• 26 Dec
    • 太陽フレアってなんだ!?〜Part2

      本日2度目のこんにちは。今回も前回に引き続き、フレアについて書きたいと思います。先程はフレアのメカニズムやフレアによる被害、宇宙天気予報について紹介しました。フレアは恐ろしいものだ、と思った方も多いことでしょう。しかし、実はフレアが私たちの生みの親かもしれない、という説もあるのです。今回はその説について紹介します。現在、生命の誕生については次の2つの大きな問題が言われています。 過去の太陽は現在よりも活動が弱かったため、地球の海はほぼ全てが凍っており、とても生命の誕生できるような環境ではない(暗い太陽のパラドクス)。 窒素分子は非常に安定なため、初期の地球の状態では生命の基礎となるDNAやRNAを作ることができない。これら2つの謎を解く鍵がフレアにあるのではないか、という論文が昨年(2016年)に出ました。若い頃の太陽は現在ほどエネルギーを放出していないものの、現在よりもはるかに大きなフレアをしばしば起こしており、これによって大量のプラズマ粒子が放出され、地球大気中の窒素と以下のような様々な化学反応を起こしたとする説です。正直に言うと私はこの図にある1つ1つの化学反応までは詳しく知らないのですが、とりあえず注目すべき点はN2OとHCNという2つの物質が生成されていることです。N2Oは一酸化二窒素(亜酸化窒素)と呼ばれる化合物で、二酸化炭素の300倍という強烈な温室効果を持ちます。従って、太陽から届くエネルギーが小さい初期の地球でも、この強烈な温室効果ガスが存在すれば海が凍る心配がなくなります。HCNはシアン化水素と呼ばれる化合物で、重合することによってアミノ酸やタンパク質を生み出すことができます。これをきっかけに生命の素となる物質を次々と生み出すことができるのです。確かに、太陽フレアが生命誕生に大きく関わっていそうな感じがしますね。以上の説はまだ仮説に過ぎませんが、現在の文明社会にとって大きな脅威である巨大フレアが実は私たちの“母”であったとしたら、非常に面白いことだと思います。今後の検証に期待しましょう!ではでは今回はこの辺で!Reference:V.S. Airapetian et al. Prebiotic chemistry and atmospheric warming of early Earth by an active young Sun. Nature Geosci. 9, 452-456 (2016).関連記事:太陽フレアってなんだ!?〜Part1

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    • 太陽フレアってなんだ!?〜Part1

      今年の9月、太陽で強力なフレアと呼ばれる現象が発生していたのをご存知でしょうか?結局この時は地球に大きな被害はなかったものの、時としてフレアは私たちの生活に甚大な被害を与えかねないため、多くの研究者たちが太陽を注意深く観測していました。今日はその「フレア」のお話です。©NASA/SDOまず、フレアとは一体何でしょうか?簡単に言うなら「太陽表面で起こる大規模な爆発現象」です。もう少し詳しく説明しましょう。太陽の表面には非常に強力な磁場があります。磁束密度はフェライト磁石と同じくらいです、と言うと大したことないようにも思えますが、半径7億kmの球の表面に磁石がびっしりと並んでいる様子を想像すると…なかなか怖いですよね。そして、太陽の表面は「差動回転」と呼ばれる自転の仕方をしています。差動回転とは、緯度によって自転周期が異なるような自転様式のことで、実際太陽の赤道域の自転周期は約25日、極域の自転周期は約30日です。この差動回転によって、太陽表面では磁力線が引き伸ばされ、ところどころ磁力線同士が接触して磁気リコネクションと呼ばれる爆発現象が発生します。このときに様々な物質が放出されるのがフレアと呼ばれる現象なのです。フレアが発生すると、まず太陽からX線が放出されます。下の図は今年の9月10日に太陽から放出されたX線の量を示したものです。16:00UT(UT≒旧グリニッジ天文台の時刻)頃にX線の量が急増しているのが分かりますね。X線が太陽を出てから地球に到達するまでに8分かかるので、フレア自体はこのX線の急増の8分前に起こっていたことになります。©NICTフレアの際にはX線以外にも大量のプラズマ粒子が放出されます。プラズマとは、陽子や電子などの荷電粒子がビュンビュン飛んでいるような状態のことです。放出されたプラズマ粒子は約2日かけて地球へ到達し、地球に様々な影響を及ぼします。まず、低緯度帯でもオーロラが見えることがあります。江戸時代には本居宣長が松坂でオーロラを目撃したという話もあります。2003年に起こった巨大フレアの際には北海道など北日本でオーロラが観測されました。オーロラが見えるだけなら良いのですが、プラズマ粒子は私たちの生活に甚大な被害を及ぼすことがあります。プラズマ粒子は電気を帯びているので、電磁石と同じような感じで磁場を作り出し、地球の磁場を大きくかき乱します(磁気嵐)。すると今度は電磁石の逆の電磁誘導により、地上の電線に大電流が生じることがあります。カナダのケベック州では変電所の変圧器が過電流で破壊されたこともあるそうです。また、磁気嵐によってインターネット回線やGPSに必要な人工衛星が機能しなくなってしまうこともあります。以上、かなり不安を煽るようなことを書きましたが、実際はフレアが起こってもX線やプラズマが地球とは異なる方向に飛んでいく確率の方が高いですし、地球に到達したとしても大きな被害が出ることは稀です。とはいえ、このようなことが起こる可能性がある以上、何らかの対策はしなければなりません。天気に天気予報があるように、宇宙に対しては「宇宙天気予報」というものがあります。NASAのSOHOやSDOなど、宇宙天気予報を担う人工衛星がいくつかあります。©NASA/SOHO, ©NASA/SDO例えば、X線はフレア発生後、地球に到達するまで8分程度ですが、一方でより大きな被害を及ぼすプラズマ粒子は到達に2日程度かかります。従って、太陽から放出されるX線の量を観測すればフレアによるプラズマ粒子の到来を予測することが可能なのです。ちょうど緊急地震速報がP波とS波の時間差を利用しているのと同じことです。個人で対策することは難しいですが、さらに早い段階でフレアの発生を予測できるようにしようという研究が現在進んでいます。ではでは、今日はこの辺で!関連記事:太陽フレアってなんだ!?〜Part2

