産経ニュースからです。
2016.1.11 09:00
【正論】
「 禍根残した「慰安婦」日韓合意 国際社会に流布された虚偽に「断固たる反論」をできなくなりはしないか? 西岡力
日韓両国政府が慰安婦問題で合意した。
外交という側面からは肯定的に評価できる部分もあるが、国と国民の名誉を守るという側面では大きな禍根を残した。
後者をどのようにリカバーするのかを早急に考えなければならない。
<省略>
日本にとっての慰安婦問題の解決は、虚偽によって傷つけられた日本国の名誉回復なしには実現しない。
この点で今回の合意は禍根を残した。
<省略>
≪事実に基づく反論を自制するな≫
しかし、安倍晋三首相までもが謝罪して国庫から10億円もの資金を支出することを見て、国際社会では
「日本政府が、第二次大戦中に20万人のアジア人女性を性奴隷として強制連行し、人権を蹂躙した事実を認め、韓国政府に10億円を支払うことに合意した」
という虚偽が広がっているのだ。
<省略>
安倍首相は14年12月の総選挙で掲げた政権公約で
「虚偽に基づくいわれなき非難に対しては断固として反論し、国際社会への対外発信などを通じて、日本の名誉・国益を回復するために行動します」
と約束した。
しかし、今回の合意で国際社会での相互批判を自制するとしたことにより、今後「断固たる反論」が事実上、できなくなるのではないかと憂慮される。
そもそも外務省は、吉田清治証言が事実無根であることさえ積極的に広報していない。
安倍政権が外務省主導の下、慰安婦問題をはじめとする歴史問題で「事実に基づく反論」を控えてきたことからすると、政府の国際広報をどのように再建するか真剣な検討が必要になる。
私は繰り返し
「外務省とは独立した専門部署を設置し、わが国の立場を正当に打ち出す国際広報を継続して行うこと」
を提言してきた。
日本国の名誉回復ぬきの慰安婦合意は評価できない。
(東京基督教大学教授・西岡力 にしおか つとむ) 」
http://www.sankei.com/politics/news/160106/plt1601060009-n1.html
慰安婦問題で日韓合意したときの感想は以前書きましたが(こちら)、
慰安婦の真実を追求することを無視した理解不能で唐突な合意でした。
西岡さんのこのコラムは研究者らしい素晴らしい内容で、本当に共感できるものでした。
安倍政権でのブレーンにもなっている西岡さんですが、今回の合意については西岡さんは関係ないようで安心しました。
もし合意の件で政府が西岡さんに意見を求めたら、西岡さんは反対したに違いないですから。
この日韓合意で、真実を追求するどころか日本の名誉の回復から遠ざかってしまったのは間違いありません。
よりにもよって、この合意の中で、
「安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001667.html
と、「おわび」という文言を入れてしまったのですから。
ただでさえ10億円という金額を拠出するのに「おわび」という言葉を入れてしまったら、詳細な事情を知るはずもない外国からは絶好の日本叩きの材料です。
当時の朝鮮人の貧困層の事情、朝鮮人女衒の実態など海外メディアが知るはずもありません。
この合意は海外で「河野談話」と同じくらい日本を貶めるものになった可能性もあるのです。
そして、旧日本兵、英霊は改めて「朝鮮人慰安婦を性奴隷にした畜生」という謂れのないレッテルを貼られた訳です。
我々は靖国神社で英霊に「おわび」をしなければなりません。
ソウル大学・安秉直名誉教授は言っていました。
「安倍首相は、厄介だから謝っておこうという態度をとってはならない」と。
▲ソウル大学・安秉直名誉教授
安倍総理の支持をやめる訳ではありませんが、今回の件については総理の猛省が必要です。
若手議員だった頃を思い出し、日本の名誉の回復に努めてほしいものです。
アメリカの圧力に負けずに。