2月19日(日)~20日(月):冬の幽霊?・・・まさかね | イーティーズ・プレイスの星空観測行

イーティーズ・プレイスの星空観測行

岩手の移動天文台、「イーティーズ・プレイス」による、星空と天体の観測記録。 http://www.justmystage.com/home/etplace/

大船渡市の五葉山麓、鷹生ダム展望所。2日前にも来たところですが、その時には、夜半から風が強まり、最終的にはほとんど地吹雪模様となって観測どころではなくなってしまいました。下の集落からは5kmほど離れており、近くにある温泉施設の営業が終われば、この時期には深夜から朝方にかけて道をとおる人はありません。山への登山道は冬期閉鎖になってますし。21:00には、ダム資料館の街灯も消えてほぼ真っ暗になります。

この日は、深夜からの通常観測・撮影。例によって、冬~春~夏の星座と主な星雲・星団・銀河を巡る一夜、の予定でした。オリオン座~いっかくじゅう座~ふたご座~おおいぬ座~しし座~おとめ座、あたりまで来たところで怪しい雪雲がゆっくりと広がってくる様子。そしてついに白いものがちらつき始め、それが徐々に強まってきました。


こんな感じで画像処理してHPで公開してます

03:00頃には望遠鏡にシートをかけて、様子を見ながら車内で待機です。すると、04:00頃でしたでしょうか、駐車場脇にある無人の資料館のドア?をたたくような音がします。かすかな光も見えます。こんな時間にこんな場所に人が来ることは・・・ありえません。しかも徒歩!望遠鏡を見かけて車の方に来るかもしれない、いったい何者なのだろう。車中でじっと息をひそめます。やがて、誰もいないと分かったのでしょう、人影は去っていきました。

雪が止む気配はなく、結局05:00頃には観測を諦めて撤収となりました。「晴れ」の予報を信じて遠征してきているわけですので、こんな時には「税金返せ!」と○○庁に向かって叫びたくもなります。もっとも、それほど払っているわけではありませんがw。

駐車場を出て数分、前方にかすかに人影のようなものが。近づいていくと、雪が積もり始めた道の真ん中を歩く、どうやら老人のようで、男性と女性、車のライトに気付いて急に振り向いて手を振り始めました。さすがに、ドキッとした瞬間です。近くの集落からは数kmも登ったところで、こんな場所で幽霊かお化けかと、一瞬青ざめました。「どうしました?」と尋ねたところ、車が故障して動かなくなったので、助けを求めに歩いてきた、とのこと。資料館のドアをたたいたのは、この人だったようです。

とりあえず車に乗ってもらって、その現場まで行くことに。Uターンして山道を登り始めたのですが、現場は五葉山への登山口に向かう道路で、冬期閉鎖の看板の真ん前です。温泉施設からでも数kmは登ったところで、何の目的でこんな場所まで来たのでしょうか。車が通った跡もほとんどありません。温泉に来たのだが、道に迷って、というようなことでしたが、営業中の温泉施設は照明も明るく大きな看板も出ていて、迷うような道でもないし、どうにも不思議な話。

放置された車は、キーを回してもエンジンがかかりません。バッテリーか?と思い、万が一のために常備してあるケーブルをつないでみましたが、それでもダメ。車内表示には、オイルとエンジン(燃料噴射)の警告灯が点灯しています。これは、エンジンそのもののトラブルのようなので、私の力では無理と判断。車内の必要な荷物を持って、自宅までお送りすることとしました。

それがまた、大船渡市街の外れの方で遠い。その間色々お話ししましたが、話す内容がなかなか理解できません。老人(男性はおそらく80歳前後、女性は80代後半と思われます)の、方言が豊富な言葉そのものと、話の内容に対する理解が十分にできません。まぁ、そうこうするうちにご自宅に着いたのですが、当初ご夫婦かと思っていたそのお二人、実は全く他人の、それぞれ別の住宅で一人暮らしの老人だった、という結末。

車を降りて歩く姿を改めて見ると、おばあさんは、いわゆる「よぼよぼ」状態で、放置された車の場所から私が遭遇したところまで、たぶん6~7kmはあるはずですので、頑張って歩いても5~6時間はかかったのではないでしょうか。深夜の、誰もいない、車も通らない、雪が降り積もる真っ暗な中を、老人2人で何時間もとぼとぼ歩く姿。携帯などの連絡手段もなく、小さな懐中電灯一つ、しかも-7度ぐらいの中を軽装で。

結局、状況はよく飲み込めませんでしたが、偶然にも「いいこと」をしたのかな、という結論。5年ぐらい前にも似たようなことがあり、それは岩手山の馬返し登山口(滝沢村)でのこと。山の反対側(八幡平市)から上り、道を間違えて全く方向違いの場所に下りてきてしまった、という秋田県からいらした年配のご夫婦でした。あたりは真っ暗で、そんな時間にとおる人も車もいません。たまたま天体観測に来た私の車のライトを見て、懸命に遠くから手を振る姿が見えました。

「タクシーが呼べるような場所まで」ということでしたが、せっかくなので、車を停めたという、山の向こう側の駐車場までお送りしました。その翌日、何の気なしに買った宝くじが1万円当選したことをふと思い出しましたので、今回もさっそく、「復興宝くじ」を購入した次第。日本の宝くじは、購入者にとっては、悪い言い方をすれば「体のいい搾取か税金」のようなものだと思うのですが、それを承知で買っているわけですので、まぁしょうがないかと。