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  • 24 Oct
    • 月の公転・自転周期が同じなのはなぜ?

      こんにちは。今回は月のお話です。小学校の理科の授業で「月の公転周期と自転周期はともに27.4日で全く同じで、月はいつも地球に同じ面を向けて回っている」と教わったと思います。なんたる偶然!と私は思いました。ところが、これは偶然ではなく、深〜いワケがあったのです。今回は、月の公転周期と自転周期が同じになった理由について書きたいと思います。今回のキーワードは「潮汐」です。潮汐といえば潮の満ち引きを思い浮かべる人がほとんどだと思いますが、実は地球(の固体部分)や月も潮汐力によって少し歪みます。※今回の主役は月なので、月を大きく描いています。ひとまず月の自転のことを無視すると、月の地球側の面は地球の重力によって、そして地球と反対側の面は公転による遠心力によって、上の図のように膨らみます。月の自転を考慮に入れると話が少し複雑になります。まず、自転が公転よりも遅い場合を考えてみましょう。月は固体なので、上で紹介した潮汐による変形は少し遅れて月の形に反映されます。つまり、ある場所で地球から潮汐力を受けても、それに合わせて変形する間に月は公転をして先へ進んでしまうのです。すると、下の左の図のように潮汐によって膨らむ部位が地球の方向とはずれ、膨らんだ部分は地球から赤い矢印のように引っ張られます。すると、月には反時計回りの力がかかり、自転が速くなります。それでは月の自転が公転よりも速い場合にはどうなるでしょうか。その答えは上の右の図です。自転が速いと、潮汐によって変形している間に月がどんどん自転をしてしまうので、膨らんだ部分が先程とは反対向きにずれ、時計回りの力を受けることになり、自転が遅くなるのです。少々話がややこしくなりましたが、簡単にまとめると、潮汐の効果によって月の自転は速すぎもせず遅すぎもしない速さに調整される、ということです。そしてその「速すぎも遅すぎもしない速さ」というのが「公転と同じ速さ」なのです。以上が月の自転周期と公転周期が同じになった理由です。上記のように潮汐によって自転と公転の周期が等しくなることを「潮汐ロック」と呼びます。潮汐ロックは月に限った現象ではなく、他にも面白い話があるので、また記事にできたらと思います。ではでは!

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  • 10 Oct
    • 太陽系はこうしてできた!〜Part1

      こんにちは。今回は太陽系の形成について書きたいと思います。太陽系ができるまでにはいくつものステップがありました。そのステップを順番に紹介していきます。今から約46億年前、現在の太陽系の場所には大量のガスとダスト(塵、小さな粒子)が存在していました(分子雲)。初めはモヤモヤとしていた分子雲ですが、そのうち重力によって一部がギュッと集まり、太陽が誕生します。そして太陽の周りを余ったガスがグルグルと回る状態(原始惑星系円盤)になります。以下の画像はチリにあるALMA望遠鏡が撮影した、おうし座HL星を取り巻く原始惑星系円盤です。しばらくすると原始惑星系円盤中のダストが自身の重力によって集まり始め、直径10kmくらいの惑星の赤ちゃん(微惑星)がたくさんでき始めます。この時にできる微惑星の大きさには若干差があり、大きいものは周りの小さめの微惑星を重力で引きつけ、合体してさらに大きな微惑星へと成長します。こうしてさらに大きさを増した微惑星はさらに周囲の小さな微惑星を取り込み成長してさらに大きくなり...というようにグングン成長していきます(暴走成長)。こうして、巨大化した微惑星(原始惑星)が一定の間隔を保っていくつも並ぶような状態になります。間隔を空けて並んだ原始惑星たちは周囲の微惑星を取り込み続け(寡占的成長)、最終的には直径1,000kmくらい(月と同じくらい)まで成長します。そしていよいよクライマックス。原始惑星同士が衝突・合体を繰り返してさらなる成長を遂げ、惑星になります。この原始惑星同士の衝突をジャイアントインパクトと呼びます。これについては別の記事で詳しく書きたいと思います。惑星ができるまでには様々なステップがあるということがお分かりいただけましたか?以上は現在最有力とされるモデルですが、あくまで「最有力」というだけで、実は誤っている可能性さえあります。今回紹介したモデルの問題点についても今後の記事で紹介したいと思います。ではでは!

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宇宙や地球について勉強している大学4年生です。 サークルではサイエンスコミュニケーションをやってい...

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