
こんなコトがあったら、こわくて電気を消せない。
『やっぱり寝台車を使うんじゃなかったかな。』
でも7時間もかかるし。
ブルガリアで、もう1度寝台車を使うつもりなんだけど。
1等車にしたら、どうだろう。 かえって狙われるかな。
でも、車両と車両の間は行き来できないみたいだし。
とか、いろんなコトを考えて、それでも少し寝たみたいです。
ヘンな夢をみました。
僕が運転するはずの車に、誰か他の人が乗っていて、
エンジンがかかっている。
僕は窓から手を入れて、イグニッションキーを回して、
エンジンを切ろうとするんだけど、キーを回してもエンジンが切れない。
そこで、なんとなく目が覚めました。
エンジンの音だと思っていたのは、列車が走る音でした。
『エンジンが切れないはずだ。』とか思ったりして。

ドアがガタガタいうので、
『あんなコトがあると、ドアがガタガタいう度に目が覚めるんだよな。』
と思って、ふとドアを見たら、少し開いていて、
その隙間に指が見えました。
『ゲッ!』 『また、あのジジイか。』と思って、
今度は何語でなんて言ったか覚えていないけど、
「どうしたんだ!」みたいなことを言って、カーテンを開けたら、
やっぱりあのジジイでした。
『なんてこった。』
そしてまた、そのジジイはさっきと同じように、
隣のコンパートメントを覗いたりして、僕の前を通って、
引き返していきました。
普通の人の顔じゃないですね。 憎しみのこもった目つきでした。
その顔を見て、
『こいつ、刑務所に入っていたんじゃないかな。』と思いました。
パリには、たまにそういう人がいるから。
物乞いするのに、「刑務所にいた。」とか、
「刑務所から出てきた。」とか言う人がいるんです。
そういう人の目つきに似ていました。
通路を走っていって、車掌の部屋のドアをたたきました。
電気が消えていたから、車掌も寝ていたんでしょうね。
でも、すぐ起きてきました。
「彼がドアを開けた。2度、1時半と今、開けたんだ。」って、
英語で言ったら、ジジイを追いかけて行きました。
車掌がルーマニア語で何か言ったら、
ジジイもナンダカンダ言ってました。
車掌が戻ってきて、
「トイレに行くたびに、自分のコンパートメントを忘れるみたいだ。
それでいろいろ覗いたらしい。」だって。
彼はちょっとボケてる、みたいなジェスチャーをしたけど、
僕は、やっぱりドロボーだと思う。
普通の人は、ドアに取っ手があるのに、隙間に指を入れたりしない。

4時12分でした。
『もう朝まで寝ないで起きていよう。』と思ったけど、
一日シンドイだろうな。
横になったら、また寝てしまいそうだったので、しばらく起きていました。
車掌に言われたから、もう来ないかもしれないけど、
「2度あるコトは、3度ある。」って言うし。