある人も、

外側からではなく、内側から人が、変わってゆくことができます

そんな場面にこれまで幾度も立ち会ってきました。

 

🎵2019年2月に奏身舎で開いたオイリュトミーフェスティバルでの、こんなエピソードをご紹介しましょう。

 

精神障害があり、手指にも震えがある女性Sさんが、✨キラキラ星12番の音楽で、自分の出番ではないのに客席から突然、躍り出て、颯爽と高学年の子どもたちのオイリュトミーに飛び入り参加したことがあります。

 

驚いて、彼女を止めようとするスタッフの手を振り払い、Sさんは、

6年生の子が持っていたシュタープを素早く奪った!!

(シュタープを取られた子には、別のシュタープを渡し、音楽は途切れることなく続く。そして次の瞬間、Sさんは、それをクルクル高速で回しながら(「so ist es 」という技です)、子どもたちに混ざって、きらきら星の最後を締めくくる12番を、見事に動き切ったのです。フォルムもぴったり正確に合っていました。

 

音楽が彼女のハートをしっかりと掴み、調和ある動きに導いたこの奇跡

みんな、しばし唖然とし、・・そして、拍手喝采が起こったのでした。

 

これほど劇的ではなくても、音楽が起こす魔法のような力は、ほんとうに素晴らしく、人間の感情の奥底に働きかけ、停滞しているものを高みへと引き上げる作用があるのです。

 

(使い方を誤れば、影響力があるだけに、その逆もあるので、指導者は使い方を知らないといけません。)

もちろん、良い作用の方をオイリュトミーレッスンでは生かすようにしています。

 

石のように頑なに固まって「イヤダ、イヤダ!絶対動きたくない!!」と駄々をこねていた子が、波打つイメージの音楽が流れた途端に、率先して輪の中に入り、スイングしながら、波の動きに乗っていたり、泣いていた子が「お花が笑った!」の歌のオイリュトミーで、泣き止んでいつの間にか笑っていたり・・・。これらは日常茶飯事のこと。

 

●もしも子どもが否定的な言葉を言ったら?

 

この例にあるように、子どもの言葉の否定的な要素を、額面通りに捉えてはならないことを、私は現場で学びました。

イヤだと言っても「心の底から本心で嫌がっている」というよりも、単に、親や教師に反抗したいから、反抗できる自分を確かめたいから・・ということもあります。

また、

自信がなくて、「失敗してとやかく言われたくない」が故に、先回りしてやる前に「イヤダ」と示すのは、ダメかもしれない結果を攻められるのが嫌なだけだったりします。

結果ではなくて、プロセスを大事にしていることを何度でも言葉や態度で示すことが大切です。

また、心からの励まし。見守り。

そして、教師が子どもの否定的な言葉に過度に囚われ過ぎず、

良いと思われることを、確信を持って、怯まずに柔軟に行動に移すことも良い結果につながるように思います。

 

 

 

だから、ある行為に導く時の、大人の態度次第で子どもが大きく変わるのだということを、指導者や親は知っておく必要があります。

 

それが大人自身のエゴのためなのか、ほんとうに子ども自身のためなのか。

「お前のためなんだよ、と言いつつ、実は大人のプライドや見栄のためだったりすることもありますね。

本当に、良いことだと思っているのか・・・を子どもは瞬時に見抜きます。

 

また、こんなエピソードもあります。

 

●音楽は、人間の意志の奥底に働きかける

 

「場面緘黙症」の男子中学生が、好きな曲を笛で演奏したくて、自ら楽譜を持参してきたことがあります。

全く楽譜も読めず、

笛も吹いたことがなかった彼は、

彼はオイリュトミーの授業のたび毎に、2小節ずつ一緒に笛で練習し、その積み重ねを年度末の発表会で発表したのでした。

見ず知らずの大勢のお客さんの前で最後まで演奏したことは、「場面緘黙症」の彼にとっては、素晴らしい奇跡のような出来事でした。

 

その中学生は、最初は笛やオイリュトミーに対して、ひどく拒絶反応を示していたのです。

でも、実際にやってみたら、・・・思いの外、悪いものではなかったようです。

 

彼自身は自己肯定感が低かったのですが、練習するに従って「自分はできる!」という自信が湧いてきたのです。

また、音楽の素晴らしさが彼の縮こまっていた感情と精神を一段と成長させてくれたのでした。

 

本物の音楽には、人間の意志の奥底に働きかけ、私たちの精神を高みへと輝かせる力があります。

 

この音楽の有する魔法は、どこから生じるのか?

 

それは意識と無意識を繋ぐ領域に、働いています。

しかし、その両者を橋渡しするものについて、

 

  

とかとか、目に見えない次元に飛ぶ前に、

私たちの実際の物質体を通して、肉体の次元でも、音楽が関与していることをはっきり掴みたいと思いました。

 

例えば歯の生え変わりと音楽の関わりについて。

また、脳髄と脊髄を結ぶ脳脊髄液の循環について。

医学という冷たい知識だけではなく、熱い芸術体験を通してハートとともに認識すること。

 

その試みが今回の夏合宿テーマです。↓

 

シュタイナーは、脳脊髄液の循環を、その一つにあげています。

 

医学的な見地でそれを解き明かしているのが、アーミン・フーゼマンの以下の著書です。

 

 

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↓歯の生え変わりと音楽の関係をオイリュトミーで体験します。

⭐️8/11,12「音楽する人間 思考する人体」奏身舎でのリトリートの二日間
https://ameblo.jp/eurytmie-sousinsya/entry-12464135534.html

https://www.facebook.com/events/321580371866062/

 

 

https://ameblo.jp/eurytmie-sousinsya/entry-12490843981.html

 

 

 

手遊び、メルヘン、アクティビティの講座では音の響きを生かした手遊びを伝授しています。               

⭐️8/25シュタイナー保育・教育現場で使える素材を学ぼう (みんなのシュタイナー主催)

「メルヘン・手遊び・アクティビィティ」平和島サニー保育園にて
https://ameblo.jp/eurytmie-sousinsya/entry-12460312847.html

 

 

親子向けのサマースクールでも「音」をテーマにしています。

「親子サマースクール那須」詳細はこちら↓

⭐️【告知】8/3,4シュタイナー親子サマースクール那須
https://ameblo.jp/eurytmie-sousinsya/entry-12459322008.html

⭐️FBイベント【シュタイナー親子サマースクール那須】

https://www.facebook.com/events/469590767112103/

 

⭐️【シュタイナー親子サマースクール那須】楽器の素材み〜つけた!

https://ameblo.jp/eurytmie-sousinsya/entry-12460699234.html

⭐️空きカンとストローで作るフクロウ笛。高学年の工作での楽器作り。
https://ameblo.jp/eurytmie-sousinsya/entry-12478515325.html

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⭐️グラスハープの実験。

https://ameblo.jp/eurytmie-sousinsya/entry-12485832209.html