先日のブログに記載した通り、アメリカのヒューストンで開催された世界歯学学会へ同行させて頂いた時、ヒューストン大学の教授から、「アメリカでは精神的ストレスから虫歯になる」という事実を聞いて初めて知った事実だったので大きく驚いた。
当時は、文化によってストレスを受けて、その症状が出る場所が、異なるものだと解釈していた。
人間は文化が異なろうとも、体構造上、大幅な差異はないので、日本人でも同様という結果が科学的に証明された。
それは、何気なく観ていた番組「ためしてガッテン」である。
何と、ストレスを受けると、ストレス後に受けるであろう身体的ダメージに備えて、脳が唾液の分泌を少なくする指令を出す。この際、唾液の治癒能力を有する物質の濃度を高めるということを知った。
通常ならば、そのストレス因子が取り除かれれば、唾液の分泌量も元通りになる。
しかし、ストレスを受けて、そのストレス因子がなくなっても、唾液の分泌量が少なくなったままで、元に戻らない人がいることも判った。これが及ぼす要因として、ドライマウス(口内乾燥)により、インフルエンザに罹患しやすくなる。また、そのドライマウスの症状が引き起こす、症状一覧の中に、「虫歯になりやすい」とあった。これを見て、私は、長年のストレスと虫歯の因果関係に関する悩みが払拭され、氷解したのである。
ちなみに、私はドライマウスかどうかは問題ではないが、違うということだけ言っておこう。
何故、口腔内が乾燥していると虫歯になりやすいかというと、歯周病の原因とされる嫌気性細菌が、唾液が少ないことで、歯と歯や歯と歯茎といった歯間の奥へ入り込んでしまう。それは、嫌気性細菌は、その名の通り、空気を嫌うので、より空気に触れない場所に隠れようとするのである。よって、通常の歯磨きをした程度では、奥の歯間まで入り込んだ嫌気性細菌まで除去することは不可能に近い。だから、虫歯になる確率が格段に上がってしまうのである。
ドライマウスの人は、液体歯磨きを長時間使用するしかないのだろうか。
もしくは、総合病院の歯科で受診して、歯石除去ではなく、歯周病になる前に嫌気性細菌を退治する根本的な治療を受けた方が良いであろう。あってはならないことであるが、個人経営の歯科医院では、ドライマウスと虫歯の関係を知らない可能性もあるので、注意が必要である。
いずれ、研究が進み、ドライマウスの改善方法は見付かるであろうと希望的観測を述べて、この記事の終わりとする。