ばらの騎士@ザルツブルク音楽祭(2014年8月) | クラシック音楽と食べ物と。。。

クラシック音楽と食べ物と。。。

ヨーロッパでの生活を振り返るブログ。

今回も2014年8月のザルツブルクからです。

 

午前中ウィーンフィルのコンサート、その後ザルツブルク祝祭劇場の見学ツアーに参加して、夜は、オペラの公演です。

その前に、お茶をしようと、カフェ・トマセッリに向かいます。

 

デライトガッセを通り、

 

レジデンツ広場まで出ます。

 

この少し手前にカフェ・トマセッリはあります。

その歴史を1700年にまで遡るカフェ・トマセッリ(Cafe Tomaselli)は、オーストリアで最も古いカフェの1つであり、モーツァルトカラヤンも通ったという老舗カフェです。

この縞々の模様とベランダのお花が印象的です。

 

アイスコーヒーを注文。こんなのが来ました。

 

ケーキは、トレーに乗せて持ってきてくれるので、その中から好きなケーキを選ぶ方式。

ケーキ代だけは、その場で支払います。今回は、ザッハートルテ

 

さて、本日2つ目のコンサートは、オペラ。

リヒャルト・シュトラウス: ばらの騎士

Richard Strauss: Der Rosenkavalier

 

クラシックファンでリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)を知らないかたはあまりいないと思いますが、バイエルン王国(今のドイツ南部)出身の作曲家・指揮者。でも、ヨハン・シュトラウスと、たまにどちらがどちらかわからなくなったりします。リヒャルト・シュトラウス自身も、「あの有名な”美しく青きドナウ”を作られた方ですか」などと言われて困ったという話もあるようです。

リヒャルト・シュトラウスというと、奥さんのパウリーネが悪妻だとか、お金のためならしょーもない仕事も受けてしまうとか、団員とカードゲームに興じていたとか、いろいろな話が尽きませんが、今日は、その作品にフォーカスしていきたいと思います。

 

リヒャルト・シュトラウス作品で最も知られている曲は、おそらく「ツァラトゥストラはかく語りき」でしょうか。この曲は、2001年宇宙の旅で使われ、すっかり有名になりました。この映画が公開された1968年から見ると、2001年というのはずいぶん先の未来でしたが、今となってはすでに17年も前になってしまいました。

彼は、多くの交響詩を残した作曲家で、「ドン・ファン」、「マクベス」、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、「ドン・キホーテ」、「英雄の生涯」など、多くの曲を残し、先の「ツァラトゥストラはかく語りき」もその一つです。

ちなみにこの年は、リヒャルト・シュトラウスの生誕150年に当たっていました。

 

今回の「ばらの騎士」は、リヒャルト・シュトラウスのオペラ作品の中でも傑作中の傑作で、今でも繰り返し上演される曲の一つです。

 

ところで、たまに、ドイツ語カッコいいですよね、と言われることがあるのですが、

  • Super(ズーパー) → 英語のSuper
  • Wunderbar(ヴンダバー) → 英語のWonderful

など、日本人からするとなんだか”なまってるよなあ”と吹き出してしまうような言葉を日常的に聞いている身としては、「そうかなあ?」思ってしまいます。でも、このRosenkavalier(ローゼンカヴァリエ)って、なんだか響きがよくないですか?

ばらの騎士というのは、ウィーン貴族が婚約の使者を立てるのですが、その使者のことを「ばらの騎士」と言うそうで、銀のバラを送ることからこの名前で呼ばれるそうです。

 

主要な登場人物は、

  • 元帥夫人
  • オクタヴィアン
  • ゾフィー
  • オックス男爵
あらすじは、いろいろなサイトに載っていますので、そちらをご覧ください。
 
元帥夫人は、クラッシミラ・ストヤノヴァ(Krassimira Stoyanova)。
圧倒的な歌唱力です。声質、ボリューム、解釈。どれをとっても圧倒的です。特に、三重唱のところなどは、鳥肌立ってきました。
オクタヴィア役は、ソフィー・コッホ(Sophie Koch)。この役は、ソプラノまたはメゾソプラノ歌手が男装して演じます。この方もなかなかによく歌います。男性役としての動きもスムーズで、なかなかに見ごたえある演技でした。
ゾフィー役は、モイツァ・エルトマン(Mojca Erdmann)。この人、ハンブルク出身の歌手なんですよね。オペラ歌手の方って、役柄と見目が合わなくて、見ていてちょっと噴き出してしまうこともあるのですが、細身で、役柄とよく合っていました。
オックス男爵役は、 ギュンター・グロイスベック(Günther Groissböck)。田舎貴族、下品で好色という役柄からすると、ちょっと精悍でスマートなぎやしないかと思わなくもありませんが、なかなかの歌い手です。
 
演出は、ハリー・クプファー(Harry Kupfer)。ウィーンの街並みなど切り取ったプロジェクションもシンプルで効果的に使われており、20世紀初頭を意識したという衣装も、違和感なく、よかったと思います。他のバタバタ恋愛劇的なオペラ作品に比べて、なんとも微妙に揺れ動く心の機微を描いているこの作品によく合っていたのではないでしょうか。
 
指揮は、フランツ・ウェルザー=メスト(Franz Welser-Möst)。さすが、ウェルザー=メスト、緻密な曲の解釈から積み上げられた、しっかりとした音楽の流れを作り出していました。そして、やはりウィーンフィル。なんでこんな音が出るんでしょうか。他のオーケストラにはない、この独特の柔らかい音。そして、完璧とも思える曲の運び。そして、ダイナミズム。いやあ、大満足の演奏でした。
 
さすがに、お昼のコンサートとは違い、オペラ公演となると、お客さんも正装の方が多く、女性も素晴らしいドレスで着飾ってこられていて、なんとも華やかな雰囲気でした。
 
バラの騎士は、3幕構成ですが、各幕ごとに休憩が入り、18時からスタートした公演も、すべてが終わるころには22時を過ぎ、すっかりと暗闇につつまれる時間。演奏会の感動を胸に、ホテルとへ向かいます。