10月1日(土)~2日(日):今年最大の星食と火星のM44入り | イーティーズ・プレイスの星空観測行

イーティーズ・プレイスの星空観測行

岩手の移動天文台、「イーティーズ・プレイス」による、星空と天体の観測記録。 http://www.justmystage.com/home/etplace/

「星食」とは、星の前を月が通り過ぎる現象で、星が月に隠されます。月の通り道を「白道」と呼びますが、白道上に位置する明るい星はそう多くはありません。2~3年前、アンタレス(さそり座の1等星)の食が白昼に起きましたが、夜間の好条件で起きることは滅多にありません。

1日18:36、さそり座δ(2.3等星)の食が起きました。これは、今年最も明るい星の食です。時間帯の関係で、岩手では「潜入」を見ることはできますが、「出現」は月没後の出来事でもあり、観測は不可能です。せめて潜入だけでも捉えたいと思い、出発。が、盛岡から北の方向には、西空には低く黒い雲が垂れ込め、とても無理そうです。

南の空に晴れ間が見えましたので、雲の切れ目を追って南下。花巻と北上の境辺りまで来たところで、雲の動きが速くなり、今度は南に向かって流れ始めました。慌てて進路を変えて、今度は北上。時間的に見て紫波町が限界、ということで、18:20、観測の開始です。いい感じに雲が取れてきていますので、何とかなりそうな予感。


潜入直前

潜入まであと1分、というその時、下から黒い雲がふわ~っと湧き上がってきて、月を隠してしまい、潜入の瞬間を見ることはできませんでした。すぐに雲は消え、また何事もなかったかのように月齢4の月がゆっくりと西に沈んでいきました。翌日の画像処理で、何とか雰囲気だけは伝わりそうな動画ができました。

さそり座δの星食(YouTube)

その後は、M44(かに座のプレセペ星団)に入った火星が見えてくるまで、星空探訪、といきたかったところですが、雲が湧いては消え、消えては湧き、の繰り返しで、結局この夜は「快晴」と呼べるような星空を拝むことはできませんでした。一時的には小雨がぱらつき、望遠鏡にシートをかぶせて待機、などということも。


一等星6個

全天に一等星は21個ありますが、岩手で見えるのはそのうちの15個。この時期、スピカ(おとめ座)を除いた14個を、一晩約8時間で見ることができます。星(恒星)は、その表面温度によって色が違いますし、大きさや距離の違いによって明るさも違ってきます。じっくりと恒星を望遠鏡で見るということはなかなかやらないことでしたので、改めて見比べ撮影してみました。


二重星団h-x。「天上の宝石箱」


M42オリオン大星雲。冬の星雲の王者

秋~冬の星空には、いろいろな天体の見所満載です。晴れ間を待ちながらの観測・撮影でしたが、主なところは一通り目にすることができました。終夜快晴に恵まれたいつか、「メシエ天体マラソン」にでも挑戦しようかと考えています。最初はもちろん、M1、おうし座のカニ星雲です。

そうこうするうちに、雲を通して火星の輝きが見えてきました。M44は薄雲では肉眼での確認は困難です。惑星は、ほぼ黄道(太陽の通り道)上を動いており、いわゆる「黄道12星座」(誕生星座と同じもの)の中を通ります。かに座には美しい散開星団、プレセペがあり、惑星が近くを通り過ぎたり、星団の中に入り込むことはしばしばあります。


星団の星の一つと見紛うように

星は、単独で生まれることは少なく、ガスの中から、爆発的に次々と多くの星が誕生するとされています。太陽も、元はいくつかの星と同時に、同じ場所で生まれたと言われていますが、50億年も経つと、皆ちりぢりになってどの星が兄弟・姉妹だったのか分からなくなっています。プレセペ星団の星々は、約7億歳とされる比較的「若い」兄弟星で、その中で赤く輝く火星は異彩を放っています。だいぶ遠いところにいますので、大きさはさほどではないものの、その存在感はしっかりと見せてくれました。これから徐々に地球に近づいて(地球が追いついて)きます。