シベリウス5・6・7番(2015年2月、ドイツ・ベルリン) | クラシック音楽と食べ物と。。。

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今回は、2015年2月のドイツ・ベルリンからです。

少し前にサイモン・ラトル&ベルリンフィルによるシベリウス・ツィクルスのことを書きましたが、今回のコンサートはその一環で、シベリウス交響曲5番から7番が演奏されました。

 

ベルリンに到着して、前回に引き続きコンサートの前に少しカフェに行ってみようと思い、プレンツラウアー・ベルグ(Prenzlauer Berg)地区のカフェにやってきました。よく行く「ささや」さんもこの地区にあり、ベルリンのトレンディスポットの一つです(たぶん。。。)。

 

今日来たのは「PAKOLAT」。

古いピアノが置いてあったり、壁にもいろんなポスターが貼られていたり。

なかなかによい雰囲気のお店です。

ケーキの種類も豊富で迷ったのですが、バナナチョコケーキにしました。

お店の奥は厨房になっているのですが、ガラス張りになっていて、ケーキ作っているところがよく見えます。

このバナナチョコケーキ、なかなかにバナナバナナバナナバナナしていましたが、おいしい!!

 

甘いものを堪能した後は、フィルハーモニーへ移動です。

この時期、ベルリンでは「ベルリナーレ」が行われています。ベルリン国際映画祭カンヌベネツィアと並ぶ世界三大映画祭の一つだそうです。

 

さて、フィルハーモニーへ到着しました。

 


シベリウス: 交響曲第5番


最初の曲は、

シベリウス: 交響曲第5番

Jean Sibelius: Symphonie Nr. 5 Es-Dur op. 82

 

この曲は、シベリウスの交響曲の中で最もよく演奏される曲の一つではないでしょうか。

なんといっても伸びやかな金管楽器がとても巧みに使われていて、「死」を予感させる4番からうって変わって、ある意味「生」の喜びを感じさせるような曲です。個人的には、この曲結構好きなんですよね。

この曲は1914年から1915年にかけて4楽章を持つ交響曲として作曲され、1915年12月8日自身の50歳の記念行事においてシベリウス自身の指揮で初演が行われます。翌年1916年に改訂を行い、初演から1年後の12月8日、再度自身の誕生日にシベリウス自身が作曲して改訂版の初演が行われています。この時に最初の2つの楽章は統合され、3楽章の編成になっています。さらにその後1919年にさらに新しい改訂版を出し、1991年11月24日ヘルシンキにおいてシベリウス自身の指揮で決定稿での初演が行われています。ブルックナーなんかも改訂版が多いのですが、シベリウスの5番は、初版の初演で大成功したにもかかわらず、自ら不満として2回も改訂を加えたということですから、かなりのこだわり様ですね。

 

第一楽章では、北欧の大自然を感じさせる雄大で伸びやかな旋律、そしてトランペットのたっぷりと聞かせてくれる主題がとても印象的です。そして、第三楽章では、フルート、オーボエ、クラリネットといった木管楽器も大活躍します。そして、再度、ホルン、トランペットの主題に戻ってきます。このトランペットが奏でる旋律、シベリウス自身の「白鳥のリズム」と呼んだものだそうです。「 「今日、10時50分に、16羽の白鳥を見た。私の人生でも、最も偉大な体験だ。第5交響曲の終楽章のテーマ:トランペットのレガート! 」。管楽器が活躍する曲はたくさんあるんですが、この曲なんとも管楽器のゆったりとした、伸びやかな良さを引き出していて、そこにはまってしまいます。

 

ベルリンフィルでの初演は、1921年11月2日フェルッチョ・ブゾーニの指揮で行われています。

 


シベリウス: 交響曲第6番


休憩の後に演奏された2曲目は、

シベリウス: 交響曲第6番

Jean Sibelius: Symphonie Nr. 6 d-Moll op. 104

 

交響曲5番、6番、7番の構想は1914年同時に始まっていました。しかし、5番の作曲を50歳の記念行事のために優先したため、6番の作曲には少々長い年月がかかりました。6番を本格的に作曲を始めたのは1818年。この年、シベリウスの故郷フィンランドは、ロシアから独立を果たします。第一次世界大戦の影響で滞っていた作曲活動が一気に再開されます。最終この曲が完成したのは1923年です。4番で実験的な試みを行い、5番6番はその延長線上にあると言われています。

シベリウスは、教会音楽の父ともいわれるパレストリーナフランドル楽派の作曲家であるオルランド・ディ・ラッソなどをよく研究しており、その影響からか、この曲ではドリア旋法が使われています。それが、なんともこの曲のシベリウスらしさを強めています。

 

雪が降り積もる森のような静けさを感じさせるバイオリンのメロデイーで始まり、様々な生き物が徐々に動き始めていく。そんな印象を受ける曲で、なんとも言えない透明感を曲全体を通して感じます。

 

この曲の初演は、ヘルシンキで1923年2月19日シベリウス自身の指揮で行われています。ベルリンフィルでの初演は、1938年9月27日カラヤン指揮で行われました。

 


シベリウス: 交響曲第7番


3曲目は、

シベリウス: 交響曲第7番

Jean Sibelius: Symphonie Nr. 7 C-Dur op. 105

 

7番6番とほぼ同じ作曲経緯をたどり、6番完成の翌年1924年に完成します。

7番は単一楽章の交響曲です。単一楽章の交響曲ということは、1楽章しか楽章がないということで、単一楽章の交響曲が他にないかと言えばそんなことはないのですが、やはり単一楽章というだけで、なにか特別感はあります。実際、初演時には「交響的幻想曲」として演奏されていますが、この1つの楽章には、交響曲に必要な要素すべてが練り込まれています。ある意味、シベリウスが目指してきた「統合」の究極の姿なのかもしれません。

この曲を聞いていると、シベリウスという作曲家の特徴が、和声・ポリフォーにではなく、旋律・独特の色合いを持った音階によって形作られていることがよくわかります。この説明で正しく伝わっているか、甚だ疑問ではありますので、もし7番ご存知でない方がおられましたら音源もいろんなところにありますし20分ほどの曲ですから、一度実際の曲を聞いてみてくださいませ。

今回、サイモン・ラトルは、この7番6番から合間なく続きで演奏していました。

 

今回のコンマスは、ダニエル・スタブラワ(Daniel Stabrawa)。

5夜にわたって行われた一連のシベリウス・ツィクルスの最終夜。素晴らしい演奏でした。個人的には、やっぱり5番ですかね。

 

今日も、これからハンブルクまで帰ります。

 

ちなみにプログラムは、5夜共有プログラムでした。