リッカルド・ムーティ―指揮ベルリンフィル(2015年4月、ドイツ・ベルリン) | クラシック音楽と食べ物と。。。

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今回は2015年4月のドイツ・ベルリンからです。

 

今日は、6年ぶりにリッカルド・ムーティがベルリンフィルを振るというので楽しみです。

リッカルド・ムーティ(Riccardo Muti)は、イタリアナポリ出身の指揮者です。はじめ故郷ナポリでピアノを、後にミラノ音楽院で作曲と指揮をブルーノ・ベッティネッリ(Bruno Bettinelli)とアントニーノ・ヴォットー(Antonio Votto)から学びます。1967年にグィード・カンテッリ指揮者コンクールで優勝し、その後フィレンツェ五月音楽祭の音楽監督に任命され1980年まで続けています。フィルハーモニア管弦楽団フィラデルフィア管弦楽団の首席指揮者。スカラ座シカゴ管弦楽団の音楽監督などを務めています。50年近くに渡り、世界中の著名ホールでトップクラスのオーケストラとオペラ作品を演奏してきており、ウィーンフィルとも深い関係を保っています。ベルリンフィルとは1972年以来定期的に演奏を行っていますが、直近は2009年で正に6年ぶりの共演のようです。

 


シューベルト: イタリア風序曲第二番ハ長調


最初の曲は、

シューベルト: イタリア風序曲第二番ハ長調

Franz Schubert: Ouvertüre im italienischen Stil C-Dur D591

 

1817年に作曲され、おそらく1818年3月1日にウィーンで初演されているようです。ベルリンフィルでの初演は、1928年11月13日ハインツ・ウンガー(Heinz Unger)の指揮で行われています。

当時ウィーンではロッシーニが大流行しており、その影響を色濃く受けている作品でですが、その中でもシューベルト特有のハーモニーがしっかりと主張しています。柔らかく、温かいメロディーは20歳のころに書かれたこの作品にもしっかりと表現されています。

 


モーツァルト: 交響曲第35番


2曲目は、

モーツァルト: 交響曲第35番

Wolfgang Amadeus Mozart: Symphonie Nr. 35 D-Dur KV 385 "Haffner"

 

モーツァルトの若い頃はイタリアオペラ全盛期。モーツァルトの初期のオペラもイタリアの影響を色濃く受けているようです。この曲は、1782年夏のフルートとクラリネットがない最初のバージョンが作曲され、後1783年の2月か3月に改訂版が作曲されています。初演は、おそらく1782年8月に行われたジークムント・ハフナーの祝賀会で、改訂版は1783年3月23日モーツァルト自身の指揮で行われています。ベルリンフィルでの初演は、1884年2月11日フランツ・ヴュルナー(Franz Wüllner)指揮で行われました。

この時期モーツァルトは、「後宮からの誘拐」で忙しい日々を過ごしているところに、父親のレオポルトからジークムント・ハフナーの祝賀会のために曲を作ってほしいと依頼されます。そんな中で作曲されたのが初版。そしてそれを改定したものが、今演奏されている交響曲35番ハフナーです。

いきなり2オクターブの跳躍で始まり、その後スタカートの下降。なんとも印象的な始まりです。セレナードの2楽章。3楽章のメヌエットを経て、プレストの第4楽章フィナーレに至ります。現在でも、よく演奏される曲の一つです。

 


リヒャルト・シュトラウス: 交響的幻想曲『イタリアから』


休憩を挟んで3曲目は、

リヒャルト・シュトラウス: 交響的幻想曲『イタリアから』

Richard Strauss: Aus Italien Symphonicsche Fantasie G-Dur op. 16

 

後世に残る交響詩を多く作曲したリヒャルト・シュトラウスドン・ファンマクベス死と変容ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずらツァラトゥストラはかく語りきドン・キホーテ英雄の生涯。そのシュトラウス初の標題音楽がこの「イタリアから」です。

彼のブラームスに進められてイタリアを旅した時の印象をもとに作曲しました。第1楽章「カンパーニャにて」、第2楽章「ローマの遺跡にて」第3楽章:「ソレントの海岸にて」、第4楽章「ナポリ人の生活」。全般的にさわやかな曲です。第4楽章でよく聞くメロディーが出てきます。そう、「おにーのパンツは、いいパンツ」のあのメロディー。シュトラウスイタリア旅行した時に聞いた曲を民謡だと思って使ったらしいんですが、実は当時の流行歌で著作料とられたとか。。。日本人からすると、「鬼のパンツ」を大真面目で演奏するベルリンフィル。思わず顔がほころびます。でも、これ他の国の人にはわからないだろうなあ。。。同じ標題音楽でもリストワーグナーと違い、シュトラウスらしいさわやかな曲です。この曲が作曲されたのは1886年。初演は1887年3月2日ミュンヘンのオデオン(コンサートホール)で李作曲者自身の指揮で行われています。ベルリンフィルでの初演は1884年2月11日フランツ・ヴュルナー(Franz Wüllner)指揮で行われています。

今ではこの曲演奏機会は少ないと思うのですが、実は今日の指揮者ムーティが繰り返し演奏している曲なんですよね。今回少し調べてみたら、どうもムーティは若い頃にロシアのピアニスト、リヒテルに勧められてこの曲をレパートリーに入れたのだとか。いろんなエピソードがあるものですね。

 

今日の指揮者のムーティ。彼がステージに登場するだけで、何か華やかな雰囲気になります。今日は、イタリアにちなむ曲で構成されていて、そのせいもあってかいつものベルリンフィルよりも華やかな気がします。やはりムーティが振ると音も華やかになるのでしょうか。ムーティってまだまだ若いと思っていたら既に73歳(当時)だそうです。今日のコンマスは樫本大進。オーボエもすごくよかった。フルートも良かったし、クラリネットヴェンツェル・フックス(Wenzel Fuchs)。この人、かなり体使って表情つけるんですよね。それにしてもうまい。この人のクラリネット大好きです。ベルリンフィル、これだけの演奏会をこなすことを考えると一曲ごとのリハってものすごく限られた時間のハズ。もし、この人たちがみっちりリハやって本番に臨んだらどんな演奏になるんでしょうか。ムーティの指揮も見れたし、なんとも華やかなベルリンフィルの演奏も聞けて、今日も大満足です。

 

今日も、これからハンブルクに向けて帰ります。