ベルリンフィル&ハーディング、ツィンマーマン、パユ(2016年1月、ドイツ・ベルリン) | クラシック音楽と食べ物と。。。

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今回は、2016年1月のドイツベルリンからです。

 

今日も、午後からベルリンへ移動します。少し雪が降ってきてICEが途中徐行運転したものの、大きく遅れずにベルリンへ到着して一安心。中途半端な時間なので、ベルリン中央駅マクドナルドで、ブラウニーと紅茶で一息。

 

今日のベルリンフィルの指揮は、ダニエル・ハーディングダニエル・ハーディングは1975年イギリスオックスフォードに生まれ、高校時代にサイモン・ラトルのアシスタントを務め、1994年バーミンガム市交響楽団を指揮、1996年には最年少指揮者としてBBCプロムスに出演し、同年ベルリンフィルブーレーズブラームスドヴォルザーク作品を指揮しています。トロンヘイム交響楽団音楽監督、ノールショピング交響楽団首席客員指揮者、ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団音楽監督、マーラー室内管弦楽団音楽監督、ロンドン交響楽団首席客演指揮者、スウェーデン放送交響楽団音楽監督などを務め、この年、2016年からはパリ管弦楽団首席指揮者に就任することが発表されています。

 


ドヴォルザーク: オセロ


最初の曲は、

ドヴォルザーク:オセロ

Antonín Dvořák: Othello, Konzertouvertüre op.93

 

オセロは、ドヴォルザークが1891年から1892年にかけて作曲した「自然と生命と愛」という演奏会用序曲3部作の3番目の曲。「自然の中で」「謝肉祭」に続いて作曲された「オセロ」は、1891年11月~1892年1月にかけて作曲されます。プログラムによれば、初演は1892年10月21日、ニューヨークカーネギーホールにおいてドヴォルザーク自身の指揮で行われたとなっています(別の資料だと違うことが書かれていますが。。。)。ベルリンフィルでの初演は、1894年10月11日フランツ・マンシュテットの指揮で演奏されています。

ドヴォルザークは、最初、悲劇的やエロイカと言った題名を考えていたようですが、最終的にはシェークスピアのオセロからその題名をとっています。「自然と生命と愛」というテーマの最後を飾る曲に、なんで愛憎渦巻く「オセロ」という題を持ってきたのかと思ったりしますが、実際に曲を聞くと、その人間の愛憎も大きな自然の一部だと考えるドヴォルザークの世界観がよくうかがえる素晴らしい序曲です。

 


マグヌス・リンドベルイ: ヴァイオリン協奏曲第2番


2曲目は、

マグヌス・リンドベルイ: ヴァイオリン協奏曲第2番

Magnus Lindberg: Violinkonzert Nr.2

 

マグヌス・リンドベルイは、フィンランドの作曲家で、現代音楽の振興に力を尽くしている作曲家です。ヴァイオリン協奏曲第2番は、2015年にベルリンフィルロンドンフィルニューヨークフィルスウェーデン放送交響楽団ラジオ・フランス共同委託作品で、2015年12月9日ロンドンロイヤル・フェスティバルホールヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮、ロンドンフィルの演奏、今日のソリストでもあるフランク・ペーター・ツィンマーマンのソロで行われています。この曲は、ある意味、現代音楽と思えないほど聞きやすい曲です。

ツィンマーマンのバイオリン、結構好きです。歌い方というか、泣き方というか、それが絶妙で、なんとも心に入ってきます。今日のプログラムに紙がはさまれていて、今回の演奏会が、ツィンマーマンが楽器収集家Herrn Yuから提供されたストラディバリウスを公の場で初めて使う演奏会だと書かれていました。ストラディバリウスたしかに何とも言えないやわらかい、素晴らしい響き。素晴らしい演奏でした。今回の演奏会は、ドイツでのこの曲の初演だったようです。

 


ピエール・ブーレーズ: メモリアル


3曲目は、

ピエール・ブーレーズ: フルートと8つの楽器のための「メモリアル(...エクスプロザント=フィクス...)」オリジナル版

Pierre Boukez: Mémoriale(…explosante-fixe…Originel) für Flöte und acht Instrumente

 

フランスを代表する作曲家であり、指揮者であるピエール・ブーレーズは、この年2016年1月5日に亡くなったばかりでしたが、今回のコンサートプログラムには「ピエール・ブーレーズに捧げる」と書かれていて、ピエール・ブーレーズの追悼コンサートでもあります。

1985年に書かれたこの曲は、フルートとホルン2、ヴァイオリン3、ヴィオラ2、チェロで演奏される曲で、初演は、1985年11月29日フランスナンテールアマンディエ劇場ソフィー・シェリエのフルート、アンサンブル・アンテルコンタンポランのメンバー、ブーレーズ自身の指揮で行われています。

 

今回のソロは、エマニュエル・パユベルリンフィルの首席フルートでソリストとしても高く評価されているフルート奏者です。パユの演奏は素晴らしいの一言ですが、フルートのソロ曲って、個人的にはちょっと難しいです。

 


シューマン: 交響曲第2番


最後の曲は、

シューマン: 交響曲第2番

Robert Schumann: Symponie Nr. 2 C-Dur op.61

 

1845年から1846年にかけて作曲され、初演は、1846年11月5日ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏、メンデルスゾーンの指揮で行われています。ベルリンフィルでの初演は、1882年10月23日フランツ・ヴュルナー指揮で演奏されたものです。

シューマンといえば、音楽評論家としてのシューマン、作曲家としてのシューマン、ピアニスト クララ・ヴィークとの結婚、そして精神疾患。その多くの重大なことが、この前後に起こっています。1840年には長年のクララの父親との確執を経てやっとクララとの正式な結婚が成立します。1841年には最初の交響曲、1843年にはライプツィヒ音楽院の教授になりますが、1844年には体調の不良からライプツィヒ音楽院の教授を辞し、そして長年続けてきた「新音楽時報」の編集主幹も辞してしまい、ライプツィヒからドレスデンへ引っ越しします。そして1845年7月にピアノ協奏曲を完成させると、9月にはこの交響曲2番に関して「ハ長調のトランペットが頭に響いている」とメンデルゾーンに手紙を書いています。ベートーヴェンの第9の影響を受けているとも言われるこの曲、第一楽章、穏やかな第二楽章、憂いに満ちた第三楽章、歓喜の第四楽章フィナーレへ。音楽評論家のアルフレート・デルフェルはこの曲を聞いて「この作曲家は創造の新たな高みに到達した」と評しました。

 

今日のダニエル・ハーディング。選曲のせいもありますが、激しめの指揮で、メリハリのある音楽。素晴らしい演奏でした。